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3章 罪人
02.
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機能性重視の聖騎士団の制服、見栄え重視の王宮騎士団の制服、分かりやすくソレを交互に見て、もう一度声にだしていった。
挑発するように馬鹿にしたかのように投げやりにレイモンドは問いかける。
「恰好をつけたい? ですか?」
「孤児の分際で偉そうに!! この、親無しが!!」
王宮騎士達はレイモンドの周囲を囲み、見下し小馬鹿にして見せてはいる。 そんな態度をとっているが、実際には背の高いレイモンドに見下ろされた状態になっている王宮騎士は苛立ちを露わにした。
「膝をつけ!!」
脛に蹴りを入れたが、レイモンドはびくりともしなかった。
「膝をつけと言っている!!」
「はいはい、わかりました。 今、座りますよ」
溜息と共に正座をして見せた。
「これでいいですか? 今回は随分と大勢でおいでですが、何時も通り何も見つからないと思いますよ」
レイモンドの言葉の一つ一つに王宮騎士は苛立ちを感じ、そのまま蹴りを入れた。 足が当たる瞬間、レイモンドは僅かに考え込み、上体を折って見せる。 ダメージを受けた体裁を作られた王宮騎士は余計に腹を立てるが、どれだけ一方的な暴力をふるっても意味はない。
それもまた王宮騎士と聖騎士の差だった。
「いい加減にしないか。 見苦しいぞ。 化け物退治専門の消耗品をいちいち相手にするな」
王宮騎士達の後ろから優雅に華美な儀礼服で現れたのは、カルロス・ファニング王宮騎士副団長であり侯爵家の次期当主が約束された男。
「申し訳ありません!!」
「それで、書類は見つかったのか?」
「いえ……まだです」
デスクに置かれた紙のようなものには、各村からの願いが書かれていた。 子供達からのお礼が書かれていた。 壁に並ぶ粗末な棚にはそんな手紙と、お礼にと送られてきた細やかな物が並べられている。
執務室に置かれた書類は全て確認し破り捨てられ、棚と言う棚がひっくり返され、並べられていたお礼の品は破壊される。
「止めて下さい」
レイモンドが訴えれば、カルロスは眉間を寄せ不快そうな様子を露わにしたが、感謝の気持ちと言う奴を踏みにじる王宮騎士達は、最高位の武力を誇るレイモンドを踏みにじっている快感に囚われ真実に気付いてなかった。
「お前なぁ……もう少し本気で止めろよ」
「私が本気で止めたら、貴方達に怪我をさせ面倒ごとが大きくなるばかりでしょう」
レイモンドの答えにカルロスは溜息をつき、吐き出すように言った。
「偽善者が」
そうカルロスが呟くのは、
レイモンドがお礼の手紙や品々を大切にしている……ように見せているが、そういう恰好を取っているだけ、それがどういう扱いをうけようと、一度だって心を動かされる事がない事に気付いているから。
「見つかるまで探せ、壁の裏側、天井裏、何もかもだ」
指揮を執っていた男がカルロスを押し退ける。
「そんな事をされると困るのですが」
「その言葉、後ろ暗いものがあると言ったのも同然だぞ。 隠そうとしても無理だ、証人が全てを語り、こうして実際に狩られた魔物と国に持ち込まれた魔物の数が違う事を証拠付ける書類が出て来た。 後は、何処の国と取引されたか、ソレを裏付けする書類が見つかればオマエは終わる」
勝ち誇る指揮官の男の表情は恍惚とし、何か妄想を抱いている風にすらあるが、レイモンドの返しはそうではありませんと首を横に振る。
「貴方が言っている事に全く覚えがありませんが、どうしてもというなら好きなだけお探し下さい。 ですが、乱暴は控えて下さい。 建物が壊れてしまいますから」
そして……ギシギシと建物は不穏な音を立て崩れた。
細い柱の建物を薄い板で出来た壁でかろうじて支えていた建物はかなり古く、王宮騎士団の乱暴に耐えきれないのは当然の事だった。 それでも軽く弱い壁や天井だったため、王宮騎士団から数人怪我人をだしただけで済んだ。
「ほら、言ったでしょう。 冬を前にどうしてくれるんですか」
レイモンドはカルロスへと視線を向ける。
「仕方ない……何も見つからなければ旧王宮騎士団の庁舎を使わせてやる」
「副団長!! 本気ですか!!」
「お前達が壊したんだろう。 ただし、お前達が王宮騎士団敷地内に居られるのは不快だから、旧庁舎をやるからここに運んで使うといい」
カルロスはニヤリと笑って見せた。 特殊な力を持っているとはいえ、300人ほどが常に出入りしていた広さを持つ庁舎だ。 運べるはずはない。
「流石、カルロス様は懐が広い」
レイモンドはニコニコと笑みを浮かべて見せ、それもまたカルロスを始め王宮騎士達を不快にさせた。
「さぁ、お前らシッカリと不正の書類を見つけろ!!」
「無駄な事をなさっているのですから」
「どうかな? 何も見つからなければ、お前達は巨大なゴミを手に入れる。 もし見つかれはお前には聖騎士専用の懲罰房に入り、改めて調査と取り調べをさせてもらう」
「……やれやれ、仕方がありませんね」
何もあるはずが無かった。
何もしていないのだから。
だが、その日のうちに魔物を売却するための商人との取引記録が見つかった。 それらはレイモンドの文字では無かったが、全て商人側で書かれていたため、レイモンドが関与していないとも、関与しているとも言いきれなかった。
挑発するように馬鹿にしたかのように投げやりにレイモンドは問いかける。
「恰好をつけたい? ですか?」
「孤児の分際で偉そうに!! この、親無しが!!」
王宮騎士達はレイモンドの周囲を囲み、見下し小馬鹿にして見せてはいる。 そんな態度をとっているが、実際には背の高いレイモンドに見下ろされた状態になっている王宮騎士は苛立ちを露わにした。
「膝をつけ!!」
脛に蹴りを入れたが、レイモンドはびくりともしなかった。
「膝をつけと言っている!!」
「はいはい、わかりました。 今、座りますよ」
溜息と共に正座をして見せた。
「これでいいですか? 今回は随分と大勢でおいでですが、何時も通り何も見つからないと思いますよ」
レイモンドの言葉の一つ一つに王宮騎士は苛立ちを感じ、そのまま蹴りを入れた。 足が当たる瞬間、レイモンドは僅かに考え込み、上体を折って見せる。 ダメージを受けた体裁を作られた王宮騎士は余計に腹を立てるが、どれだけ一方的な暴力をふるっても意味はない。
それもまた王宮騎士と聖騎士の差だった。
「いい加減にしないか。 見苦しいぞ。 化け物退治専門の消耗品をいちいち相手にするな」
王宮騎士達の後ろから優雅に華美な儀礼服で現れたのは、カルロス・ファニング王宮騎士副団長であり侯爵家の次期当主が約束された男。
「申し訳ありません!!」
「それで、書類は見つかったのか?」
「いえ……まだです」
デスクに置かれた紙のようなものには、各村からの願いが書かれていた。 子供達からのお礼が書かれていた。 壁に並ぶ粗末な棚にはそんな手紙と、お礼にと送られてきた細やかな物が並べられている。
執務室に置かれた書類は全て確認し破り捨てられ、棚と言う棚がひっくり返され、並べられていたお礼の品は破壊される。
「止めて下さい」
レイモンドが訴えれば、カルロスは眉間を寄せ不快そうな様子を露わにしたが、感謝の気持ちと言う奴を踏みにじる王宮騎士達は、最高位の武力を誇るレイモンドを踏みにじっている快感に囚われ真実に気付いてなかった。
「お前なぁ……もう少し本気で止めろよ」
「私が本気で止めたら、貴方達に怪我をさせ面倒ごとが大きくなるばかりでしょう」
レイモンドの答えにカルロスは溜息をつき、吐き出すように言った。
「偽善者が」
そうカルロスが呟くのは、
レイモンドがお礼の手紙や品々を大切にしている……ように見せているが、そういう恰好を取っているだけ、それがどういう扱いをうけようと、一度だって心を動かされる事がない事に気付いているから。
「見つかるまで探せ、壁の裏側、天井裏、何もかもだ」
指揮を執っていた男がカルロスを押し退ける。
「そんな事をされると困るのですが」
「その言葉、後ろ暗いものがあると言ったのも同然だぞ。 隠そうとしても無理だ、証人が全てを語り、こうして実際に狩られた魔物と国に持ち込まれた魔物の数が違う事を証拠付ける書類が出て来た。 後は、何処の国と取引されたか、ソレを裏付けする書類が見つかればオマエは終わる」
勝ち誇る指揮官の男の表情は恍惚とし、何か妄想を抱いている風にすらあるが、レイモンドの返しはそうではありませんと首を横に振る。
「貴方が言っている事に全く覚えがありませんが、どうしてもというなら好きなだけお探し下さい。 ですが、乱暴は控えて下さい。 建物が壊れてしまいますから」
そして……ギシギシと建物は不穏な音を立て崩れた。
細い柱の建物を薄い板で出来た壁でかろうじて支えていた建物はかなり古く、王宮騎士団の乱暴に耐えきれないのは当然の事だった。 それでも軽く弱い壁や天井だったため、王宮騎士団から数人怪我人をだしただけで済んだ。
「ほら、言ったでしょう。 冬を前にどうしてくれるんですか」
レイモンドはカルロスへと視線を向ける。
「仕方ない……何も見つからなければ旧王宮騎士団の庁舎を使わせてやる」
「副団長!! 本気ですか!!」
「お前達が壊したんだろう。 ただし、お前達が王宮騎士団敷地内に居られるのは不快だから、旧庁舎をやるからここに運んで使うといい」
カルロスはニヤリと笑って見せた。 特殊な力を持っているとはいえ、300人ほどが常に出入りしていた広さを持つ庁舎だ。 運べるはずはない。
「流石、カルロス様は懐が広い」
レイモンドはニコニコと笑みを浮かべて見せ、それもまたカルロスを始め王宮騎士達を不快にさせた。
「さぁ、お前らシッカリと不正の書類を見つけろ!!」
「無駄な事をなさっているのですから」
「どうかな? 何も見つからなければ、お前達は巨大なゴミを手に入れる。 もし見つかれはお前には聖騎士専用の懲罰房に入り、改めて調査と取り調べをさせてもらう」
「……やれやれ、仕方がありませんね」
何もあるはずが無かった。
何もしていないのだから。
だが、その日のうちに魔物を売却するための商人との取引記録が見つかった。 それらはレイモンドの文字では無かったが、全て商人側で書かれていたため、レイモンドが関与していないとも、関与しているとも言いきれなかった。
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