6 / 16
前編
05
しおりを挟む
「英雄である兄様に恥をかかせるって、何考えてんのよ!!あの女!!」
人目もはばからず声を荒げ、正直逃げてしまいたかったのだけど……なんで、メアリーは僕の手をとったままなんだ?
狼狽え、途方に暮れ歩いていれば、人々の囁きが耳につき、人の視線が気にかかる。
「メアリー、君は羞恥と言うものないの?」
「はぁ? それは、あの女が感じるべきだわ。 なんでしたら、私、兄様のためにあの女が金も支払わずカフェを出て行ったと叫んで見せますよ!!」
そう得意満面に言う。
「やめてくれ……本当なら、僕が払うべきだったんだ。 ずっと……彼女が先に来て僕を持て成してくれていただけ……」
「ソレの何処がおかしいんですの? 兄様は国の英雄よ? 当たり前ですわ」
その得意そうな顔に唖然とした。
「あたりまえ……」
ずっと、そう思っていた。
それが正しい。
なのに……なぜ、僕はこんなにも狼狽えているんだろう。
『もう、死んでくれればいいのに……』
荒れ狂う魔力風の中、冷ややかな視線と共に感情の無い……いや、氷のように、全てを凍らせるような視線と共に呟かれる声が、脳裏に浮かんだ。
ダメだ……。
もう2度とあんな目で見られたくない。
あんな風に思われたくない。
夢の中の出来事なのに、とてもリアルで……彼女に見放された事、その絶望は刃物よりも恐ろしかった。
「メアリー、僕らは彼女に甘え過ぎていないか?」
「何を言っているの? 私達は家族でしょう? それに、そんなに真剣に何を怒っているのよ。 兄様だって、家族の間で貸し借りに遠慮するものではないと言っていたでしょう」
「貸し借りって言うのは……借りっぱなしの事を言うんじゃないと思う……」
一言、一言呟くたびに後悔が重なる。
早く……謝らないと……。
「僕は行くから」
ガッシリとウィルの手を掴んでいたメアリーの手は、ウィルの手に唖然とし解けていた。 ウィルはその手を振り払い走り出す。
「兄様!! 私を一人にしないで!! 彼女は私にして当然じゃない!! 私達は家族になるんだし、それに、なんでも持っているんだもの」
胸の奥がざわりとした。
頭が痛くて走る足が止まった。
思い浮かぶのは遠い記憶、今は英雄と呼ばれていた自分が弱くて弱くて仕方が無かった頃の汚点……忘れていた。
ウィルはメアリーを振り返る。
「メアリー……彼女だって君と同じなんだ。 両親を亡くし、故郷を失っている」
ソフィラの両親が敵国の捕虜として捕まり処刑されたのは、僕が初陣の時だった。 あの時は、大魔導師どころか魔力を練り上げる事すら上手く出来ずにいた。 僕の他にも同じ悩みを抱えている者は多く、魔術も使えない学生が戦場に出てどうすると言うんだ!!と、文句を言いながら戦場の中で混ざり合う魔力渦を体験するために戦場に送り出された。
そして……僕とカールは、ソフィラの両親に彼女を託されたんだ……。
カールの家が代々騎士の家系であるように、ソフィラの家系は代々魔導師の家系で、あの時果報と言える魔道具を彼女のためにいくつも持ちだしていた。
そして……一目見て僕の悩み……魔法的未熟を察した彼女の両親は、僕にネックレスを与えてくれた。 カールも何か魔術を授かっていたのだけど、僕はあの日の事を忘れていた。
両親の処刑を声一つたてず、歯を食いしばり、静かに涙し見つめていた彼女に僕は罪悪感を抱いていたのだ。
「メアリー……自分だけが不幸だと思うな」
自分を不幸だと、記憶を忘れ去っていた癖に……自分の言葉が自分の胸に刺さる。
ソフィラの過去を思い出した僕は、考えるよりも先に口を開いていた。
そして……僕は、すたすたと歩み寄って来ていたメアリーに何故か殴られた。
「勝手な事を言わないでよね。 お兄様は私の家族も屋敷も財産も領民もあらゆるものが救えなかった!! 近くに居たのに!! 国1番の魔導士なのに!!」
「僕が使う魔術は、破壊のためのもので救済のためのものじゃない。 それに世の中には君が望むような都合の良い魔術なんて存在しないんだ!!」
「いいえ、やりようはあったはず。 周囲一帯の人に強化の状態変動を付与出来れば良かったのよ!! 兄様……私は、兄様を許さないんだから。 私の大切なものを何も救ってくれなかった兄様を……。 だから私は……楽師となって人を救うって決めたの。 ソレを支援するのは……兄様の義務だわ。 来月には学園内に貴族の方々を招いた発表会があるんだから、責任を持って衣装と装飾品の準備をしてくださいね」
「今日はそんな気分じゃない。 それに……破壊系の魔導師の給料はそんなに大きくはない……僕たちには僕たちに相応しく、日を改めて貸衣装を決めにいこう。 僕たちの時代は、演奏会の時には全員制服とか、先輩から受け継がれる衣装を着る者も多かったし、貸衣装も当たり前だった。 それでいいだろう?」
「私は!! お兄様の妹と言う事になっているのよ!! 英雄的大魔導師の妹がそんなみすぼらしい恰好でどうするの!! 私に恥を書けって言う訳?!」
「生憎と僕はそんなに大層な人間じゃないからね。 何しろ、僕自身がこんな格好だ」
ぼろぼろの年季の入ったローブ。
「お兄様はお兄様、私は私。 一体なんなのよ今日は!! お兄様もソフィラもおかしいわ!! ちょっと手配してくれればいいだけなのに、なんなのよ!!」
ちょっとドレスを手配して一体幾らかかるか彼女は分かっていない。
僕の給料では無理。
今まではソフィラがいたから何とかなっていた。
彼女の力は植物の育成だ。
それも一般的な植物を急成長させる力の他に、さまざまな花を咲かせる。
例えば、肥料花。 植物を植える際に肥料花を咲かせれば作物が良く越える。
例えば、鎮静花。 痛み止め等に良く使われる。
例えば、睡眠花。 戦の最中、敵陣営に咲かせれば大きな功績となるだろう。
例えば、強花。 花の香りでステータスを強化させる。
そんな感じで、各領地の食料危機を乗り切り、時に領地の特産品を作り出す。 そうやって利益を与える事から、ソフィラの元には様々な贈り物が集まるのだ。 布地に宝石、時に現金が持ち込まれる。
ソフィラは、
「私は国王陛下のしもべ、あなた達が陛下の部下である限り守るべき存在なだけです。 感謝は私ではなく陛下に示してくださいませ」
何時だってソフィラはそう語っていた。 それでも、感謝を直接示したい者、優先的に支援を得たい者がソフィラに贈り物をするし、陛下もまたソレを許していた。
ソフィラは資産家だ。
だから、メアリーを任せた。
いや……
『彼女は全てを失くした可哀そうな子なんだ』
『彼女も国のためにあろうとしているんだ』
『彼女にだってチャンスがあっていいはずだ』
『君は、自分以外の活躍を応援出来ないのか』
そう矢継ぎ早に怒鳴り散らした自分を思い出し、血の気が引いた。
『そうですか……』
静かにそう語った彼女の顔を思い出せない。
劣等感か?
罪悪感か?
僕は彼女の顔を見る事無く喚き散らしたんだ。
「メアリー、彼女と顔を合わせたら……謝罪したほうがいい。 本来であれば、君は自分が出来る範囲で努力をするべきなんだ。 学生なんだから制服で発表の場に望む者も少なくはないだろう」
「何よ、急に!! 大勢の人が王宮楽師を目指しているのよ!! あらゆる事をしなければ、見てももらえないのよ!!」
「そんな事はない……楽師の音色は魔術式なんだ。 ソレをちゃんと奏でられる者を人はむげにはしないんだ」
頭が痛い……。
そう、まだ、1年生の彼女は魔力路を回転させる魔力発生の訓練に力を入れる時期なんだ……。 メアリーはそれが思ったように出来ないからと、特訓を嫌って逃げ出す。 僕の名やソフィラの名を出せば講師は、機嫌を損ねたくないと無理を強いる事はしない。
彼女は大成しない。
楽器だけはそこそこ弾けるから、ずるずると上手くいかない事から顔を背けるんだ。 僕とソフィラの名を出し、仲間を募り、ソフィラへの贈り物を仲間に分け与える事で、体裁を保ってしまうんだ……。
実力を詐称し、公爵に取り入り、隣国の王子に見初められ……やがて……分不相応な大任を任され追い詰められる。
そんな事実等存在しないのに、ウィルの心は追い詰められていた。
ソフィラを僕の人生に巻き込む事は出来ない……。
人目もはばからず声を荒げ、正直逃げてしまいたかったのだけど……なんで、メアリーは僕の手をとったままなんだ?
狼狽え、途方に暮れ歩いていれば、人々の囁きが耳につき、人の視線が気にかかる。
「メアリー、君は羞恥と言うものないの?」
「はぁ? それは、あの女が感じるべきだわ。 なんでしたら、私、兄様のためにあの女が金も支払わずカフェを出て行ったと叫んで見せますよ!!」
そう得意満面に言う。
「やめてくれ……本当なら、僕が払うべきだったんだ。 ずっと……彼女が先に来て僕を持て成してくれていただけ……」
「ソレの何処がおかしいんですの? 兄様は国の英雄よ? 当たり前ですわ」
その得意そうな顔に唖然とした。
「あたりまえ……」
ずっと、そう思っていた。
それが正しい。
なのに……なぜ、僕はこんなにも狼狽えているんだろう。
『もう、死んでくれればいいのに……』
荒れ狂う魔力風の中、冷ややかな視線と共に感情の無い……いや、氷のように、全てを凍らせるような視線と共に呟かれる声が、脳裏に浮かんだ。
ダメだ……。
もう2度とあんな目で見られたくない。
あんな風に思われたくない。
夢の中の出来事なのに、とてもリアルで……彼女に見放された事、その絶望は刃物よりも恐ろしかった。
「メアリー、僕らは彼女に甘え過ぎていないか?」
「何を言っているの? 私達は家族でしょう? それに、そんなに真剣に何を怒っているのよ。 兄様だって、家族の間で貸し借りに遠慮するものではないと言っていたでしょう」
「貸し借りって言うのは……借りっぱなしの事を言うんじゃないと思う……」
一言、一言呟くたびに後悔が重なる。
早く……謝らないと……。
「僕は行くから」
ガッシリとウィルの手を掴んでいたメアリーの手は、ウィルの手に唖然とし解けていた。 ウィルはその手を振り払い走り出す。
「兄様!! 私を一人にしないで!! 彼女は私にして当然じゃない!! 私達は家族になるんだし、それに、なんでも持っているんだもの」
胸の奥がざわりとした。
頭が痛くて走る足が止まった。
思い浮かぶのは遠い記憶、今は英雄と呼ばれていた自分が弱くて弱くて仕方が無かった頃の汚点……忘れていた。
ウィルはメアリーを振り返る。
「メアリー……彼女だって君と同じなんだ。 両親を亡くし、故郷を失っている」
ソフィラの両親が敵国の捕虜として捕まり処刑されたのは、僕が初陣の時だった。 あの時は、大魔導師どころか魔力を練り上げる事すら上手く出来ずにいた。 僕の他にも同じ悩みを抱えている者は多く、魔術も使えない学生が戦場に出てどうすると言うんだ!!と、文句を言いながら戦場の中で混ざり合う魔力渦を体験するために戦場に送り出された。
そして……僕とカールは、ソフィラの両親に彼女を託されたんだ……。
カールの家が代々騎士の家系であるように、ソフィラの家系は代々魔導師の家系で、あの時果報と言える魔道具を彼女のためにいくつも持ちだしていた。
そして……一目見て僕の悩み……魔法的未熟を察した彼女の両親は、僕にネックレスを与えてくれた。 カールも何か魔術を授かっていたのだけど、僕はあの日の事を忘れていた。
両親の処刑を声一つたてず、歯を食いしばり、静かに涙し見つめていた彼女に僕は罪悪感を抱いていたのだ。
「メアリー……自分だけが不幸だと思うな」
自分を不幸だと、記憶を忘れ去っていた癖に……自分の言葉が自分の胸に刺さる。
ソフィラの過去を思い出した僕は、考えるよりも先に口を開いていた。
そして……僕は、すたすたと歩み寄って来ていたメアリーに何故か殴られた。
「勝手な事を言わないでよね。 お兄様は私の家族も屋敷も財産も領民もあらゆるものが救えなかった!! 近くに居たのに!! 国1番の魔導士なのに!!」
「僕が使う魔術は、破壊のためのもので救済のためのものじゃない。 それに世の中には君が望むような都合の良い魔術なんて存在しないんだ!!」
「いいえ、やりようはあったはず。 周囲一帯の人に強化の状態変動を付与出来れば良かったのよ!! 兄様……私は、兄様を許さないんだから。 私の大切なものを何も救ってくれなかった兄様を……。 だから私は……楽師となって人を救うって決めたの。 ソレを支援するのは……兄様の義務だわ。 来月には学園内に貴族の方々を招いた発表会があるんだから、責任を持って衣装と装飾品の準備をしてくださいね」
「今日はそんな気分じゃない。 それに……破壊系の魔導師の給料はそんなに大きくはない……僕たちには僕たちに相応しく、日を改めて貸衣装を決めにいこう。 僕たちの時代は、演奏会の時には全員制服とか、先輩から受け継がれる衣装を着る者も多かったし、貸衣装も当たり前だった。 それでいいだろう?」
「私は!! お兄様の妹と言う事になっているのよ!! 英雄的大魔導師の妹がそんなみすぼらしい恰好でどうするの!! 私に恥を書けって言う訳?!」
「生憎と僕はそんなに大層な人間じゃないからね。 何しろ、僕自身がこんな格好だ」
ぼろぼろの年季の入ったローブ。
「お兄様はお兄様、私は私。 一体なんなのよ今日は!! お兄様もソフィラもおかしいわ!! ちょっと手配してくれればいいだけなのに、なんなのよ!!」
ちょっとドレスを手配して一体幾らかかるか彼女は分かっていない。
僕の給料では無理。
今まではソフィラがいたから何とかなっていた。
彼女の力は植物の育成だ。
それも一般的な植物を急成長させる力の他に、さまざまな花を咲かせる。
例えば、肥料花。 植物を植える際に肥料花を咲かせれば作物が良く越える。
例えば、鎮静花。 痛み止め等に良く使われる。
例えば、睡眠花。 戦の最中、敵陣営に咲かせれば大きな功績となるだろう。
例えば、強花。 花の香りでステータスを強化させる。
そんな感じで、各領地の食料危機を乗り切り、時に領地の特産品を作り出す。 そうやって利益を与える事から、ソフィラの元には様々な贈り物が集まるのだ。 布地に宝石、時に現金が持ち込まれる。
ソフィラは、
「私は国王陛下のしもべ、あなた達が陛下の部下である限り守るべき存在なだけです。 感謝は私ではなく陛下に示してくださいませ」
何時だってソフィラはそう語っていた。 それでも、感謝を直接示したい者、優先的に支援を得たい者がソフィラに贈り物をするし、陛下もまたソレを許していた。
ソフィラは資産家だ。
だから、メアリーを任せた。
いや……
『彼女は全てを失くした可哀そうな子なんだ』
『彼女も国のためにあろうとしているんだ』
『彼女にだってチャンスがあっていいはずだ』
『君は、自分以外の活躍を応援出来ないのか』
そう矢継ぎ早に怒鳴り散らした自分を思い出し、血の気が引いた。
『そうですか……』
静かにそう語った彼女の顔を思い出せない。
劣等感か?
罪悪感か?
僕は彼女の顔を見る事無く喚き散らしたんだ。
「メアリー、彼女と顔を合わせたら……謝罪したほうがいい。 本来であれば、君は自分が出来る範囲で努力をするべきなんだ。 学生なんだから制服で発表の場に望む者も少なくはないだろう」
「何よ、急に!! 大勢の人が王宮楽師を目指しているのよ!! あらゆる事をしなければ、見てももらえないのよ!!」
「そんな事はない……楽師の音色は魔術式なんだ。 ソレをちゃんと奏でられる者を人はむげにはしないんだ」
頭が痛い……。
そう、まだ、1年生の彼女は魔力路を回転させる魔力発生の訓練に力を入れる時期なんだ……。 メアリーはそれが思ったように出来ないからと、特訓を嫌って逃げ出す。 僕の名やソフィラの名を出せば講師は、機嫌を損ねたくないと無理を強いる事はしない。
彼女は大成しない。
楽器だけはそこそこ弾けるから、ずるずると上手くいかない事から顔を背けるんだ。 僕とソフィラの名を出し、仲間を募り、ソフィラへの贈り物を仲間に分け与える事で、体裁を保ってしまうんだ……。
実力を詐称し、公爵に取り入り、隣国の王子に見初められ……やがて……分不相応な大任を任され追い詰められる。
そんな事実等存在しないのに、ウィルの心は追い詰められていた。
ソフィラを僕の人生に巻き込む事は出来ない……。
175
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
愛を騙るな
篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」
「………」
「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」
王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。
「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」
「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」
「い、いや、それはできぬ」
「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」
「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」
途端、王妃の嘲る笑い声が響く。
「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」
[完結]裏切りの果てに……
青空一夏
恋愛
王都に本邸を構える大商会、アルマード男爵家の一人娘リリアは、父の勧めで王立近衛騎士団から引き抜かれた青年カイルと婚約する。
彼は公爵家の分家筋の出身で、政争で没落したものの、誇り高く優秀な騎士だった。
穏やかで誠実な彼に惹かれていくリリア。
だが、学園の同級生レオンのささやいた一言が、彼女の心を揺らす。
「カイルは優しい人なんだろ? 君が望めば、何でもしてくれるはずさ。
でも、それは――仕事だからだよ。結婚も仕事のうちさ。
だって、雇い主の命令に逆らえないでしょ?
君に好意がなくても、義務でそうするんだ」
その言葉が頭から離れないリリアは、カイルの同僚たちに聞き込み、彼に病気の家族がいると知った。「治療費のために自分と結婚するの?」 そう思い込んだリリアに、父母がそろって事故死するという不幸が襲う。
レオンはリリアを惑わし、孤立させ、莫大な持参金を持って自分の元へ嫁ぐように仕向けるのだった。
だが、待っていたのは愛ではなく、孤独と裏切り。
日差しの差さない部屋に閉じ込められ、心身を衰弱させていくリリア。
「……カイル、助けて……」
そう呟いたとき。動き出したのは、かつて彼女を守ると誓った男――カイル・グランベルだった。そしてリリアも自らここを抜けだし、レオンを懲らしめてやろうと決意するようになり……
今、失われた愛と誇りを取り戻す物語が始まる。
私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります
せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。
読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。
「私は君を愛することはないだろう。
しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。
これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」
結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。
この人は何を言っているのかしら?
そんなことは言われなくても分かっている。
私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。
私も貴方を愛さない……
侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。
そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。
記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。
この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。
それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。
そんな私は初夜を迎えることになる。
その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……
よくある記憶喪失の話です。
誤字脱字、申し訳ありません。
ご都合主義です。
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる