7 / 16
前編
06
しおりを挟む
言った……。
とうとう言ってやった。
言ってやった!!
言ってやった!!
高まる感情にソフィラの頬は蒸気する。
何時もなら必要のない外出を控えるソフィラだが、はしゃぎたい気分だった。
酒場に出向くのもいい。
信者と化している貴族に願って狩りに出るのも悪くないかも知れない。
吟遊詩人を呼び、私だけのために歌わせるのも良いだろう。
何時もなら我慢をする踊りだすような気分、今日は喜びを解放しよう!!
ソフィラは歌を歌った。
「ぇっ、いややあああああああ!!」
身に蔦が絡みむ。
棘のある蔦。
咲かせる花は薄暗い。
一気に気分が沈んだ。
自らを覆う花の薄暗い色と棘を見れば、自分の精神状態が良いものではないと理解できて戸惑う。
なんで?
なんでなの?
これまで感じたことのないほどの幸福を感じていたのに。
何が悪かったの?
あの破滅の未来へと突き進むしかなかったの?
言い訳のように、そう考えた私の脳裏からは……あの魔力風、自死を持って脅すウィル様、長く長く屋敷を我が物顔で荒らすメアリー、その記憶が薄くなっていた。
言い訳が……、
理由が……、
夢のように薄らんでいた。
気分が良かったのに!!
頑張ったのに!!
未来を切り開いた……つもりだったのに!!
国一番の破壊の化身と呼ばれるウィル様と、その寵愛を得ているメアリーに反論した時……怖かった。 だけれど……言わなかったところで向かう未来は終わりでしかない。
怖かった。
怖かったけれど……。
未来を変えたかった。
鼓動は早くなり、手のひらに汗をかいた。
私は怒っているのだと表情を作った。
必死だった……。
必死に隠していた本音をぶつけた。
言ってしまえば、驚くほどスッキリした!!
メアリーを非難し突き放した時のメアリーの唖然とした表情。 苛立ち、怒り、戸惑い……その表情を見てスッキリしたのだ。
言ってやった!! と言う解放感。
だけど……そんな自分の色は……濁っていた。
白くて、汚れる事のない花の色が濁っていた。
まるで、自分の心が穢れたのだと言われた気がして怖かった。
だからと言って……自分を聖女のように扱う周囲の人々に嘆く訳にはいかない。 それに……もう二度とメアリーのために1鉄貨だって使いたくないと思い決意し、彼女を拒絶する事での爽快感とも言うべき思いを知った今……ただ従順に従う等出来るはずがない。
私は深呼吸をし考える。
「彼女を拒絶する事は許された事だわ。 なら……何がダメだったの?」
深く考える必要もない。 ソレを快楽とし喜んだ事が悪かったのだ。
「どうすればいいの?」
魔力の扱いは幼い頃から訓練を続けて来た。
私の魔力は特に感情に左右されてしまうから、気を付けないといけないと亡くなった両親は語っていた。
『幸せになりなさい あなたが幸せなら、周りの人も幸せになれるから。 あなたは幸せにならないといけないわ』
それが別れを前にした両親の願いだと思っていた。 まさか、こんな弊害があるなんて……。
「幸せになりなさいって言ったじゃないの!! なのに、どうして……私は、自分の幸せを追求してはいけないの? 私には自分自身を大切にする権利すらないと言うの?!
自己肯定を進めるたびに白かった髪に濁りが混じりだしたように思えた。
次の一歩を歩みだすために、幸せを目指すために、どうすれば……。
覚悟も何もない中で、人を落とす快楽を知ってしまったソフィラは、使用人達の声を聞く事を拒絶し部屋に閉じこもった。
とうとう言ってやった。
言ってやった!!
言ってやった!!
高まる感情にソフィラの頬は蒸気する。
何時もなら必要のない外出を控えるソフィラだが、はしゃぎたい気分だった。
酒場に出向くのもいい。
信者と化している貴族に願って狩りに出るのも悪くないかも知れない。
吟遊詩人を呼び、私だけのために歌わせるのも良いだろう。
何時もなら我慢をする踊りだすような気分、今日は喜びを解放しよう!!
ソフィラは歌を歌った。
「ぇっ、いややあああああああ!!」
身に蔦が絡みむ。
棘のある蔦。
咲かせる花は薄暗い。
一気に気分が沈んだ。
自らを覆う花の薄暗い色と棘を見れば、自分の精神状態が良いものではないと理解できて戸惑う。
なんで?
なんでなの?
これまで感じたことのないほどの幸福を感じていたのに。
何が悪かったの?
あの破滅の未来へと突き進むしかなかったの?
言い訳のように、そう考えた私の脳裏からは……あの魔力風、自死を持って脅すウィル様、長く長く屋敷を我が物顔で荒らすメアリー、その記憶が薄くなっていた。
言い訳が……、
理由が……、
夢のように薄らんでいた。
気分が良かったのに!!
頑張ったのに!!
未来を切り開いた……つもりだったのに!!
国一番の破壊の化身と呼ばれるウィル様と、その寵愛を得ているメアリーに反論した時……怖かった。 だけれど……言わなかったところで向かう未来は終わりでしかない。
怖かった。
怖かったけれど……。
未来を変えたかった。
鼓動は早くなり、手のひらに汗をかいた。
私は怒っているのだと表情を作った。
必死だった……。
必死に隠していた本音をぶつけた。
言ってしまえば、驚くほどスッキリした!!
メアリーを非難し突き放した時のメアリーの唖然とした表情。 苛立ち、怒り、戸惑い……その表情を見てスッキリしたのだ。
言ってやった!! と言う解放感。
だけど……そんな自分の色は……濁っていた。
白くて、汚れる事のない花の色が濁っていた。
まるで、自分の心が穢れたのだと言われた気がして怖かった。
だからと言って……自分を聖女のように扱う周囲の人々に嘆く訳にはいかない。 それに……もう二度とメアリーのために1鉄貨だって使いたくないと思い決意し、彼女を拒絶する事での爽快感とも言うべき思いを知った今……ただ従順に従う等出来るはずがない。
私は深呼吸をし考える。
「彼女を拒絶する事は許された事だわ。 なら……何がダメだったの?」
深く考える必要もない。 ソレを快楽とし喜んだ事が悪かったのだ。
「どうすればいいの?」
魔力の扱いは幼い頃から訓練を続けて来た。
私の魔力は特に感情に左右されてしまうから、気を付けないといけないと亡くなった両親は語っていた。
『幸せになりなさい あなたが幸せなら、周りの人も幸せになれるから。 あなたは幸せにならないといけないわ』
それが別れを前にした両親の願いだと思っていた。 まさか、こんな弊害があるなんて……。
「幸せになりなさいって言ったじゃないの!! なのに、どうして……私は、自分の幸せを追求してはいけないの? 私には自分自身を大切にする権利すらないと言うの?!
自己肯定を進めるたびに白かった髪に濁りが混じりだしたように思えた。
次の一歩を歩みだすために、幸せを目指すために、どうすれば……。
覚悟も何もない中で、人を落とす快楽を知ってしまったソフィラは、使用人達の声を聞く事を拒絶し部屋に閉じこもった。
173
あなたにおすすめの小説
愛を騙るな
篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」
「………」
「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」
王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。
「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」
「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」
「い、いや、それはできぬ」
「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」
「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」
途端、王妃の嘲る笑い声が響く。
「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
諦めていた自由を手に入れた令嬢
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。
これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。
実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。
自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。
氷の王妃は跪かない ―褥(しとね)を拒んだ私への、それは復讐ですか?―
柴田はつみ
恋愛
亡国との同盟の証として、大国ターナルの若き王――ギルベルトに嫁いだエルフレイデ。
しかし、結婚初夜に彼女を待っていたのは、氷の刃のように冷たい拒絶だった。
「お前を抱くことはない。この国に、お前の居場所はないと思え」
屈辱に震えながらも、エルフレイデは亡き母の教え――
「己の誇り(たましい)を決して売ってはならない」――を胸に刻み、静かに、しかし凛として言い返す。
「承知いたしました。ならば私も誓いましょう。生涯、あなたと褥を共にすることはございません」
愛なき結婚、冷遇される王妃。
それでも彼女は、逃げも嘆きもせず、王妃としての務めを完璧に果たすことで、己の価値を証明しようとする。
――孤独な戦いが、今、始まろうとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる