幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

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最低世界の最強魔道士

本当の力

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気が付いたら地面に寝ていた。どうやら気を失ったようだ。

あの地球人の一撃でやられるなんて情けない。

ゆっくり目を空けると仲間の姿が見えた。

女の方は完全に横になっている。まだ気を失ってるのだろうか?

男の方は地に座っている。後ずさりしているようにも見える。

立っているのはあの地球人だろう。離れていて声は聞こえない。



不意に地球人が右手を出した。

まずい、とどめを刺す気だ。やはりあいつも他の地球人と一緒か。

このままあの非情で利己的な地球人に大切な仲間が殺される。

ちくしょう、うちは仲間を守ることも出来ないのか。

ふざけるな!ふざけるなふざけるな!

地球人なんかに殺されてたまるか!動け!動け!うちの体!

ありったけの力であいつをぶっ潰すんだ!

うちの仲間を助けるんだ!






完全な不意打ちで渾身の一撃が決まった。

和解の握手の瞬間という最悪のタイミングで最悪の出来事が起こった。

そして誰もが言葉を失った。

リーシャの一撃でトウヤが吹っ飛ぶ。

変身は解いていない。

だから多少は守られてるが、超攻撃型のリーシャの一撃をどれだけ耐えられるかがわからない。

「リーシャ、や・・・」

ファイゼンの制止の言葉は間に合わなかった。

吹っ飛んだトウヤが既にリーシャの前に戻っていた。

「裏五座」

一瞬見えたトウヤの顔は強い殺気を含んでいた。

くだき!」

蹴りと同時に空間が大きく曲がったように見えた。

複数の振動を一つに集約したことでふるえの破壊力を極限まで高めたこの技は、
リーシャを戦闘不能にさせることは容易に出来た。

しかし不意打ちで大けがまでさせられたトウヤの怒りはまだ収まらず、
完全に頭に血が上ったままだった。

開いた手の平をリーシャに向け渾身の力で拳を握る。

その瞬間トウヤはとんでもない過ちを犯してしまったことに気づき血の気が引く。

「しま・・・・」

言葉を言い切る前に、一瞬のうちに辺りは何かに吸い込まれ塵となった。






「はあっ・・・はあっはあっ・・・」

荒い息使いが聞こえる。

(あれ?生きてる?)

息を整えながらあたりを確認する。

同じく荒い息をしている男と倒れている女がいる。

ファイゼンと呼ばれてた男と不意打ちを食らわせたチビ女だった。

(あのチビが・・・無事なのか?)

さらにあたりを見渡すと壁の上にポーラが立っていた。

(助け出されたのか?)

思わず座り込み、そのまま倒れるように横になる。

「いったい何が起きたんだ?」

ようやくしゃべれるようになったファイゼンが問う。

「リーシャは気を失ってるけど全員無事ね」

ポーラが全員の無事を確認する。

「おい、いったい何が起きた?」

「見た方が早いわ」

壁の向こうを指すポーラ。

何が何だかわからずに壁の向こうを確認すると信じられない光景が広がっていた。



海に滝!?いや、海が大きく抉られて大きな穴が空いていた。

直径は1kmくらいか?綺麗な円形状に穴が空いている。

「人が消える魔法の正体がこれとはね」

「どういうことだ?」

爆縮ばくしゅく・・・」

ファイゼンの問いに答えたのはトウヤだった。

爆縮ばくしゅくと言って通じるか?爆発の正反対のものだ」

爆発は中央の一点から外側ヘ力が発せられ周りを破壊する。

その正反対である爆縮ばくしゅくは中央の一点へと内側へ力が発せられ周りを破壊する。

そのため爆縮ばくしゅくは周りを吸い込むようにして発動するのが特徴である。

そしてそれは術者も一緒に吸い込むため、大きすぎる爆縮ばくしゅくは術者も一緒に破壊するのであった。

「普段は小さいのを数個作って自分を守っていたけど、こんな大きいのは守れないわね」

「こんな人を殺すためだけの・・・」

「これは魔法に対しても使えるから砲撃は簡単に消せるわね」

一度雷の槍を受け止め、中央から歪むように吸い込まれたのを思い出した。

どんなものでも使い方はあるし、安全に使えばこれほど強力なのはないだろう。

「それをわかってて助けたのか?俺とその二人を連れて」

「なんとかって感じね。少しでも判断が遅れてたらアウトだったでしょうね」



なんてやつだ。

ポーラは怪我をしてボロボロなのに、それでも必死で全員助け出した。

「ごめん」

不意にポーラが頭を下げる。

「この子、リーシャも私たちの仲間なの。地球人嫌いで、今は頭ごなしの偏見を持ってるけど説得してみせるわ」

地球人が嫌われてる話は既に聞いていた。こいつも仲間思いなんだろう。

だからポーラが倒れてるのを見て殺されるかもなんて思ったのだろうか?

「話を聞いたとき、俺も地球人って嫌われてもしょうがないことをしたんだなあって思ったよ。
だから、こいつの気持ちもわからなくはない」

直接は言わなかったが、多少は許す気になったのだろうか?



「参ったよ、ポーラ」

不意にトウヤが言った言葉に驚いた。

「え?何が?」

「勝負に参ったって言ったんだよ」

「え?」

「俺の負けだ。あんたすごい魔道士だよ」

「じゃ、じゃあ・・・」

「あんたのギルドに入るよ。あんたに協力する」

「や、やったあああ!」

思わずファイゼンに飛びつくポーラ。

しかし飛びつくと同時に力なくうな垂れた。

「お、おい。ってそうか、こいつボロボロだったな」

どうやら力尽きたようで、そのまま眠りについてしまったようだ。

「はは、あんたも苦労しそうだな」

「まあ、いつものことだ」

「今度こそよろしく」

またトウヤが手を出す。

「こちらこそ」

そして今度こそしっかりと握手を交わす。

そしてトウヤは力尽きるように倒れた。

「お・・・ってこっちもか~」

ファイゼンはこの倒れた三人を抱えて連れて帰らなきゃならないことに頭を抱えるのであった。
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