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10.国への責任と、孫への愛は共生出来ない
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巨体な狼が王宮を一匹で歩くのは問題がある。
そのためロイ自身が王に招かれたかのように王宮警備兵の案内を受けていた。 案内されたのは公の場では無く2階にある個人的な応接室の扉の前。
案内人である警備兵は礼と共に背を向け、沈黙のまま去って行った。
同時に、ロイはアルフレットに告げる。
「私は先に失礼させていただきますね」
「悪いが……、現状の説明が必要となるかもしれない。 ティナを捕まえてきてくれないだろうか?」
招いてではないところが、2人の関係を良く表しているとロイは考えながら苦々しい顔を見せる。
「努力はしてみますが、責任は負いません」
アルフレットは扉の中に向かって声をかけた。
「アルフレット・クライフ。 召喚を受けただいま参りました」
「入れ」
その言葉と同時に扉が開いた。 その瞬間、凄い勢いで突進してきた何かに突き飛ばされ、アルフレットは廊下の壁に激突する。
「ぐへっ」
そのまま首根っこを掴まれ中へと連れ去られたアルフレットは、乱暴な歓迎を行った人物に首周りに抱き着かれ……結果、首がしめられるような思いをする事になる。
「きゃぁああああああ、あっちゃん可愛い!!!」
という悲鳴と共に、ギリギリと締め上げられていく。
「王妃殿下……し、死ぬ……力が……封じられているんです。 止め、……てください……」
扉を開くと共に抱きついて来たのは20代そこそこに見える美しい女性だが、実際には60歳をゆうに超えている。
「あらあら、あっちゃんまだ弱いままなのね。 今まで何していた訳? そんな無能が筆頭騎士と色騎士を務めるなんて、この国大丈夫なのかしら? ねぇ? そう思わないアナタ」
ぐったりする狼を責めながら、締め上げ高速ナデナデで摩擦熱を生み出していく王妃は、哀れみ交じりの視線を狼に向ける国王に向けて告げた。
「ぐふぅっ」
アルフレットは、嗚咽をもらす。
食べたばかりの朝食が溢れ出そうなほどの力がかかっているのだ。 元英雄である王妃は、アルフレットの母親の母親、彼にとっては祖母にあたる存在で、他の者の視線が無ければ気安くなるのも仕方がない。 仕方がないが絞殺されそうなのは仕方なくはない。
「王妃よ……ほどほどになさい。 あっくんが失神寸前ではないか」
そう王が諫めた。
「でも~~~毛並みフワフワ~~~で可愛いし? アナタも触ってごらんなさいよ~」
言われて王がウズウズと近寄ってきて撫で転がしてきた。
1時間が経過した。
祖父母と孫の時間、否……飼い主とペットの時間を終えて、3人は真面目に話しだす。
「姿か力、せめてどちらかでも回復してくれればいいのじゃがのう」
王が言う。
「以前来た時よりも解呪は進んではいるようだけど、先は長いわねぇ~」
熟練の引退英雄である王妃は目も良いらしい。
「大会を前にせめて姿だけでも戻ればよいのだが……色々と試してみてはどうだね」
王が穏やかだが、どこか圧力を与えるような声色で言えば、アルフレットは頷いた。
「そのつもりではいます」
「前向きなようで良かった。 コチラでも色々と準備はさせてもらった」
王はホッとした様子で、アルフレットをバルコニーへと誘う。 扉を開ければ幼い少女達の声が響いてきた。
「オマエのために、乙女を集めてみた。 色々と試してみるがいい」
バルコニーから見下ろすことができる温室には、薄手の下着のようなドレスを着た幼女たちが甘いオヤツを与えられ、楽しそうに遊びまわっていた。
狼の毛並みがゾワリと逆立ち、しっぽの先までバサッと膨らませ、ジリジリと後退りしながら逃げようとしたが、一歩動いた瞬間王妃が首元を掴み床に縫い付けて来た。
「……お……オレ……そういう趣味は……」
「前向きに色々と試してみると言ったばかりじゃないか。 舌の根も乾かぬうちに撤回か?」
キツイ口調で王は言う。
「ですが!! アレは赤ん坊のようなものじゃないですか!」
「そんな無体な事をするか。 一応は婚姻可能年齢にある乙女達だ」
「あっちゃん……世の中にはね、背に腹は代えられないと言う言葉があるのよ。 それに、そう難しく考えなくていいの。……とりあえずは幼女と戯れる犬って感じで、キャッキャウフフと舐め舐めしてくればいいのだから。 英雄の子とはソレで仮解呪が出来たと言ったでしょう? もっと若く汚れない子だったなら、もっと良い結果がでるかもしれないでしょう?」
「ティナを汚れているかのように言わないでくれ。 ただ、お日様と土と草の匂いがするだけだ」
変な所に立腹して見せるアルフレットを前に、ニッコニコとした王妃が金属製の首輪と鎖を手に持っていた。 そのまま回せば、さぞ立派な狂気になるだろうと思えば、狼の口元がヒクリと引きずった。
国王夫婦はアルフレットが積極的にならない事は理解しており、幼女たちの方から積極的に戯れさせるよう領地に対する援助を申し出、目的を達成した幼女には特別褒賞を出すと伝えてあった。
そのためロイ自身が王に招かれたかのように王宮警備兵の案内を受けていた。 案内されたのは公の場では無く2階にある個人的な応接室の扉の前。
案内人である警備兵は礼と共に背を向け、沈黙のまま去って行った。
同時に、ロイはアルフレットに告げる。
「私は先に失礼させていただきますね」
「悪いが……、現状の説明が必要となるかもしれない。 ティナを捕まえてきてくれないだろうか?」
招いてではないところが、2人の関係を良く表しているとロイは考えながら苦々しい顔を見せる。
「努力はしてみますが、責任は負いません」
アルフレットは扉の中に向かって声をかけた。
「アルフレット・クライフ。 召喚を受けただいま参りました」
「入れ」
その言葉と同時に扉が開いた。 その瞬間、凄い勢いで突進してきた何かに突き飛ばされ、アルフレットは廊下の壁に激突する。
「ぐへっ」
そのまま首根っこを掴まれ中へと連れ去られたアルフレットは、乱暴な歓迎を行った人物に首周りに抱き着かれ……結果、首がしめられるような思いをする事になる。
「きゃぁああああああ、あっちゃん可愛い!!!」
という悲鳴と共に、ギリギリと締め上げられていく。
「王妃殿下……し、死ぬ……力が……封じられているんです。 止め、……てください……」
扉を開くと共に抱きついて来たのは20代そこそこに見える美しい女性だが、実際には60歳をゆうに超えている。
「あらあら、あっちゃんまだ弱いままなのね。 今まで何していた訳? そんな無能が筆頭騎士と色騎士を務めるなんて、この国大丈夫なのかしら? ねぇ? そう思わないアナタ」
ぐったりする狼を責めながら、締め上げ高速ナデナデで摩擦熱を生み出していく王妃は、哀れみ交じりの視線を狼に向ける国王に向けて告げた。
「ぐふぅっ」
アルフレットは、嗚咽をもらす。
食べたばかりの朝食が溢れ出そうなほどの力がかかっているのだ。 元英雄である王妃は、アルフレットの母親の母親、彼にとっては祖母にあたる存在で、他の者の視線が無ければ気安くなるのも仕方がない。 仕方がないが絞殺されそうなのは仕方なくはない。
「王妃よ……ほどほどになさい。 あっくんが失神寸前ではないか」
そう王が諫めた。
「でも~~~毛並みフワフワ~~~で可愛いし? アナタも触ってごらんなさいよ~」
言われて王がウズウズと近寄ってきて撫で転がしてきた。
1時間が経過した。
祖父母と孫の時間、否……飼い主とペットの時間を終えて、3人は真面目に話しだす。
「姿か力、せめてどちらかでも回復してくれればいいのじゃがのう」
王が言う。
「以前来た時よりも解呪は進んではいるようだけど、先は長いわねぇ~」
熟練の引退英雄である王妃は目も良いらしい。
「大会を前にせめて姿だけでも戻ればよいのだが……色々と試してみてはどうだね」
王が穏やかだが、どこか圧力を与えるような声色で言えば、アルフレットは頷いた。
「そのつもりではいます」
「前向きなようで良かった。 コチラでも色々と準備はさせてもらった」
王はホッとした様子で、アルフレットをバルコニーへと誘う。 扉を開ければ幼い少女達の声が響いてきた。
「オマエのために、乙女を集めてみた。 色々と試してみるがいい」
バルコニーから見下ろすことができる温室には、薄手の下着のようなドレスを着た幼女たちが甘いオヤツを与えられ、楽しそうに遊びまわっていた。
狼の毛並みがゾワリと逆立ち、しっぽの先までバサッと膨らませ、ジリジリと後退りしながら逃げようとしたが、一歩動いた瞬間王妃が首元を掴み床に縫い付けて来た。
「……お……オレ……そういう趣味は……」
「前向きに色々と試してみると言ったばかりじゃないか。 舌の根も乾かぬうちに撤回か?」
キツイ口調で王は言う。
「ですが!! アレは赤ん坊のようなものじゃないですか!」
「そんな無体な事をするか。 一応は婚姻可能年齢にある乙女達だ」
「あっちゃん……世の中にはね、背に腹は代えられないと言う言葉があるのよ。 それに、そう難しく考えなくていいの。……とりあえずは幼女と戯れる犬って感じで、キャッキャウフフと舐め舐めしてくればいいのだから。 英雄の子とはソレで仮解呪が出来たと言ったでしょう? もっと若く汚れない子だったなら、もっと良い結果がでるかもしれないでしょう?」
「ティナを汚れているかのように言わないでくれ。 ただ、お日様と土と草の匂いがするだけだ」
変な所に立腹して見せるアルフレットを前に、ニッコニコとした王妃が金属製の首輪と鎖を手に持っていた。 そのまま回せば、さぞ立派な狂気になるだろうと思えば、狼の口元がヒクリと引きずった。
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