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45.解決と新たな難問
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神による奇跡により、生育実験はとんでもない速さで進んでいく。
この世界での農法はめちゃくちゃだ。
作物を育てる土壌は、粘土と砂の比率、透水性、保肥力、養分量が影響する。 この世界の田畑の保肥力、養分量は皆無といってもいい。
A、粘土の比率10% ほぼ砂。
B、粘土の比率10~25% 大半が砂
C、粘土の比率35~50% 粘土と砂20~30%
D、粘土の比率50%以上 砂の感触なし
米を作るためには、Dが良い。 水はけがよすぎてはダメ、だけど、粘土質が強すぎると土を掘り起こすのが大変だからバランスが大事。
これが前世の米作りに必要な土。
ココの世界では、栄養がない挙句A~Cの土壌でも米が作れる。
聖女様の力を借りて実験をした結果。
100の収穫を行う場合。
Aの場合に必要な神力が100の場合。
Bの場合は90
Cの場合は80
Dの場合は70
Dの土壌に、醗酵鶏糞を混ぜると30
休耕地中にレンゲを育て、醗酵鶏糞と併用すると10
この10は、あくまでも生育を促すためであり、豊穣のためではない。
これらの実験を終えた後、聖女様は笑った。
「ははははっはははっははははっは、これなら、これなら、これなら子供達を飢えさせずに済むかもしれない!!」
聖女様は、泣きながら笑っていた。 彼女の生きてきた年月は長く、そして空白期を幾度も経験しているのだと王様から聞いた。
当初は私と聖女様によって行われたけれど、なるべく情報共有者を増やしたいと言う事で、日ごとに植物、生育、成長、豊穣等に係る加護を持つ人々が集まり、力仕事を得意とする人達が集まった。
5日目には80人を超える人達が出入りをし、聖女様の涙にもらい泣きをしていた。
80人にも及ぶ人間の歓声、神の奇跡を必要としない農法に人々がわけば、多くの人々が集まってきて、その中には王様もいた。
王様は私の姿を見つけて、ひょいっと抱き上げる。 その視線の先は、泣き笑う聖女様を見ていた。 それは歓喜と言うよりもどこか悲痛めいていて、私は見るのがツラくて視線を背ければ、王様は聖女様に私の背を向けるように抱きなおす。
「どうした? 何があったんだ?」
私は実験の成功を語れば、王様もまた安堵の表情を浮かべるのだが、歓喜に叫ぶ者達と違い淡々とする私を見れば王様はチュッと私の額に口づける。
「余り嬉しそうではないな」
「米が何となく形になるまで5日。 飢えを減らすためには、次はイモ類、豆類、食事を楽しみたいなら、根菜、葉野菜、果菜、それに肉を得るためには動物の餌も必要となる。 この世界は神様に頼りすぎていて、普通を探すのが難しい、先が遠くてうんざりする」
私の言葉に王様は苦笑交じりに笑った。
「リエルにとっては、これは普通を探す行為なんだな。 俺達にとっては、これは新境地を探す行為だ。 どう探ればいいかもわからない。 探っていれば辿り着くかどうかもわからない。 無駄になるのか、ならないのか? 行方の知らない旅のようなものだ。 ゴールを示してくれるだけでも本当なら十分。 ババァの顔を見ればオマエが示したものの重要さがわかるだろう?」
王様の声は何処までも優しかった。 私はしばらく間を置き、うんっと頷けば、王様の声は小さく甘く囁いた。
「ありがとう」
その日の夜、聖女様は夕食の席に訪れる事はなかった。
神力を必要としない米の生産成功は、どれほど聖女様にとって意味のあるものだったのか、狭い視野でしか生きていない私には分からないけれど、聖女様は自らが懇意にする国宛てに書簡を書いているのだと言う。
今回は植物の生育を促す事を神の奇跡に頼っている。 本当に神を頼れないとするなら、土壌条件に気候条件が関わってくる。 多くの国が協力しあう方がより生産的だと思う。
「国への加護が消えれば、気候も変わるのですか? 例えば……水の国であれば、水が消えるとか」
「前回の空白期では、水の国にある湿地帯の大半が消え、僅かに国を横断する細い河川だけになり、水を必要とする生態系の多くが死滅したと聞いている」
「うん……」
私は言葉を飲み込んで食事に集中することにした。 だって食事中にしたい話ではないでしょう? 大量の魚人間の行く末なんて。
「どうした変な顔をしているが?」
「食事中は、食事を美味しく食べたい」
そう語る私は、精麦によって白くなった麦の粉で焼かれたパンを食べている。 味は美味しいけれど栄養価は下がる事はちゃんと伝え済み。 まぁ、削り落とした部分は家畜の餌として流用はしているけれど、人の取る栄養が激減して体調を崩しては良くないので、そこは調整中。
何しろ神の加護次第では病知らずだから、美味しいだけを追求して大事な事を伝え忘れてはダメだよね。
聖女様も王様も、普通にしている限り死はないらしいけど、私は食事の席に来ない聖女様のためにサンドイッチを持って行ってくれるようにとメイドに頼んだ。
「すっかり、仲良しだな」
「優しくしてくれるから……好き」
「そうか、俺も優しくしているつもりだが?」
「王様も好きよ。 でも、ママとは違う」
「それは、まぁ、一緒と言われても困るがな。 久々に風呂に一緒に入るか?」
「エッチな事しない?」
「して欲しいなら、いくらでも」
手をワキワキするな!
「違うから!!」
「はいはい、でもなぁ、エッチなことはするよ。 だって男の子だもん」
おっさん……。
一応王様だから、暴言は控えた。
「まぁ、それよりだ」
王様は食後の酒とお茶をメイドに命じて、改めて話しかけた。
「食事も終わったところだし、さっきは何を言いよどんだ?」
私は考え込む。
「えっと、なんでしたっけ?」
「うん、お馬鹿なところも好きだぞ」
からかい交じりの言葉で言われ、私は本気で何だろうと考えこむ。
「水の国」
「ぁ、そう。 もし、水の国が小さな河川だけになったら、水の中で生活していた人達はどうなるんですか?」
そう尋ねた瞬間、メイドが渡すグラスを王様が掴み損ねて、凄い勢いでメイドがキャッチした。 流石運動能力特化の国だなぁ……とか感心してしまう。
「悪い!! 風呂はまた今度。 あぁ~~~でも、いや、うん……」
なんか一人納得した王様は、突然に私を小脇に抱えるから、私はアイスティを手にしたまま王様に運ばれる事となった。
「おぃ! ばばぁ!!」
一応ノックをするのは偉いと思う。
「誰がばばぁだ、クソガキ」
そう答える声は、鼻声で顔を出した聖女の目元は赤かった。
「戦争は確実に起きる!」
突然の宣言に、幾ら親子とはいってもついていけないらしく、私達は聖女様に準備された部屋へとお邪魔した。 とは言っても、ここ5日間、ココで寝起きしていたんですけどね。
「リエルがつかまっていた場所が、獣が集まる特殊な水中だったとしても、余りにも数が多かった。 もし獣オチの全てがアソコにいたなら、いや、それでも、生活を考えれば問題か……」
「言いたいことは完結に、私も忙しいのだから」
「悪い……空白期にアクアースから水が消えた場合、あそこの獣人の大半が水中生物である以上、彼等に必要な水が足りなくなる。 ようするに、空白期の生存率は大きく低下するんだ」
「それは、水を求めて各国へと侵略行為を始めるって?」
聖女様の顔が不快そうに歪んだ。
私達がそこから分かるのは、彼女が生きた長い人生の中で、このようなことは起きたことが無いと言うこと。 聖女様は考え込み、一人納得し、そしてヒステリックに声を荒げた。
「そう、あぁ、もう、面倒ごとを残してくれて、周辺の世話をやいた代金を払えって? クソガキ、あんたはどうするつもりだい?」
「防衛対策と、獣オチが生きていくための算段ってとこか……。 必要な戦はするが、別に戦が好きな訳じゃないんでね。 各国の獣オチと専門家を集めるよう手をかしてくれないか?」
聖女様は少し疲れたように、だけど笑った。
「いい男に育った。 了解。 母ちゃんも頑張るか」
聖女様は、王様と王様に未だ抱えられたままの私の頭を撫でた。
この世界での農法はめちゃくちゃだ。
作物を育てる土壌は、粘土と砂の比率、透水性、保肥力、養分量が影響する。 この世界の田畑の保肥力、養分量は皆無といってもいい。
A、粘土の比率10% ほぼ砂。
B、粘土の比率10~25% 大半が砂
C、粘土の比率35~50% 粘土と砂20~30%
D、粘土の比率50%以上 砂の感触なし
米を作るためには、Dが良い。 水はけがよすぎてはダメ、だけど、粘土質が強すぎると土を掘り起こすのが大変だからバランスが大事。
これが前世の米作りに必要な土。
ココの世界では、栄養がない挙句A~Cの土壌でも米が作れる。
聖女様の力を借りて実験をした結果。
100の収穫を行う場合。
Aの場合に必要な神力が100の場合。
Bの場合は90
Cの場合は80
Dの場合は70
Dの土壌に、醗酵鶏糞を混ぜると30
休耕地中にレンゲを育て、醗酵鶏糞と併用すると10
この10は、あくまでも生育を促すためであり、豊穣のためではない。
これらの実験を終えた後、聖女様は笑った。
「ははははっはははっははははっは、これなら、これなら、これなら子供達を飢えさせずに済むかもしれない!!」
聖女様は、泣きながら笑っていた。 彼女の生きてきた年月は長く、そして空白期を幾度も経験しているのだと王様から聞いた。
当初は私と聖女様によって行われたけれど、なるべく情報共有者を増やしたいと言う事で、日ごとに植物、生育、成長、豊穣等に係る加護を持つ人々が集まり、力仕事を得意とする人達が集まった。
5日目には80人を超える人達が出入りをし、聖女様の涙にもらい泣きをしていた。
80人にも及ぶ人間の歓声、神の奇跡を必要としない農法に人々がわけば、多くの人々が集まってきて、その中には王様もいた。
王様は私の姿を見つけて、ひょいっと抱き上げる。 その視線の先は、泣き笑う聖女様を見ていた。 それは歓喜と言うよりもどこか悲痛めいていて、私は見るのがツラくて視線を背ければ、王様は聖女様に私の背を向けるように抱きなおす。
「どうした? 何があったんだ?」
私は実験の成功を語れば、王様もまた安堵の表情を浮かべるのだが、歓喜に叫ぶ者達と違い淡々とする私を見れば王様はチュッと私の額に口づける。
「余り嬉しそうではないな」
「米が何となく形になるまで5日。 飢えを減らすためには、次はイモ類、豆類、食事を楽しみたいなら、根菜、葉野菜、果菜、それに肉を得るためには動物の餌も必要となる。 この世界は神様に頼りすぎていて、普通を探すのが難しい、先が遠くてうんざりする」
私の言葉に王様は苦笑交じりに笑った。
「リエルにとっては、これは普通を探す行為なんだな。 俺達にとっては、これは新境地を探す行為だ。 どう探ればいいかもわからない。 探っていれば辿り着くかどうかもわからない。 無駄になるのか、ならないのか? 行方の知らない旅のようなものだ。 ゴールを示してくれるだけでも本当なら十分。 ババァの顔を見ればオマエが示したものの重要さがわかるだろう?」
王様の声は何処までも優しかった。 私はしばらく間を置き、うんっと頷けば、王様の声は小さく甘く囁いた。
「ありがとう」
その日の夜、聖女様は夕食の席に訪れる事はなかった。
神力を必要としない米の生産成功は、どれほど聖女様にとって意味のあるものだったのか、狭い視野でしか生きていない私には分からないけれど、聖女様は自らが懇意にする国宛てに書簡を書いているのだと言う。
今回は植物の生育を促す事を神の奇跡に頼っている。 本当に神を頼れないとするなら、土壌条件に気候条件が関わってくる。 多くの国が協力しあう方がより生産的だと思う。
「国への加護が消えれば、気候も変わるのですか? 例えば……水の国であれば、水が消えるとか」
「前回の空白期では、水の国にある湿地帯の大半が消え、僅かに国を横断する細い河川だけになり、水を必要とする生態系の多くが死滅したと聞いている」
「うん……」
私は言葉を飲み込んで食事に集中することにした。 だって食事中にしたい話ではないでしょう? 大量の魚人間の行く末なんて。
「どうした変な顔をしているが?」
「食事中は、食事を美味しく食べたい」
そう語る私は、精麦によって白くなった麦の粉で焼かれたパンを食べている。 味は美味しいけれど栄養価は下がる事はちゃんと伝え済み。 まぁ、削り落とした部分は家畜の餌として流用はしているけれど、人の取る栄養が激減して体調を崩しては良くないので、そこは調整中。
何しろ神の加護次第では病知らずだから、美味しいだけを追求して大事な事を伝え忘れてはダメだよね。
聖女様も王様も、普通にしている限り死はないらしいけど、私は食事の席に来ない聖女様のためにサンドイッチを持って行ってくれるようにとメイドに頼んだ。
「すっかり、仲良しだな」
「優しくしてくれるから……好き」
「そうか、俺も優しくしているつもりだが?」
「王様も好きよ。 でも、ママとは違う」
「それは、まぁ、一緒と言われても困るがな。 久々に風呂に一緒に入るか?」
「エッチな事しない?」
「して欲しいなら、いくらでも」
手をワキワキするな!
「違うから!!」
「はいはい、でもなぁ、エッチなことはするよ。 だって男の子だもん」
おっさん……。
一応王様だから、暴言は控えた。
「まぁ、それよりだ」
王様は食後の酒とお茶をメイドに命じて、改めて話しかけた。
「食事も終わったところだし、さっきは何を言いよどんだ?」
私は考え込む。
「えっと、なんでしたっけ?」
「うん、お馬鹿なところも好きだぞ」
からかい交じりの言葉で言われ、私は本気で何だろうと考えこむ。
「水の国」
「ぁ、そう。 もし、水の国が小さな河川だけになったら、水の中で生活していた人達はどうなるんですか?」
そう尋ねた瞬間、メイドが渡すグラスを王様が掴み損ねて、凄い勢いでメイドがキャッチした。 流石運動能力特化の国だなぁ……とか感心してしまう。
「悪い!! 風呂はまた今度。 あぁ~~~でも、いや、うん……」
なんか一人納得した王様は、突然に私を小脇に抱えるから、私はアイスティを手にしたまま王様に運ばれる事となった。
「おぃ! ばばぁ!!」
一応ノックをするのは偉いと思う。
「誰がばばぁだ、クソガキ」
そう答える声は、鼻声で顔を出した聖女の目元は赤かった。
「戦争は確実に起きる!」
突然の宣言に、幾ら親子とはいってもついていけないらしく、私達は聖女様に準備された部屋へとお邪魔した。 とは言っても、ここ5日間、ココで寝起きしていたんですけどね。
「リエルがつかまっていた場所が、獣が集まる特殊な水中だったとしても、余りにも数が多かった。 もし獣オチの全てがアソコにいたなら、いや、それでも、生活を考えれば問題か……」
「言いたいことは完結に、私も忙しいのだから」
「悪い……空白期にアクアースから水が消えた場合、あそこの獣人の大半が水中生物である以上、彼等に必要な水が足りなくなる。 ようするに、空白期の生存率は大きく低下するんだ」
「それは、水を求めて各国へと侵略行為を始めるって?」
聖女様の顔が不快そうに歪んだ。
私達がそこから分かるのは、彼女が生きた長い人生の中で、このようなことは起きたことが無いと言うこと。 聖女様は考え込み、一人納得し、そしてヒステリックに声を荒げた。
「そう、あぁ、もう、面倒ごとを残してくれて、周辺の世話をやいた代金を払えって? クソガキ、あんたはどうするつもりだい?」
「防衛対策と、獣オチが生きていくための算段ってとこか……。 必要な戦はするが、別に戦が好きな訳じゃないんでね。 各国の獣オチと専門家を集めるよう手をかしてくれないか?」
聖女様は少し疲れたように、だけど笑った。
「いい男に育った。 了解。 母ちゃんも頑張るか」
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