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13.原点
質素で狭いシーラの部屋から一番離れた場所。
そこには広い部屋があった。
床張りの部屋は、湿り気のある熱気と情欲の匂いを帯びていた。
乱雑に散らばる書籍、大きな一枚紙、術式が乱雑に描かれ散らばった紙。
雨の音、雷の音、そしてギシギシとベッドがきしむ音。
男女の短く規則正しい甘い息遣い。
狭く硬いベッドで、男と女は裸で語り合うヨハンとヴィヴィアン。
退廃的な日々。
のめり込み、堕ちる2人。
2人は雨の音を聞いていた。
雨の音を聞き安堵していた。
だけど……やがて、その雨の音も二人は、聞こえなくなり、それが当たり前になっていく。
シーラの肉体と世界樹が安定している事を数日確認した、ジェフリーは十数年ぶりに故郷に戻っていた。
ジェフリーがシーラに語っていた言葉には嘘が多かった。
ジェフリーが、竜の民が住まう国アクロマティリにいたのは、脅され攫われたからと言う訳ではない。 彼が大魔導師候補だったのは確かだが、既にその競争からは脱落していた。
『くそっ、くそっ、私には力がある、あんなマナの量の少ない雑魚に負けるなんてあり得ない』
そう憤っていた。
実力差はない……。
いや、研究への熱意も、マナの量も、そのコントロールの緻密さも、術式への理解も何もかも私の方が上回っている。 他の者達と何が違うか? と言えば、援助してくれる者の存在……。 他の者達には……妻の実家が後ろ盾となっていた事だ。
彼の生まれた国は、決して強い国ではない。
他国と渡り合えているのは、世界樹との付き合い上手くやっているから。
巫女の存在はなく、世界樹と語らう事を許された者を大魔導師と言う。 そして、王族・上級貴族はその地位を欲した。 その地位の持つ力の大きさを知っていたから。 だが、ジェフリーの妻の実家は違った。 彼女の実家は伯爵と言う地位にあるが、魔術とは縁遠い一族、ジェフリーへの支援を行えない訳ではないが、その意味を見出さなかったのだ。
『お前に使う金があるなら、領民のために使う。 お前のような地位の無い人間に、娘を嫁がせただけでも感謝しろ』
唾を吐きかけられたように言われたのだ。
愛情なんて何になる!!
妻の産んだ子は、マナの薄い子だった。
魔術に対して興味も薄い。
だから……孤児院で弟子となるべき子を選んだ。
世界樹との親和性の高い国家トリッド国。
・世界樹との親和性が強い。
・巫女が居ない。
・多くの大魔導師が巫女の代理をする。
・国に満ちるマナは多い。
・誰もが簡単な生活魔法を使い利便性高く生活している。
決して強い国ではないが、その世界樹との関係性を羨ましがる国は多く、国自体を奪おうとする者は居ないが、属国として利用しようと言う者は多かった。
そんな時に、後ろ盾となろうと言ったのがアクロマティリ国だった。
特使としてトリッド国に訪れたのは、当時のトロワ公爵と、まだ幼かったシーラの母だった。 アクロマティリ国の民は、竜の民で偉そうなトカゲだと聞いていた……聞いていたのだ。
まさか……これほどまで美しいとは……一目惚れだった。
欲しいと思った。
このマナを得たなら……私は大きな力を得るだろう。
目の前に天使が舞い降りたと思った。
だが、彼女には既に婚約者がおり……彼女達は愛し合っていた。
私は……彼女を得るために、自分のものとするために、外交官としてアクロマティリ国へと訪れた。
国は強く狂暴なマナで満ち溢れていた。
それは自然と混ざりあうには難しい性質のもの。
通常、世界樹が発するマナが自然に混ざりこみ人々に取り込まれ、人は魔術として使い生活に役立てる。 そうやって……穏やかに生きる。
だけどアクロマティリ国は違う。
竜の民は、感情と共にマナを外へと発する。 感情の混じったマナは渦を巻き、マナ同士が殴り合い、混ざり合い、より強固となり魔石となる。
アクロマティリ国は動植物を育てる事にはむいていないが、魔石が取れる。 生活に不自由はないが、日々彼等の意識は狂暴化し……人類として危機を迎えようとしている事を、理解している人は居ない。
そんな国の王の持つマナは強大で恐ろしい。
凝り固まったマナはその性格を歪に歪めるだけでなく、身体の彼方此方に竜としての特徴を抑えきれなくなり……人格に歪みが出ていた。
膨大なマナ、狂暴性、思考の低下……この男は強いだけの馬鹿だと分かった。
『アクロマティリ国の強大な力をお持ちの陛下にお会い出来て、私の心は震え感激し喜びに満ち溢れています。 そんな陛下に良いお話があります。 今のままでは大いなる存在である貴方は……人を身を解脱し、神への進化を遂げる事でしょう』
ふっ……
陛下の口元は笑っていた。
『しかし、今のままでの進化は危険です。 貴方も覚えがあるはずです。 その感情が抑制効かない自覚はありませんか? このままでは感情に飲み込まれ、貴方が貴方でなくなる……そんな、揺れを感じているのではありませんか?』
強大なマナの塊。
だけれど、それは剥き出しの赤ん坊のようなもの。
そっと、優しく触ってやれば、ぬるりとその強大なマナが簡単に歪んだ。
『ならば、どうすればいい……』
『世界樹に、国のマナを正させればいい。 それに必要なのは、世界樹の巫女』
『この国に、世界樹の巫女は生まれない。 他国の巫女に、この国の世界樹との接触は無理だ。 無理だった。 全ての巫女は死んでしまった』
『それは当然です。 世界樹はその国々に合わせた巫女を産みだすのですから。 必要なのは……世界樹に相応しい巫女を作りだす事です』
『作り出すだと?』
『えぇ、私は啓示を受けました。 貴方の国の世界樹からの啓示です。 私とトロワ公爵令嬢の子が、この国の巫女となりえるでしょう』
トロワ公爵令嬢は婚約者を愛していた。
だが、彼女は泣いて泣いて、拒絶した。
そんなに私は不満か?! 苛立った。
私はこんなにも愛していると言うのに!!
そんな風に感情を露わにするのは、惨めだった。
『私だって、妻も子もいる。 これは国のためであり、そこに私達の意志は介在しない、介在してはいけない。 そう言う類のものですよ。 貴方が私との間に運命の子を産まなければ、この国は狂暴な感情に支配され、全ての者が感情と共に食らいあう恐ろしい国となるでしょう。 貴方は巫女の母となるのです。 それは義務であって、感情は排除すべきものです。 分かりますよね?』
言葉と共にそのマナを撫でる。
優しく撫でる。
穏やかに撫でる。
愛おしそうに……。
そうすると……彼女は、私を頼るように……涙ぐんだ瞳で見つめた。
愛おしいと思った……欲しいと思った。
私達の時間は始まったばかりだ。
少しずつ、少しずつ、彼女を私の者にすればよいと思った。
この国の者の感情は単純だ……支配しやすい。
子をもうけ、共に育てれば……彼女は私の者となるだろう……。
子を共に育てた。
そこに愛情はあった。
はずだ……。
ニーヴィ、ヴィヴィアン、ヨハン……3人が、私の真の家族だと現れるまでは……。
3人は書状を持ってきた。
この国で地位を築いていた私の全てを崩しながら、求めたのだ……。
アクロマティリ国を亡ぼせ。
あり得ない……最初はそう思った。
だけれど……
ニーヴィ、ヴィヴィアン、ヨハン、その3人の出現で、トロワ公爵令嬢の心は乱れ、そしてその心に……彼女を愛し待っていた元婚約者が寄り添い……そして、彼女は私を裏切り、息子を産み……そして……彼女は巫女として育てている娘と会えないと言う苦痛に、マナを乱し感情を渦巻かせ死んだ。
私を選ばなかったからだ。
私を選ばず、子だけを欲したからだ。
彼女は、感情にマナを乱して死んだ。
その時から……、俺はアクロマティリの滅亡を望んだ。
あんな狂暴で、乱暴で、理不尽で……弱いくせに他者を害する生物は滅びてしまえ。
そこには広い部屋があった。
床張りの部屋は、湿り気のある熱気と情欲の匂いを帯びていた。
乱雑に散らばる書籍、大きな一枚紙、術式が乱雑に描かれ散らばった紙。
雨の音、雷の音、そしてギシギシとベッドがきしむ音。
男女の短く規則正しい甘い息遣い。
狭く硬いベッドで、男と女は裸で語り合うヨハンとヴィヴィアン。
退廃的な日々。
のめり込み、堕ちる2人。
2人は雨の音を聞いていた。
雨の音を聞き安堵していた。
だけど……やがて、その雨の音も二人は、聞こえなくなり、それが当たり前になっていく。
シーラの肉体と世界樹が安定している事を数日確認した、ジェフリーは十数年ぶりに故郷に戻っていた。
ジェフリーがシーラに語っていた言葉には嘘が多かった。
ジェフリーが、竜の民が住まう国アクロマティリにいたのは、脅され攫われたからと言う訳ではない。 彼が大魔導師候補だったのは確かだが、既にその競争からは脱落していた。
『くそっ、くそっ、私には力がある、あんなマナの量の少ない雑魚に負けるなんてあり得ない』
そう憤っていた。
実力差はない……。
いや、研究への熱意も、マナの量も、そのコントロールの緻密さも、術式への理解も何もかも私の方が上回っている。 他の者達と何が違うか? と言えば、援助してくれる者の存在……。 他の者達には……妻の実家が後ろ盾となっていた事だ。
彼の生まれた国は、決して強い国ではない。
他国と渡り合えているのは、世界樹との付き合い上手くやっているから。
巫女の存在はなく、世界樹と語らう事を許された者を大魔導師と言う。 そして、王族・上級貴族はその地位を欲した。 その地位の持つ力の大きさを知っていたから。 だが、ジェフリーの妻の実家は違った。 彼女の実家は伯爵と言う地位にあるが、魔術とは縁遠い一族、ジェフリーへの支援を行えない訳ではないが、その意味を見出さなかったのだ。
『お前に使う金があるなら、領民のために使う。 お前のような地位の無い人間に、娘を嫁がせただけでも感謝しろ』
唾を吐きかけられたように言われたのだ。
愛情なんて何になる!!
妻の産んだ子は、マナの薄い子だった。
魔術に対して興味も薄い。
だから……孤児院で弟子となるべき子を選んだ。
世界樹との親和性の高い国家トリッド国。
・世界樹との親和性が強い。
・巫女が居ない。
・多くの大魔導師が巫女の代理をする。
・国に満ちるマナは多い。
・誰もが簡単な生活魔法を使い利便性高く生活している。
決して強い国ではないが、その世界樹との関係性を羨ましがる国は多く、国自体を奪おうとする者は居ないが、属国として利用しようと言う者は多かった。
そんな時に、後ろ盾となろうと言ったのがアクロマティリ国だった。
特使としてトリッド国に訪れたのは、当時のトロワ公爵と、まだ幼かったシーラの母だった。 アクロマティリ国の民は、竜の民で偉そうなトカゲだと聞いていた……聞いていたのだ。
まさか……これほどまで美しいとは……一目惚れだった。
欲しいと思った。
このマナを得たなら……私は大きな力を得るだろう。
目の前に天使が舞い降りたと思った。
だが、彼女には既に婚約者がおり……彼女達は愛し合っていた。
私は……彼女を得るために、自分のものとするために、外交官としてアクロマティリ国へと訪れた。
国は強く狂暴なマナで満ち溢れていた。
それは自然と混ざりあうには難しい性質のもの。
通常、世界樹が発するマナが自然に混ざりこみ人々に取り込まれ、人は魔術として使い生活に役立てる。 そうやって……穏やかに生きる。
だけどアクロマティリ国は違う。
竜の民は、感情と共にマナを外へと発する。 感情の混じったマナは渦を巻き、マナ同士が殴り合い、混ざり合い、より強固となり魔石となる。
アクロマティリ国は動植物を育てる事にはむいていないが、魔石が取れる。 生活に不自由はないが、日々彼等の意識は狂暴化し……人類として危機を迎えようとしている事を、理解している人は居ない。
そんな国の王の持つマナは強大で恐ろしい。
凝り固まったマナはその性格を歪に歪めるだけでなく、身体の彼方此方に竜としての特徴を抑えきれなくなり……人格に歪みが出ていた。
膨大なマナ、狂暴性、思考の低下……この男は強いだけの馬鹿だと分かった。
『アクロマティリ国の強大な力をお持ちの陛下にお会い出来て、私の心は震え感激し喜びに満ち溢れています。 そんな陛下に良いお話があります。 今のままでは大いなる存在である貴方は……人を身を解脱し、神への進化を遂げる事でしょう』
ふっ……
陛下の口元は笑っていた。
『しかし、今のままでの進化は危険です。 貴方も覚えがあるはずです。 その感情が抑制効かない自覚はありませんか? このままでは感情に飲み込まれ、貴方が貴方でなくなる……そんな、揺れを感じているのではありませんか?』
強大なマナの塊。
だけれど、それは剥き出しの赤ん坊のようなもの。
そっと、優しく触ってやれば、ぬるりとその強大なマナが簡単に歪んだ。
『ならば、どうすればいい……』
『世界樹に、国のマナを正させればいい。 それに必要なのは、世界樹の巫女』
『この国に、世界樹の巫女は生まれない。 他国の巫女に、この国の世界樹との接触は無理だ。 無理だった。 全ての巫女は死んでしまった』
『それは当然です。 世界樹はその国々に合わせた巫女を産みだすのですから。 必要なのは……世界樹に相応しい巫女を作りだす事です』
『作り出すだと?』
『えぇ、私は啓示を受けました。 貴方の国の世界樹からの啓示です。 私とトロワ公爵令嬢の子が、この国の巫女となりえるでしょう』
トロワ公爵令嬢は婚約者を愛していた。
だが、彼女は泣いて泣いて、拒絶した。
そんなに私は不満か?! 苛立った。
私はこんなにも愛していると言うのに!!
そんな風に感情を露わにするのは、惨めだった。
『私だって、妻も子もいる。 これは国のためであり、そこに私達の意志は介在しない、介在してはいけない。 そう言う類のものですよ。 貴方が私との間に運命の子を産まなければ、この国は狂暴な感情に支配され、全ての者が感情と共に食らいあう恐ろしい国となるでしょう。 貴方は巫女の母となるのです。 それは義務であって、感情は排除すべきものです。 分かりますよね?』
言葉と共にそのマナを撫でる。
優しく撫でる。
穏やかに撫でる。
愛おしそうに……。
そうすると……彼女は、私を頼るように……涙ぐんだ瞳で見つめた。
愛おしいと思った……欲しいと思った。
私達の時間は始まったばかりだ。
少しずつ、少しずつ、彼女を私の者にすればよいと思った。
この国の者の感情は単純だ……支配しやすい。
子をもうけ、共に育てれば……彼女は私の者となるだろう……。
子を共に育てた。
そこに愛情はあった。
はずだ……。
ニーヴィ、ヴィヴィアン、ヨハン……3人が、私の真の家族だと現れるまでは……。
3人は書状を持ってきた。
この国で地位を築いていた私の全てを崩しながら、求めたのだ……。
アクロマティリ国を亡ぼせ。
あり得ない……最初はそう思った。
だけれど……
ニーヴィ、ヴィヴィアン、ヨハン、その3人の出現で、トロワ公爵令嬢の心は乱れ、そしてその心に……彼女を愛し待っていた元婚約者が寄り添い……そして、彼女は私を裏切り、息子を産み……そして……彼女は巫女として育てている娘と会えないと言う苦痛に、マナを乱し感情を渦巻かせ死んだ。
私を選ばなかったからだ。
私を選ばず、子だけを欲したからだ。
彼女は、感情にマナを乱して死んだ。
その時から……、俺はアクロマティリの滅亡を望んだ。
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