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前編
06
私を守るように白黒2匹の獣が唸りと共に前に出る。
冷えた一陣の風が、私達の間を吹き抜けた。
それは私を宥めるように、怒りで上がった体温を奪っていく。
冷静になるのよ……私。
幾ら多くの人の治療を施した植物達だと言っても、育ての親との思い出だと言っても、それが複数の騎士と戦う、いえ、戦わせる理由になるのでしょうか?
……なりませんよね。
ラスティが当主の試練に立ち向かう予定で戻ってきたと言うなら、共にいる同僚は試練の協力者、かなりの実力の持ち主と判断できます。 ならば私の行動は完全に感情的で愚かな行動だと、認めざるを得ません。
結局のところ正気を失ったように怒りが抑えられなかったのは、美しい女性を身籠らせ連れ帰ってきたラスティに対する個人的な怒りだったのかもしれません。 夫婦の時間を積み重ねて来た訳でもないと言うのに……馬鹿馬鹿しい。
こんな取るに足らない事に、私を大切にしてくれる人達を巻き込んでしまった事に深い後悔を覚えた。
だけど、
今更引くわけにもいきません。
睨み合う私達の間を、冷たい風が吹き抜け、結ってあった髪がほどけ落ち葉と共に風に舞う。
自然の営みに視線が奪われる。
沈黙。
動かない人々。
ラスティの表情が、穏やかなものに変わり剣を納め、上着を脱ぎカミラの肩からかけた。
「カミラ、身体が冷えてしまいます。 部屋に戻って温かなものでも頂く事にしよう。 私達は無益な争いをせずとも、ドチラが正しいかを定める方法があるのだから。 今日の所は、長年この地に尽くしただろうホリーに譲ろう。 それが、強者の余裕と言うものです」
「ですが!! 王国の騎士として、たかが獣を前に引き下がると言うのは、私達の名誉に傷をつける行為ですわ!!」
それでもカミラは肩からかけられた上着に愛し気に包まれていた。
「穏やかな環境で子を育てたいと言ったのは、カミラではないか。 これ以上の争いは胎教に良くはない」
「ストレスは身体に良く無いと医師が言っておりましたわ!!」
「だからこそ、あのような薄汚く悪臭漂う獣をカミラに近づけたくはないのだ。 分かってくれるだろう?」
「あなたがそこまでおっしゃるなら……」
そう言いながらカミラが剣を納めれば、同僚騎士の3人と従者4人も剣を納めた。 ラスティは、カミラの剣と自身の剣を従者に預け、カミラを姫抱っこで抱き上げて本宅庭園から去って行った。
まるで私達等存在していないかのように……。
私は……悔しかった!! なぜか、理解も出来ないけれど、泣いて叫び出したいほどに悔しくて、屈辱を与えられた気分になった。
『主……』
『主様』
私は一体どんな顔をしていたのでしょう? 白黒の2匹が獣姿でありながら、心配そうな顔を向けて来た。
「ごめんなさい」
……苦々しい思いが胸をしめ……私は乱れた自分の心を静めるように黒虎と白狼を両手に抱きしめる。
「こんなに良い香りと、毛並ですのに……なんて失礼な方なのかしら……」
私は2匹を危険に巻き込んだだけでなく、自分のためだけに感情を乱していたのに……それがとても申し訳なく思えて、そっと2匹を両手に抱きしめる。
『主が褒めて下さるなら、あのような者達の戯言など地面をはいずる風のようなもの。 全く気に等なりません。 どうか、お気になさらないで下さい。 そして、褒めて下さい!!』
白狼が、撫でてくれ!! と、言わんばかりに上を向きモフモフな喉と胸元を見せて来るから、私は両手でわしゃわしゃとかき混ぜ撫でる。
癒されるわぁ……。
自然と笑みが浮かぶのだけど、なのに泣きたくなっていて、それを隠そうと、もふっと顔を埋め、私は溜息と共に呟いた。
「争いにならなかったのは助かったけれど、アレはなんだったのかしら?」
『どうせ、あのような筋肉馬鹿は、余り深く物事を考えていないものです。 主が気に病む事ではございません。 それよりも!! 私は主の大切な庭を掘り返した奴等が気に入りません!! どうか、噛みつく許可をお与え下さいませ!!』
白狼の声に反応するように、木々の茂みからグワッと言う鳴き声と共に脳裏に声を響かせ躍り出て来たアヒルが叫ぶ。
『えぇ、なんて酷い事をなさるのでしょう。 丹精込めて育てて来た庭を!!』
彼女は戦闘向きではないけれど、良く庭の面倒を見てくれている人(?)なのだ。
「丁度良い所に来てくださいました。 彼等が庭をちゃんと戻すかの見張りを、お二人に頼んで宜しいですか?」
『お任せ下さい。 このブラン、ローズと共に見事役目を果たして見せましょう』
ちなみに白狼がブランで、アヒルがローズだ。
「ブランは、お仕置きの加減が下手なので、お仕置きはローズにお任せしますね」
『なぜに~~!!』
『お任せくださいませ!!』
等と騒ぐ1匹と1羽を残し、私達は執務室へと歩き出し。
短い時間だったはずなのに、とても疲れてしまいましたわ……。
私の記憶にあるラスティは12歳で止まっている。 まだ幼さの残る顔立ちで身長だって今の私より少し大きい程度だったはず。 今は……騎士らしく鍛え抜かれた身体が服の上からでもわかります。 そして不機嫌で苛立ちが隠せなかった表情は、愛すべき人を診て穏やかに微笑む。
そのような相手が、神殿に残されている記録では、私の夫で……なのに甘いラスティとカミラのやり取りを見せつけられ胸が痛い、ぽっかりと穴が開いたような……恋心がひび割れたような……虚しさ……。
もう、急ぐ必要のない私は、少しばかり心を黄昏させながら執務室へと向かい歩き出せば、私よりずっと早く歩ける黒虎のルカが、私と歩調を合わせ、温かな毛並を摺り寄せてきてくる。
当たり前のようにこうしていたけれど……人の姿ではとらない距離感を当たり前のようにとってしまう。 これが問題だったのかしら……。
私に問題がある。
ラスティは責任回避をしているだけで私は悪くない。
そんな思いがせめぎあう。
『側にいる』
悩む私の心が分かっているかのように、ボソリとした呟きが脳裏に響く。
「そうね……私には、アナタ達がいるわ……」
短い時間なのに随分と疲れた気がした。
身体の疲れが、精神を削って行く。
彼は12年もの間戻らなかった。
だけど、騎士になってからの彼は領地まで噂が届くほどの功績を残し、そして王都での催事には出席していた。 それ等の行動は、公爵家の者としてでは無かったとしても、世間的には公爵家の名を知らしめる事となった事でしょう。 ラスティは戻って来る事は無かったが、何の役割も果たさなかった訳ではないのですよね……。
執務室に戻ると侍女頭のポーラがお茶の準備をして待っていた。
私の行動は責められて当然の事だったのでしょうか?
何も悪い事をしていないのに、ただ獣人だと言うだけで、主の気分次第で暴力を受け、酷い生活環の元で厳しい労働を課せられていた彼等を側に置いた事を後悔したくはなかった。
割り切ろう。
「私達が歩んできた道は間違っていたのでしょうか……」
温かな茶を口にし、うっかりと声に出ていた言葉にルカは突っ込みを入れて来る。
「いや、子を作って来るのは問題外だろう」
アッサリと告げるルカは人の姿に戻っており、書類の山から幾つかの書状を手渡してきた。 それは、私とブレンダによって作られた薬で命が助けられたと言う書状。
「主は、間違っていない」
「そうね……」
それでも……私は思うのだ……憎しみを持って離縁を告げたラスティが最終的には引いてくれた事。 その時の瞳には、憎悪や嫌悪等と言う感情が抜け落ちていた。 そこに希望が……。
いえ……アレはカミラが側にいたから。
まだ生まれる前の子が側にいたから。
私の脳裏には、大きなお腹をしながらもラスティと共に戦おうとするカミラの姿が過るのだった。
冷えた一陣の風が、私達の間を吹き抜けた。
それは私を宥めるように、怒りで上がった体温を奪っていく。
冷静になるのよ……私。
幾ら多くの人の治療を施した植物達だと言っても、育ての親との思い出だと言っても、それが複数の騎士と戦う、いえ、戦わせる理由になるのでしょうか?
……なりませんよね。
ラスティが当主の試練に立ち向かう予定で戻ってきたと言うなら、共にいる同僚は試練の協力者、かなりの実力の持ち主と判断できます。 ならば私の行動は完全に感情的で愚かな行動だと、認めざるを得ません。
結局のところ正気を失ったように怒りが抑えられなかったのは、美しい女性を身籠らせ連れ帰ってきたラスティに対する個人的な怒りだったのかもしれません。 夫婦の時間を積み重ねて来た訳でもないと言うのに……馬鹿馬鹿しい。
こんな取るに足らない事に、私を大切にしてくれる人達を巻き込んでしまった事に深い後悔を覚えた。
だけど、
今更引くわけにもいきません。
睨み合う私達の間を、冷たい風が吹き抜け、結ってあった髪がほどけ落ち葉と共に風に舞う。
自然の営みに視線が奪われる。
沈黙。
動かない人々。
ラスティの表情が、穏やかなものに変わり剣を納め、上着を脱ぎカミラの肩からかけた。
「カミラ、身体が冷えてしまいます。 部屋に戻って温かなものでも頂く事にしよう。 私達は無益な争いをせずとも、ドチラが正しいかを定める方法があるのだから。 今日の所は、長年この地に尽くしただろうホリーに譲ろう。 それが、強者の余裕と言うものです」
「ですが!! 王国の騎士として、たかが獣を前に引き下がると言うのは、私達の名誉に傷をつける行為ですわ!!」
それでもカミラは肩からかけられた上着に愛し気に包まれていた。
「穏やかな環境で子を育てたいと言ったのは、カミラではないか。 これ以上の争いは胎教に良くはない」
「ストレスは身体に良く無いと医師が言っておりましたわ!!」
「だからこそ、あのような薄汚く悪臭漂う獣をカミラに近づけたくはないのだ。 分かってくれるだろう?」
「あなたがそこまでおっしゃるなら……」
そう言いながらカミラが剣を納めれば、同僚騎士の3人と従者4人も剣を納めた。 ラスティは、カミラの剣と自身の剣を従者に預け、カミラを姫抱っこで抱き上げて本宅庭園から去って行った。
まるで私達等存在していないかのように……。
私は……悔しかった!! なぜか、理解も出来ないけれど、泣いて叫び出したいほどに悔しくて、屈辱を与えられた気分になった。
『主……』
『主様』
私は一体どんな顔をしていたのでしょう? 白黒の2匹が獣姿でありながら、心配そうな顔を向けて来た。
「ごめんなさい」
……苦々しい思いが胸をしめ……私は乱れた自分の心を静めるように黒虎と白狼を両手に抱きしめる。
「こんなに良い香りと、毛並ですのに……なんて失礼な方なのかしら……」
私は2匹を危険に巻き込んだだけでなく、自分のためだけに感情を乱していたのに……それがとても申し訳なく思えて、そっと2匹を両手に抱きしめる。
『主が褒めて下さるなら、あのような者達の戯言など地面をはいずる風のようなもの。 全く気に等なりません。 どうか、お気になさらないで下さい。 そして、褒めて下さい!!』
白狼が、撫でてくれ!! と、言わんばかりに上を向きモフモフな喉と胸元を見せて来るから、私は両手でわしゃわしゃとかき混ぜ撫でる。
癒されるわぁ……。
自然と笑みが浮かぶのだけど、なのに泣きたくなっていて、それを隠そうと、もふっと顔を埋め、私は溜息と共に呟いた。
「争いにならなかったのは助かったけれど、アレはなんだったのかしら?」
『どうせ、あのような筋肉馬鹿は、余り深く物事を考えていないものです。 主が気に病む事ではございません。 それよりも!! 私は主の大切な庭を掘り返した奴等が気に入りません!! どうか、噛みつく許可をお与え下さいませ!!』
白狼の声に反応するように、木々の茂みからグワッと言う鳴き声と共に脳裏に声を響かせ躍り出て来たアヒルが叫ぶ。
『えぇ、なんて酷い事をなさるのでしょう。 丹精込めて育てて来た庭を!!』
彼女は戦闘向きではないけれど、良く庭の面倒を見てくれている人(?)なのだ。
「丁度良い所に来てくださいました。 彼等が庭をちゃんと戻すかの見張りを、お二人に頼んで宜しいですか?」
『お任せ下さい。 このブラン、ローズと共に見事役目を果たして見せましょう』
ちなみに白狼がブランで、アヒルがローズだ。
「ブランは、お仕置きの加減が下手なので、お仕置きはローズにお任せしますね」
『なぜに~~!!』
『お任せくださいませ!!』
等と騒ぐ1匹と1羽を残し、私達は執務室へと歩き出し。
短い時間だったはずなのに、とても疲れてしまいましたわ……。
私の記憶にあるラスティは12歳で止まっている。 まだ幼さの残る顔立ちで身長だって今の私より少し大きい程度だったはず。 今は……騎士らしく鍛え抜かれた身体が服の上からでもわかります。 そして不機嫌で苛立ちが隠せなかった表情は、愛すべき人を診て穏やかに微笑む。
そのような相手が、神殿に残されている記録では、私の夫で……なのに甘いラスティとカミラのやり取りを見せつけられ胸が痛い、ぽっかりと穴が開いたような……恋心がひび割れたような……虚しさ……。
もう、急ぐ必要のない私は、少しばかり心を黄昏させながら執務室へと向かい歩き出せば、私よりずっと早く歩ける黒虎のルカが、私と歩調を合わせ、温かな毛並を摺り寄せてきてくる。
当たり前のようにこうしていたけれど……人の姿ではとらない距離感を当たり前のようにとってしまう。 これが問題だったのかしら……。
私に問題がある。
ラスティは責任回避をしているだけで私は悪くない。
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『側にいる』
悩む私の心が分かっているかのように、ボソリとした呟きが脳裏に響く。
「そうね……私には、アナタ達がいるわ……」
短い時間なのに随分と疲れた気がした。
身体の疲れが、精神を削って行く。
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だけど、騎士になってからの彼は領地まで噂が届くほどの功績を残し、そして王都での催事には出席していた。 それ等の行動は、公爵家の者としてでは無かったとしても、世間的には公爵家の名を知らしめる事となった事でしょう。 ラスティは戻って来る事は無かったが、何の役割も果たさなかった訳ではないのですよね……。
執務室に戻ると侍女頭のポーラがお茶の準備をして待っていた。
私の行動は責められて当然の事だったのでしょうか?
何も悪い事をしていないのに、ただ獣人だと言うだけで、主の気分次第で暴力を受け、酷い生活環の元で厳しい労働を課せられていた彼等を側に置いた事を後悔したくはなかった。
割り切ろう。
「私達が歩んできた道は間違っていたのでしょうか……」
温かな茶を口にし、うっかりと声に出ていた言葉にルカは突っ込みを入れて来る。
「いや、子を作って来るのは問題外だろう」
アッサリと告げるルカは人の姿に戻っており、書類の山から幾つかの書状を手渡してきた。 それは、私とブレンダによって作られた薬で命が助けられたと言う書状。
「主は、間違っていない」
「そうね……」
それでも……私は思うのだ……憎しみを持って離縁を告げたラスティが最終的には引いてくれた事。 その時の瞳には、憎悪や嫌悪等と言う感情が抜け落ちていた。 そこに希望が……。
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