幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

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局と魔法と原石たち

頼みごと

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トウヤにとって二日目。

昨日ミナからいざこざがあって、中途半端に辞めてしまったと謝罪の連絡があり、少し心配していた。

「昨日の成果を確認してから、制約についての確認、実戦の組手、それとセレス対策といったところかな?」

「そうだな、あとバリアジャケットの性能も確認したいな」

「ああ、それもしとかないと」

今日の訓練メニューの確認と対策を考えながらポーラとファイゼンはせわしなく準備をしていた。

「お、今日はポーラとファイゼンか」

そこへトウヤも現れた。

「おつかれ、細目こまめに休まないといけないけど、その分回復も早いわね」

ポーラ達より早くトウヤの時が流れる分、疲弊も早いが回復も早い。

「おお、早速成果を見せてくれるね」

トウヤは訓練場に入った途端、開を行っていた。

その綺麗なかいの状態にファイゼンは驚いた。

かいを一度止めて、もう一度かいの状態になってくれる?」

「わかった」

トウヤはポーラの指示通り行う。

「もう一度。・・・・・・・もう一度」

トウヤは繰り返した。

「ほお、結構器用なんだな」

かいの状態を繰り返しさせても綺麗にこなすことにファイゼンは感心した。

「自力で魔法を覚えただけはあるわね。合格よ」

「よし!」とトウヤは軽くガッツポーズをする。

「それだけ上手く出来るだけでも効果は大きいはずよ。はつをしてごらん」

トウヤは言われたとおりはつをしてみる。



「うお!」

ファイゼンは目の前の光景に驚いた。

この前見たはつよりも格段に強い。しかも巻き起こる風も暴風のようだ。

「こんなに跳ね上がるのかよ」

「いや・・・予想以上よ」

この結果はポーラも予想外のようだ。

「これ、ポーラより強いんじゃね?」

「自信無くすぅ~」

あまりの光景に言葉遣いがおかしくなってしまった。

「その状態で魔法を使うと威力が上がっているはずよ」

ポーラに誰もいないところを指で指されたので、その方向に向けて雷を放つ。

ドドドーンと爆音が放たれたことに全員が呆然と立ち尽くしてしまった。

「いや、これ自然のものよりヤバいんじゃね?」

放った本人がこの驚き様である。

「いや、魔道士としてはあり得る威力だけど・・・」

「威力が半端ないな」

「そんなに?そこまで力入れたつもりないんだけどな」

そんなトウヤの発言にポーラもファイゼンも驚く。

「これは・・・」

「・・・危険だな」

そう目配せで合図をすると、二人は変身した。

「予定を変更して、今日はコントロールを中心にやるわよ」

「大き過ぎる力は暴走しかねない。だからその扱いをしっかりと身に着けてもらう」

大きすぎる力、今の力はトウヤの身に余るほどになってきているようだ。

ふとトウヤはあることを思い出す。

「なあ、暴走って制御できなくて周りの物を壊しまくるのか?」

「そうよ。・・・ってまさか暴走したことあるの!?」

コクリと頷くトウヤの顔に封印の紋様が現れた。

「力を封印してるのはそういう理由だったのね」

「ってことは、暴走したら手が付けられなくなるんじゃねぇか?」

「暴走ってのがそれしかないなら、そうなるかもしれない」



昔、無人島で暴走した時は魔力が無くなるまで暴れ続けて、力尽きてそのまま倒れた。そう記憶している。

気が付いた後確認したら、辺りはぐちゃぐちゃになり荒れ果てた荒野よりもひどい有様だった。

これを自分がやった。そう思うと恐ろしくなったので力を封印した。

そして今、守りたい人がいる場所でその暴走の危険が起こるかもしれない。

そう思ったとき、おのずと一つの答えが出てきた。

「先に俺の魔法の解説と対処法を教える。俺の修行はその後にしてくれないか?」

「なによ、急に」

「もしもの場合に備えたい」

トウヤの顔は真剣だった。

「大丈夫だよ。俺たちより強い魔道士もいるし、力を封印すれば問題ないだろ?」

「そうだが、犠牲者が出る可能性があるだろ?」

犠牲者が出る。トウヤはその可能性を危惧しているようだ。

犠牲者を出さないように最善の手を打つ。

初めに問題視されていた非情さも、ここでの生活でだいぶ丸くなったようだ。

「もし、俺がまた暴走するようなことがあったら・・・迷わず殺してくれ」






ポーラは映像を見ながら悩んでいた。

「何見てんだ?」

そこへファイゼンがやってくる。

「あの子の魔法の映像よ」

画面には修行の様子が流れている。

「凄まじいスピードで成長したな」

彼にとって二日、自分たちにとって一日を振り返る。

「本当は思いやりのある優しい子だったのに、周りの環境で刺々しい性格に歪んでしまったのかな?」

トウヤの性格は初めの頃よりだいぶ変化していた。

「もしかしたら本来のトウヤの姿になってきてるのかもな」

「そうかもしれないわね」

もう一度映像のトウヤを見る。

「魔法の能力的には申し分ないわ。あとは・・・・・・」

「暴走した時のことか?」

「ええ」

彼は殺してくれと頼んできたが、ポーラとしては殺したくない。

せっかく仲間として迎え入れたのに、扱いに困るから切り捨てるなんてことはしたくないのだ。

「その甘さは致命的だな」

ポーラは仲間に対して強く型入れする傾向がある。

そんな彼女が切り捨てるなんてことは先ず無い。

「そんなこと・・・わかってるわよ」

口を尖らせながらも、自分の短所を痛感する。

「だからこそみんな慕うのかもしれないし、俺も助けたいと思ってるんだ。
一人で悩まずに相談しろ。俺たちを頼ってくれ」

幼馴染の真剣な姿に思わずドキッとしてしまうが、すぐに冷静さを取り戻す。

「わかった。その言葉に甘えさせてもらうよ」

「おう、ドンと来い」

「じゃあ、この魔法なんだけど・・・」

ポーラはトウヤから教わった彼の魔法について相談し、対策を練った。

来てほしくない未来が来てしまったときのために。
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