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46.過酷でノンキな旅人達
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聖女の所属するエスティ国と同盟関係にある薬神の加護を受ける国家『スレープ国』の少年神官ラフィールは、強い視線に戸惑う。
聖女の元で共に修行を行っている華国王太子レオンが笑いながら、ボソボソと耳元で話しかけてきた。
「ケツには気をつけろよ」
「あはははっははははは」
とりあえず、手に持っていた薬瓶も大量に入っているバッグで頭を殴っておいた。
「いてぇなぁあああ!!」
聖女様がいない時の彼の口の悪さは、かなりのもので僕とすれば、何時ゼル様と衝突するか気が気ではありません。
「アナタがオカシナ事をいうからです」
「ってか、意味が分かるあたり俺はオマエのが問題だと思う」
「コチラは生まれながら全てのものから守られていた王族とは違いますからね。 常に身の危険と背中合わせに生きているので、その程度のことと言う感じです」
「へぇ……なら、経験があると?」
「いい加減にしないと怒りますよ?」
正直、今回ほどヤバイ任務は無いと思っていました。 同行者とされたゼル様……オルグレンの死神と言えば、死の権化とも言える存在。 彼と共にあることは死と共にある事だと言われるような相手です。
3人での任務に対しゼル様は、足手まといだと一蹴してくださったものの、オルグレン王も聖女様も許可なされず。 ゼル様は
『リエルと一緒にいたいなら普通を学べ。 ラフィールはオマエが接することが出来る中で、最も善良でかつ一般的な感覚を持っている』
などと、僕に対する誉め言葉にもならない誉め言葉と共に、送り出してくれたのです。 正直、救世を担うだろうリエル様と、僕を同じと分類するのはどうなのかと思いますが……。 とにかく視線が痛いです……。
「それより、この馬車で、この先も移動できるのか?」
御者席で馬車を操作するレオンの質問に、かなりの間を置きゼル様が答える。
「私に聞いていたのですか?」
「他に誰がいるってんだよ」
その言葉に無言で、僕を見ますが……
「すみません。 僕には判断がつきません」
「馬車も馬も一般的なものですが、問題はありません。 足元は水を固め補助をしていますから。 ただ、私が眠っている時に馬車を動かそうとすれば、馬も荷台もすぐにダメになる事は記憶しておいた方が良いかもしれませんね」
「そういう説明は先にしてくれ」
「1人だと説明などいらないもので、失念しておりました」
丁寧な口調であるため、恐ろしい人だと忘れそうになるけれど、言っている事は既に人知を超えた発言だと言うことを忘れてはいけません……。
「……」
レオンが疲れた様子で黙りこみ、会話の終わりは何時もこんな感じではありますが、ほどほど平和的と言えるでしょう。
「突然に旅商人一行を演じる事になりましたけど、扱う荷物はズイブンと品ぞろえが良いですね」
返事がない……。
「えっと、ゼル様は他国に入る時は、いつもこの馬車を使っていらっしゃるのですか?」
「いえ、これはリエルに会いに行くときに使っていた特別なものです。 ですから、壊さないでくださいね? これは、私にとって大切な思い出の記録なのですから」
「なら、オマエが御者席に座れよな」
「役に立たない、いえ、足手まといの方が、積極的に働くのは当然のことだと思いますよ」
レオンの気配が険悪なものとなり、僕は……僕にとって身近なレオンよりもゼル様の機嫌を取ることにした。
「万能なゼル様と比較しては、誰もが役立たずになってしまいますよ」
焦って言った言葉、嫌味に捉えられてはどうしようかと焦った。
「そうでもありません。 器用さも口の上手さも、陛下や聖女殿に足元に届きません。 それに……小さい頃からリエルは私よりも立派だったのですよ」
とりあえずゼル様と会話する時は、ゼル様に話しかけていると言う明確な意思表示がなければ返事をしてもらえないこと。 そして、リエル様の話をしている間は幸せそうにしていることが分かった。
これは、以外と恐ろしくはないのかもしれません。
オルグレンのとアクアースの国境沿いに転移し、アクアースへと入り街道を行くのですが……、レオンが馬車の心配をする程度には異常な状態が広がってるんです。
道も道でないところも10センチ程度ですが、全てが水に覆われているんです。 ずっと雨が降ってはいるのですが、そのせいにするには決して大きな雨ではありません。
「この国を通過する人達は、どうしているのでしょうか?……ゼル様」
「どう、とは?」
ゼル様の問いかけにレオンが答えます。 面倒なことにならないように黙っていて欲しいのですが……。 彼の気性を考えれば、まぁ無理ですよね……仕方がありません。
「そんなことも分からないのかよ。 普通、旅をするってのは1日中馬車を動かすもんじゃねぇ。 馬を止めて、食事を作り食べる。 馬車の中で眠っては疲れが取れないから、馬車の外で野営をするのが一般的だ。 ソレにアンタ、自分がいない時は馬車が痛むから動かすなっていったけど、ずっと水につけておいても馬車は痛むし、馬も疲れは取れないよな?」
「アナタ方は、眠らないと疲れるのですか?」
「……えっと、僕は少し厳しいですが、まぁ……身体が小さいので馬車の中でも疲れを取ることはできますね」
「……俺はまぁ、普段なら問題ないが、水の国は相性が悪い。 力が封じられてしまう」
「そうですか……それは良かったです」
「何がだよ!! こっちは体調は悪いはイライラする、なのにストレス発散も出来ないってのに」
「私や少年は、水の力を表面に出す事で、この国の住民の警戒を緩める事が出来成すが、アナタを守護する神は、火と鍛冶、水の加護を持つ者達は警戒に殺気だってしまうでしょうからね」
「……そういや、オマエ昔と比べてズイブンと上手に力を隠すようになったんだな」
「力を垂れ流しにしていては、リエルを怯えさせてしまいますので、日常的に力を抑える癖をつけているんですよ」
「まったく、死神様ともあろうものが、女に狂いやがって」
「リエルを、他とひとくくりにするのですか」
押さえている力の枷が容易に外れた。
「ちょ、ゼル様、抑えて下さい。 そんな馬鹿と話すより、できればリエル様の幼い頃のことを聞かせてもらえませんか?」
「それはどんな意図をもって聞きたいとおっしゃっているのですか?」
ごごごおごごごごおと威圧感が押し寄せてくるようで、僕は戸惑う。
「へっ? いえ、あぁあその、オルグレン王が彼女をしりたければ僕を知るようにとゼル様におっしゃっていましたが、僕は人より少し魔力が多く、聖女様に手を差し伸べていただく機会があっただけのものです。 そりゃぁ世間では大神官候補と言われてはいますが、元は日々の食べるものにも困る貧乏な村で生まれ、親に売られました。 運が良いだけのどこにでもいるような子ですから」
「リエルも貧しい村の生まれでしたよ。 ただ、リエルは食べるものがないなら山に入り食べ物を調達し、食べ物を育てるような子でした。 ですが、まぁ、そんな人の役に立つ子だったのに、リエルは売られてしまいましたけど」
語気がやばくなっていて、僕は慌てて次の質問をする
「子供の作る畑に、加護を与える者もいないでしょうに」
「そうですね。 神から多くの寵愛を得ていますが、私には助力などできません、ですが人を都合することはできますから、加護者を連れてきましょうかと聞いたんです。 でも、あの子は加護者よりも植物の種が欲しいと言ったんですよ」
馬鹿げた事をしていると思うし、それで本当に植物を育てた挙句、レギーナと言う不毛な大地に恵みをもたらしたのだから言葉にならない。 ……僕とは違うじゃないか……と不満も言いたくなる。 だけど、僕は色々な言葉を飲み込み、笑って見せた。
目の前の死神相手に、どれほど心を隠せるのか知らないけれど……それでも僕は自分を偽り微笑んで見せた。
「リエル様は凄い……」
僕の言葉を遮りレオンが声をあらげた。
「ぉい!! この先に街……らしきものが、見えるんだが……どうするんだ? これって調査をできるのか?」
「調査と言うか、僕たちがするのは見たものを報告することなので問題はありません」
そう言いながら外をのぞけば『あ、これは無理』と正直思いましたよ。 水の深さが徐々に深くなり、目の前に見える街と思われる場所を覆う塀は水に沈み、建物も1階部分は水に沈む程度に、目の前に広がる世界は深い水に覆われているのですから。
「誰か来ます、話を聞いてみてください」
早口で言ったゼル様は、僕を外に放り投げた。
「へっ?」
ばしゃんと音を鳴らし、水に沈んでしまい慌てて立ち上がる。
「ちょ」
文句を言おうとすれば、魚顔の……人っぽいものが僕の顔を覗き込んでいて、悲鳴を上げそうになったが
「大丈夫かい? 元気がいいのも結構だが、突然に深くなっている場所もあるから気を付けないといけないよ」
そう言って、馬車の側まで運んでくれた。
ニヤニヤしているレオン。
「どうも~~~すみません。 大量の水ではしゃいでしまったみたいで~~~」
なんて、愛想を振りまき、ゼル様は完全に存在感すら隠していた。
「まぁまぁ、お兄ちゃん、気を付けてあげないと」
「いやいや、その子もなかなか意地が悪いんですよ。 僕が泳げないのを分かっていて、見せつけているんですから」
「おやおや、仲が良いのは結構だが、この国は他所の国の人には危険だから、引き返す事をお勧めするよ」
「あの、僕は薬師修行をしている者で、卒業試験としてこの先のガント国にしか生息しない薬草が欲しいのですが、馬が通れるような道はどこかにないでしょうか?」
「残念ながら、この国はすっかり水に沈んでしまってねぇ。 まぁ、私達にとっては都合がいいんだけど。 普通の人がこの先を行こうとするなら、船が必要となる。 だけど……私達は船も必要としないからねぇ……。 君は、お師匠様に説明して課題を変えてもらった方がいいだろうね」
「あの、僕たちずっと馬車で寝起きしていたのですが、この町の宿屋に止まるってことはできますかね?」
2階部分を指してレオンが言えば、
「布団は水についているし、食べ物は生魚しかだせない。 それに……」
「それに?」
「神官様に見つかっては、国に戻れなくされてしまうよ。 だから、ね、早く戻るんだ」
たったソレだけの会話だった。
だけど、僕は水の国はもうダメなんだと理解した。
その日から、旅人と言う体裁は捨て、何処までも水に紛れ隠密性を高め、水の国を調査することなった。
聖女の元で共に修行を行っている華国王太子レオンが笑いながら、ボソボソと耳元で話しかけてきた。
「ケツには気をつけろよ」
「あはははっははははは」
とりあえず、手に持っていた薬瓶も大量に入っているバッグで頭を殴っておいた。
「いてぇなぁあああ!!」
聖女様がいない時の彼の口の悪さは、かなりのもので僕とすれば、何時ゼル様と衝突するか気が気ではありません。
「アナタがオカシナ事をいうからです」
「ってか、意味が分かるあたり俺はオマエのが問題だと思う」
「コチラは生まれながら全てのものから守られていた王族とは違いますからね。 常に身の危険と背中合わせに生きているので、その程度のことと言う感じです」
「へぇ……なら、経験があると?」
「いい加減にしないと怒りますよ?」
正直、今回ほどヤバイ任務は無いと思っていました。 同行者とされたゼル様……オルグレンの死神と言えば、死の権化とも言える存在。 彼と共にあることは死と共にある事だと言われるような相手です。
3人での任務に対しゼル様は、足手まといだと一蹴してくださったものの、オルグレン王も聖女様も許可なされず。 ゼル様は
『リエルと一緒にいたいなら普通を学べ。 ラフィールはオマエが接することが出来る中で、最も善良でかつ一般的な感覚を持っている』
などと、僕に対する誉め言葉にもならない誉め言葉と共に、送り出してくれたのです。 正直、救世を担うだろうリエル様と、僕を同じと分類するのはどうなのかと思いますが……。 とにかく視線が痛いです……。
「それより、この馬車で、この先も移動できるのか?」
御者席で馬車を操作するレオンの質問に、かなりの間を置きゼル様が答える。
「私に聞いていたのですか?」
「他に誰がいるってんだよ」
その言葉に無言で、僕を見ますが……
「すみません。 僕には判断がつきません」
「馬車も馬も一般的なものですが、問題はありません。 足元は水を固め補助をしていますから。 ただ、私が眠っている時に馬車を動かそうとすれば、馬も荷台もすぐにダメになる事は記憶しておいた方が良いかもしれませんね」
「そういう説明は先にしてくれ」
「1人だと説明などいらないもので、失念しておりました」
丁寧な口調であるため、恐ろしい人だと忘れそうになるけれど、言っている事は既に人知を超えた発言だと言うことを忘れてはいけません……。
「……」
レオンが疲れた様子で黙りこみ、会話の終わりは何時もこんな感じではありますが、ほどほど平和的と言えるでしょう。
「突然に旅商人一行を演じる事になりましたけど、扱う荷物はズイブンと品ぞろえが良いですね」
返事がない……。
「えっと、ゼル様は他国に入る時は、いつもこの馬車を使っていらっしゃるのですか?」
「いえ、これはリエルに会いに行くときに使っていた特別なものです。 ですから、壊さないでくださいね? これは、私にとって大切な思い出の記録なのですから」
「なら、オマエが御者席に座れよな」
「役に立たない、いえ、足手まといの方が、積極的に働くのは当然のことだと思いますよ」
レオンの気配が険悪なものとなり、僕は……僕にとって身近なレオンよりもゼル様の機嫌を取ることにした。
「万能なゼル様と比較しては、誰もが役立たずになってしまいますよ」
焦って言った言葉、嫌味に捉えられてはどうしようかと焦った。
「そうでもありません。 器用さも口の上手さも、陛下や聖女殿に足元に届きません。 それに……小さい頃からリエルは私よりも立派だったのですよ」
とりあえずゼル様と会話する時は、ゼル様に話しかけていると言う明確な意思表示がなければ返事をしてもらえないこと。 そして、リエル様の話をしている間は幸せそうにしていることが分かった。
これは、以外と恐ろしくはないのかもしれません。
オルグレンのとアクアースの国境沿いに転移し、アクアースへと入り街道を行くのですが……、レオンが馬車の心配をする程度には異常な状態が広がってるんです。
道も道でないところも10センチ程度ですが、全てが水に覆われているんです。 ずっと雨が降ってはいるのですが、そのせいにするには決して大きな雨ではありません。
「この国を通過する人達は、どうしているのでしょうか?……ゼル様」
「どう、とは?」
ゼル様の問いかけにレオンが答えます。 面倒なことにならないように黙っていて欲しいのですが……。 彼の気性を考えれば、まぁ無理ですよね……仕方がありません。
「そんなことも分からないのかよ。 普通、旅をするってのは1日中馬車を動かすもんじゃねぇ。 馬を止めて、食事を作り食べる。 馬車の中で眠っては疲れが取れないから、馬車の外で野営をするのが一般的だ。 ソレにアンタ、自分がいない時は馬車が痛むから動かすなっていったけど、ずっと水につけておいても馬車は痛むし、馬も疲れは取れないよな?」
「アナタ方は、眠らないと疲れるのですか?」
「……えっと、僕は少し厳しいですが、まぁ……身体が小さいので馬車の中でも疲れを取ることはできますね」
「……俺はまぁ、普段なら問題ないが、水の国は相性が悪い。 力が封じられてしまう」
「そうですか……それは良かったです」
「何がだよ!! こっちは体調は悪いはイライラする、なのにストレス発散も出来ないってのに」
「私や少年は、水の力を表面に出す事で、この国の住民の警戒を緩める事が出来成すが、アナタを守護する神は、火と鍛冶、水の加護を持つ者達は警戒に殺気だってしまうでしょうからね」
「……そういや、オマエ昔と比べてズイブンと上手に力を隠すようになったんだな」
「力を垂れ流しにしていては、リエルを怯えさせてしまいますので、日常的に力を抑える癖をつけているんですよ」
「まったく、死神様ともあろうものが、女に狂いやがって」
「リエルを、他とひとくくりにするのですか」
押さえている力の枷が容易に外れた。
「ちょ、ゼル様、抑えて下さい。 そんな馬鹿と話すより、できればリエル様の幼い頃のことを聞かせてもらえませんか?」
「それはどんな意図をもって聞きたいとおっしゃっているのですか?」
ごごごおごごごごおと威圧感が押し寄せてくるようで、僕は戸惑う。
「へっ? いえ、あぁあその、オルグレン王が彼女をしりたければ僕を知るようにとゼル様におっしゃっていましたが、僕は人より少し魔力が多く、聖女様に手を差し伸べていただく機会があっただけのものです。 そりゃぁ世間では大神官候補と言われてはいますが、元は日々の食べるものにも困る貧乏な村で生まれ、親に売られました。 運が良いだけのどこにでもいるような子ですから」
「リエルも貧しい村の生まれでしたよ。 ただ、リエルは食べるものがないなら山に入り食べ物を調達し、食べ物を育てるような子でした。 ですが、まぁ、そんな人の役に立つ子だったのに、リエルは売られてしまいましたけど」
語気がやばくなっていて、僕は慌てて次の質問をする
「子供の作る畑に、加護を与える者もいないでしょうに」
「そうですね。 神から多くの寵愛を得ていますが、私には助力などできません、ですが人を都合することはできますから、加護者を連れてきましょうかと聞いたんです。 でも、あの子は加護者よりも植物の種が欲しいと言ったんですよ」
馬鹿げた事をしていると思うし、それで本当に植物を育てた挙句、レギーナと言う不毛な大地に恵みをもたらしたのだから言葉にならない。 ……僕とは違うじゃないか……と不満も言いたくなる。 だけど、僕は色々な言葉を飲み込み、笑って見せた。
目の前の死神相手に、どれほど心を隠せるのか知らないけれど……それでも僕は自分を偽り微笑んで見せた。
「リエル様は凄い……」
僕の言葉を遮りレオンが声をあらげた。
「ぉい!! この先に街……らしきものが、見えるんだが……どうするんだ? これって調査をできるのか?」
「調査と言うか、僕たちがするのは見たものを報告することなので問題はありません」
そう言いながら外をのぞけば『あ、これは無理』と正直思いましたよ。 水の深さが徐々に深くなり、目の前に見える街と思われる場所を覆う塀は水に沈み、建物も1階部分は水に沈む程度に、目の前に広がる世界は深い水に覆われているのですから。
「誰か来ます、話を聞いてみてください」
早口で言ったゼル様は、僕を外に放り投げた。
「へっ?」
ばしゃんと音を鳴らし、水に沈んでしまい慌てて立ち上がる。
「ちょ」
文句を言おうとすれば、魚顔の……人っぽいものが僕の顔を覗き込んでいて、悲鳴を上げそうになったが
「大丈夫かい? 元気がいいのも結構だが、突然に深くなっている場所もあるから気を付けないといけないよ」
そう言って、馬車の側まで運んでくれた。
ニヤニヤしているレオン。
「どうも~~~すみません。 大量の水ではしゃいでしまったみたいで~~~」
なんて、愛想を振りまき、ゼル様は完全に存在感すら隠していた。
「まぁまぁ、お兄ちゃん、気を付けてあげないと」
「いやいや、その子もなかなか意地が悪いんですよ。 僕が泳げないのを分かっていて、見せつけているんですから」
「おやおや、仲が良いのは結構だが、この国は他所の国の人には危険だから、引き返す事をお勧めするよ」
「あの、僕は薬師修行をしている者で、卒業試験としてこの先のガント国にしか生息しない薬草が欲しいのですが、馬が通れるような道はどこかにないでしょうか?」
「残念ながら、この国はすっかり水に沈んでしまってねぇ。 まぁ、私達にとっては都合がいいんだけど。 普通の人がこの先を行こうとするなら、船が必要となる。 だけど……私達は船も必要としないからねぇ……。 君は、お師匠様に説明して課題を変えてもらった方がいいだろうね」
「あの、僕たちずっと馬車で寝起きしていたのですが、この町の宿屋に止まるってことはできますかね?」
2階部分を指してレオンが言えば、
「布団は水についているし、食べ物は生魚しかだせない。 それに……」
「それに?」
「神官様に見つかっては、国に戻れなくされてしまうよ。 だから、ね、早く戻るんだ」
たったソレだけの会話だった。
だけど、僕は水の国はもうダメなんだと理解した。
その日から、旅人と言う体裁は捨て、何処までも水に紛れ隠密性を高め、水の国を調査することなった。
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