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05.パンダ叔父、オバサマ軍団と仲良し
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家への帰り道。
遠くに見える自宅から、とてもいい匂いが香ってくる。キッチンから聞こえるのは、ジュージューと何かを焼く音と、パンダの鼻歌。
低音の鼻歌!?
どこかで聞いたことのあるメロディに、パンダがノリノリで歌い出す。
「♪パン! ダ! パンダ~♪」
って、宇宙パンダ体操のBGMじゃん! 毎朝、この音楽でパンダが体操するのを見ているうちに、なんか悪くないように思えてきたのが不思議だ。
あまりにノリノリな様子に、私は恐る恐るキッチンを覗き込む。そこにはエプロン姿の巨大なパンダ。モフモフの背中に「I♡Bamboo」と刺繍されたエプロンがシュールに映える。
カウンターには、中華料理のフルコースが並んでいた。
・季節の冷菜六種盛合せ
・鶏もも肉の唐揚げ 油淋ソース
・野菜たっぷり卵スープ
・干し貝柱焼売
・海老のチリソース煮
・豚三枚肉と大根のトロトロ醤油煮込み
・白身魚の黒酢ソース炒め
・焼きそば
・五目チャーハン
そして今はデザートを作っている。
「アンタ、中華が得意って、こんなに料理できるの!?」
私は目を丸くして、思わずパンダのモフモフした腕をつつく。モフモフ腕を握る。モフモフ腕を持ち上げる。
「え?」
「できるとも~~」
「だって、いつも竹を齧ってる奴が、こんな完璧な料理を作るなんて信じられない!」
「ふっ、姪っ子ちゃん、俺を誰だと思ってる?」
パンダがニヤリと牙を見せながら、器用に杏仁豆腐にトロリとソースをかける。トロリとしている様子に、「ハロー」と喋りだすのではとドキドキしてしまう。
色が違うから大丈夫! そう自分を慰めた。
「叔父として、可愛い姪っ子ちゃんの心をガッチリつかむぜ! ほら、食べてみな!」
その笑顔、なんか……可愛い!? いや待て、牙がキラリーンって光ってるのに可愛いって何!? でも、テーブルに並んだ料理は完璧すぎる。全部がプロの仕事のように美しい。美しいからこそ胡散臭くない? 完璧すぎて逆に怪しい!
「これ……なんかヤバい薬でも入ってるんじゃ……?」
私はフォークを手に持ったまま、皿をジーッと凝視する。だって、竹齧りパンダがこんなに食べきれない量の料理を作るなんて、裏があるとしか思えない!
「まったく疑り深いな、姪っ子ちゃんは! まぁ、いいさ。ほら、食べてみな!」
パンダがモフモフの手で自分の分をパクパク食べ始める。その食べっぷり、めっちゃ美味そう……いや、可愛い!? いや、じゃなくて毛! 慌てて手を掴むが、料理の痕跡が手にこびりついている様子はない。
はてな?
その時、ピンポーン! 玄関のチャイムが鳴る。
振り返る間もなく、近所のおばちゃんたちがドドドッと雪崩れ込んできた。
「パンダさああん! いい匂いしたから来たよ~!」
「やっぱパンダさんの料理は最高だね!」
……って、なに!? 近所の人、パンダと顔なじみ!? いつから!? あれよあれよという間に、リビングは宴会モード。おばちゃんたちが「美味しい!」「パンダさん、天才!」「これ、都会のレストランでも通用するよ!」と、料理をガツガツ食べ始めた。
私は呆然とフォークを握ったまま。……え、みんな普通に食べてる。めっちゃ美味そう。
そして料理が食べ尽くされ、お茶タイムに入り込んだ。
その瞬間、お腹が鳴った。
ぐ~~~~。
「お腹空いた……」
ポツリと呟くと、パンダがニヤッと振り向く。
「あぁ~、ごめんな、姪っ子ちゃん。もう冷蔵庫、これしか残ってねぇや。」
モフモフの手が差し出したのは……キラキラ光るグラスに、グニャグニャと蠢くあの緑汁! 封印したはずのホラーが復活してる!?
「うそ! なんで緑汁!? それ捨てたはず! 飲んだら呪われるやつじゃない!!」
私は全力で拒否するけど、パンダの目が「☆」みたいにキラキラしている。
「姪っ子ちゃんなら飲んでも大丈夫だろ? なにせ俺の姪っ子だからな。 ほら、叔父ちゃんのとっておき! 家族の絆、味わえよ! なぁ、なぁ」
「家族の絆が緑汁で深まるわけないでしょ! てか、伯父ってほんとに!? 証拠まだ出てないよ!」
近所の人たちが「パンダさああん!」と盛り上がり、キッチンに呼びに来る。私は緑汁のグラスと置き去りにされた。
なぜかこのモフモフ叔父とのバカバカしい時間が、ほんの少し愛おしく感じ始めている自分に気づきながらも……空腹と戦う……。
「Hello、僕をお食べよ」
私は、それをシンクに流してコンビニへ向かったのだが、気づけば宇宙パンダ体操の歌を口ずさんでいた。
遠くに見える自宅から、とてもいい匂いが香ってくる。キッチンから聞こえるのは、ジュージューと何かを焼く音と、パンダの鼻歌。
低音の鼻歌!?
どこかで聞いたことのあるメロディに、パンダがノリノリで歌い出す。
「♪パン! ダ! パンダ~♪」
って、宇宙パンダ体操のBGMじゃん! 毎朝、この音楽でパンダが体操するのを見ているうちに、なんか悪くないように思えてきたのが不思議だ。
あまりにノリノリな様子に、私は恐る恐るキッチンを覗き込む。そこにはエプロン姿の巨大なパンダ。モフモフの背中に「I♡Bamboo」と刺繍されたエプロンがシュールに映える。
カウンターには、中華料理のフルコースが並んでいた。
・季節の冷菜六種盛合せ
・鶏もも肉の唐揚げ 油淋ソース
・野菜たっぷり卵スープ
・干し貝柱焼売
・海老のチリソース煮
・豚三枚肉と大根のトロトロ醤油煮込み
・白身魚の黒酢ソース炒め
・焼きそば
・五目チャーハン
そして今はデザートを作っている。
「アンタ、中華が得意って、こんなに料理できるの!?」
私は目を丸くして、思わずパンダのモフモフした腕をつつく。モフモフ腕を握る。モフモフ腕を持ち上げる。
「え?」
「できるとも~~」
「だって、いつも竹を齧ってる奴が、こんな完璧な料理を作るなんて信じられない!」
「ふっ、姪っ子ちゃん、俺を誰だと思ってる?」
パンダがニヤリと牙を見せながら、器用に杏仁豆腐にトロリとソースをかける。トロリとしている様子に、「ハロー」と喋りだすのではとドキドキしてしまう。
色が違うから大丈夫! そう自分を慰めた。
「叔父として、可愛い姪っ子ちゃんの心をガッチリつかむぜ! ほら、食べてみな!」
その笑顔、なんか……可愛い!? いや待て、牙がキラリーンって光ってるのに可愛いって何!? でも、テーブルに並んだ料理は完璧すぎる。全部がプロの仕事のように美しい。美しいからこそ胡散臭くない? 完璧すぎて逆に怪しい!
「これ……なんかヤバい薬でも入ってるんじゃ……?」
私はフォークを手に持ったまま、皿をジーッと凝視する。だって、竹齧りパンダがこんなに食べきれない量の料理を作るなんて、裏があるとしか思えない!
「まったく疑り深いな、姪っ子ちゃんは! まぁ、いいさ。ほら、食べてみな!」
パンダがモフモフの手で自分の分をパクパク食べ始める。その食べっぷり、めっちゃ美味そう……いや、可愛い!? いや、じゃなくて毛! 慌てて手を掴むが、料理の痕跡が手にこびりついている様子はない。
はてな?
その時、ピンポーン! 玄関のチャイムが鳴る。
振り返る間もなく、近所のおばちゃんたちがドドドッと雪崩れ込んできた。
「パンダさああん! いい匂いしたから来たよ~!」
「やっぱパンダさんの料理は最高だね!」
……って、なに!? 近所の人、パンダと顔なじみ!? いつから!? あれよあれよという間に、リビングは宴会モード。おばちゃんたちが「美味しい!」「パンダさん、天才!」「これ、都会のレストランでも通用するよ!」と、料理をガツガツ食べ始めた。
私は呆然とフォークを握ったまま。……え、みんな普通に食べてる。めっちゃ美味そう。
そして料理が食べ尽くされ、お茶タイムに入り込んだ。
その瞬間、お腹が鳴った。
ぐ~~~~。
「お腹空いた……」
ポツリと呟くと、パンダがニヤッと振り向く。
「あぁ~、ごめんな、姪っ子ちゃん。もう冷蔵庫、これしか残ってねぇや。」
モフモフの手が差し出したのは……キラキラ光るグラスに、グニャグニャと蠢くあの緑汁! 封印したはずのホラーが復活してる!?
「うそ! なんで緑汁!? それ捨てたはず! 飲んだら呪われるやつじゃない!!」
私は全力で拒否するけど、パンダの目が「☆」みたいにキラキラしている。
「姪っ子ちゃんなら飲んでも大丈夫だろ? なにせ俺の姪っ子だからな。 ほら、叔父ちゃんのとっておき! 家族の絆、味わえよ! なぁ、なぁ」
「家族の絆が緑汁で深まるわけないでしょ! てか、伯父ってほんとに!? 証拠まだ出てないよ!」
近所の人たちが「パンダさああん!」と盛り上がり、キッチンに呼びに来る。私は緑汁のグラスと置き去りにされた。
なぜかこのモフモフ叔父とのバカバカしい時間が、ほんの少し愛おしく感じ始めている自分に気づきながらも……空腹と戦う……。
「Hello、僕をお食べよ」
私は、それをシンクに流してコンビニへ向かったのだが、気づけば宇宙パンダ体操の歌を口ずさんでいた。
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