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04.パンダ叔父、動画作成する
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「ただいま~~」
「おかえり~~、おお~姪っ子ちゃんは偉いなぁ~、ただいまが言えるのか」
「別にオジサンに言ったわけじゃないから! パパやママがいなくても家に帰ったら言っていたんだからね!」
「そんなにムキにならなくていいぜ、姪っ子ちゃんは照れ屋なんだから。冷蔵庫にオヤツのチョコケーキが入っているから食べな~」
「食べ物で懐柔なんかされないんだからね!!」
「可愛いなぁ~、姪っ子ちゃんは」
まったく私の拒否を受け入れる様子なく、パンダは私を褒めまくる。それで悪くない気分になってしまうのだから……困ったものだ。
「本当、困ったものだ……」
朝の衝撃映像が脳裏をよぎる。冷蔵庫の中に「ハロー」と挨拶する緑色の軟体がいるのでは?
思い切って冷蔵庫を開ければ……。
「Hello」
瓶詰めになった、かすかに輝く粘液が鎮座していた。 私は思い切りそれをゴミ箱に投げ入れる。
「よしっ!!」
「よしじゃないぞ~。俺の食料だ。好き嫌いは認めるが、人の食生活に口出しするもんじゃない」
冷静そうに語られるのが妙に腹が立つ。私はケーキを皿に乗せ、スプーンを口に加えて飲み物を手に、パンダがいるリビングへ向かった。そして正面のソファに腰を下ろす。
チョコケーキを一口、口に運ぼうとした手が止まる。
「そ、それ……」
私の欲しかった、あのハイスペックパソコン(私が買えなかったやつ!)の前に、パンダがどっしりと座っていた。鼻歌を歌いながら、器用にキーボードを打っている。私はケーキを手にしたまま、素早くパンダの背後に回り、パソコンの画面を覗き込んだ。
妙にキラキラした映像編集ソフトが開かれていて、パンダが真剣な顔(たぶん)でマウスをカチカチ。そしてパソコンの背景には……シンクで見たあのピクピク動く緑汁が、謎のエフェクトで宇宙空間に漂う映像!?
「……」
この悩ましい気持ちを、言葉にすることはできなかった。
「なにしてんの、あんた!?」
私は思わず叫んだ。だって、朝のホラー緑汁が今度はパソコンに侵入してるって、どういうこと!? いや、私のパソコンじゃないから文句は言えないんだけど……。
「くぅううう」
言いようのない気持ちで、私はうめき悶える。
「てか、それ私の欲しかったパソコンじゃん! くやしいいいい!! いつ買ったの!?」
パンダはモフモフの肩を揺らして、「ふっ」と笑った。
「配達員のバイト、結構いい稼ぎになるんだよな」
「マジですか?」
扉を開けさせるために配達員のふりをしていたかのように言っていたが、本当にバイトしていたんだ……。
「受け取り率100%の優秀な配達員だぞ」
「それは、そうでしょうね」
他人事なら、私だってパンダから荷物を受け取るために待ち構えるだろう。
「姪っ子、欲しかったなら先に言えばよかったのに!」
「欲しい!!」
「よし、兄貴に言っておいてやる」
どうせ「ダメ」って言われるに決まっている。ムカついてモフモフの背中に蹴りを入れた。
「で、何をしているの?」
パンダは画面を凝視しながら、めっちゃ落ち着いた低音ボイスで返してきた。
「これ、兄貴に送るお前の動画だよ。ほら、家族の記録って大事だろ?」
「兄貴!? 叔父ってマジなの!? てか、私の動画って何!? 勝手に撮らないでよ!」
恐る恐るパソコンの画面を覗き込むと……そこには、キラキラエフェクト全開の映像。私が朝、トースト片手に緑汁にツッコミを入れている姿がリピートされ、それが宇宙空間で浮かんでいる。
バックには「宇宙パンダ体操」とデカデカ書かれたタイトル、そして、私の動きに合わせて謎のBGMが「パン! ダ! パンダ~!」と流れている!
……って、待て、緑汁が背景でグニャグニャ蠢きながら星雲みたいになってるんだけど!?
「ちょっと! この映像なに!? 宇宙パンダ体操って!? 私のツッコミを体操に編集しないでよ!」
私はパンダの背中をパシッと叩けば、モフモフの毛並みに拳が埋もれた。無意味な攻撃だけれど、モフモフとの触れ合いは捨てきれない。
ぽすぽすぽすぽす。
「姪っ子ちゃん、そろそろやめようぜ」
「いや、アンタこそ止めなさいよ!! この緑汁エフェクト、気持ち悪すぎ! ホラー映画のポスターみたいになってるよ!」
パンダが、画面に「キラキラ星効果」を追加しながら、ボソッと呟く。
「……バズるぜ。」
その瞬間、画面の緑汁が一瞬だけ目みたいな光を放った気がして、ゾワッとした。
「ひっ!! こんなホラー体操、誰が見るの!? てか、緑汁が光ったんだけど! 絶対ヤバいよね、これ!?」
「細かいこと気にするなよ、姪っ子ちゃん。ほら、兄貴も喜ぶぞ。家族の絆、ネットでバズらせてやる!」
「家族の絆って、こんな宇宙パンダ体操で深まるわけないでしょ! てか、叔父ってほんとに!? 証拠出してよ!」
パンダ、ニヤリと牙を見せながら、モフモフの手でUSBを差し出す。
「これに、俺とお前の思い出詰まってるぜ。……見る?」
USBの表面に、なんか緑汁っぽいシミがついているんだけど!? 触れることができない私には……思い出の確認ができるはずもない。
勢いつけて繰り出すパンチ!!
ぽすっ!
「……」
「おかえり~~、おお~姪っ子ちゃんは偉いなぁ~、ただいまが言えるのか」
「別にオジサンに言ったわけじゃないから! パパやママがいなくても家に帰ったら言っていたんだからね!」
「そんなにムキにならなくていいぜ、姪っ子ちゃんは照れ屋なんだから。冷蔵庫にオヤツのチョコケーキが入っているから食べな~」
「食べ物で懐柔なんかされないんだからね!!」
「可愛いなぁ~、姪っ子ちゃんは」
まったく私の拒否を受け入れる様子なく、パンダは私を褒めまくる。それで悪くない気分になってしまうのだから……困ったものだ。
「本当、困ったものだ……」
朝の衝撃映像が脳裏をよぎる。冷蔵庫の中に「ハロー」と挨拶する緑色の軟体がいるのでは?
思い切って冷蔵庫を開ければ……。
「Hello」
瓶詰めになった、かすかに輝く粘液が鎮座していた。 私は思い切りそれをゴミ箱に投げ入れる。
「よしっ!!」
「よしじゃないぞ~。俺の食料だ。好き嫌いは認めるが、人の食生活に口出しするもんじゃない」
冷静そうに語られるのが妙に腹が立つ。私はケーキを皿に乗せ、スプーンを口に加えて飲み物を手に、パンダがいるリビングへ向かった。そして正面のソファに腰を下ろす。
チョコケーキを一口、口に運ぼうとした手が止まる。
「そ、それ……」
私の欲しかった、あのハイスペックパソコン(私が買えなかったやつ!)の前に、パンダがどっしりと座っていた。鼻歌を歌いながら、器用にキーボードを打っている。私はケーキを手にしたまま、素早くパンダの背後に回り、パソコンの画面を覗き込んだ。
妙にキラキラした映像編集ソフトが開かれていて、パンダが真剣な顔(たぶん)でマウスをカチカチ。そしてパソコンの背景には……シンクで見たあのピクピク動く緑汁が、謎のエフェクトで宇宙空間に漂う映像!?
「……」
この悩ましい気持ちを、言葉にすることはできなかった。
「なにしてんの、あんた!?」
私は思わず叫んだ。だって、朝のホラー緑汁が今度はパソコンに侵入してるって、どういうこと!? いや、私のパソコンじゃないから文句は言えないんだけど……。
「くぅううう」
言いようのない気持ちで、私はうめき悶える。
「てか、それ私の欲しかったパソコンじゃん! くやしいいいい!! いつ買ったの!?」
パンダはモフモフの肩を揺らして、「ふっ」と笑った。
「配達員のバイト、結構いい稼ぎになるんだよな」
「マジですか?」
扉を開けさせるために配達員のふりをしていたかのように言っていたが、本当にバイトしていたんだ……。
「受け取り率100%の優秀な配達員だぞ」
「それは、そうでしょうね」
他人事なら、私だってパンダから荷物を受け取るために待ち構えるだろう。
「姪っ子、欲しかったなら先に言えばよかったのに!」
「欲しい!!」
「よし、兄貴に言っておいてやる」
どうせ「ダメ」って言われるに決まっている。ムカついてモフモフの背中に蹴りを入れた。
「で、何をしているの?」
パンダは画面を凝視しながら、めっちゃ落ち着いた低音ボイスで返してきた。
「これ、兄貴に送るお前の動画だよ。ほら、家族の記録って大事だろ?」
「兄貴!? 叔父ってマジなの!? てか、私の動画って何!? 勝手に撮らないでよ!」
恐る恐るパソコンの画面を覗き込むと……そこには、キラキラエフェクト全開の映像。私が朝、トースト片手に緑汁にツッコミを入れている姿がリピートされ、それが宇宙空間で浮かんでいる。
バックには「宇宙パンダ体操」とデカデカ書かれたタイトル、そして、私の動きに合わせて謎のBGMが「パン! ダ! パンダ~!」と流れている!
……って、待て、緑汁が背景でグニャグニャ蠢きながら星雲みたいになってるんだけど!?
「ちょっと! この映像なに!? 宇宙パンダ体操って!? 私のツッコミを体操に編集しないでよ!」
私はパンダの背中をパシッと叩けば、モフモフの毛並みに拳が埋もれた。無意味な攻撃だけれど、モフモフとの触れ合いは捨てきれない。
ぽすぽすぽすぽす。
「姪っ子ちゃん、そろそろやめようぜ」
「いや、アンタこそ止めなさいよ!! この緑汁エフェクト、気持ち悪すぎ! ホラー映画のポスターみたいになってるよ!」
パンダが、画面に「キラキラ星効果」を追加しながら、ボソッと呟く。
「……バズるぜ。」
その瞬間、画面の緑汁が一瞬だけ目みたいな光を放った気がして、ゾワッとした。
「ひっ!! こんなホラー体操、誰が見るの!? てか、緑汁が光ったんだけど! 絶対ヤバいよね、これ!?」
「細かいこと気にするなよ、姪っ子ちゃん。ほら、兄貴も喜ぶぞ。家族の絆、ネットでバズらせてやる!」
「家族の絆って、こんな宇宙パンダ体操で深まるわけないでしょ! てか、叔父ってほんとに!? 証拠出してよ!」
パンダ、ニヤリと牙を見せながら、モフモフの手でUSBを差し出す。
「これに、俺とお前の思い出詰まってるぜ。……見る?」
USBの表面に、なんか緑汁っぽいシミがついているんだけど!? 触れることができない私には……思い出の確認ができるはずもない。
勢いつけて繰り出すパンチ!!
ぽすっ!
「……」
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