幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

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局と魔法と原石たち

封印せよ

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紫がかった青い光が地上に円を描く。

「中に入って!いつでもいけるわよ!」

その言葉を合図にポーラ、ファイゼン、リーシャは円の内側に入る。

「閉じたら外でティーナが二重にするから、合図を出すまで開かないものと思うのよ」

「わかりました。リーシャ、初めっから全力で行くよ」

「手加減する余裕も無しかよ。ハッ!まったく、世話の焼ける糞ガキだよ」

「そのわりには随分と嬉しそうだな。ま、気持ちは解らなくないがな」

円の中心では新人二人が取っ組み合いの真っ最中だ。

これからヤバいことになりそうなのに気負いが全く無い仲間達が心強い。

「ソニアさん!お願いします!」

蒼氷そうひょうなる棺の中で、永久とわなる眠りは遠永えんえいつかさどらんことを誓え!」

ソニアが詠唱を終えると円を縁取るように魔方陣が描かれた。

「いくわよ!“アイスガフィーネ”!」

ソニアが魔法名を唱えると魔方陣から大きな氷塊が現れ円の淵を囲う。

そして氷塊は生えるように伸びていき、瞬く間に氷のドーム状になった。

それに合わせてティーナがシャンと杖を鳴らす。

「祝福されし聖なる光よ。身を守る盾と成れ。“ムーランプロテガ”」

ティーナが魔法を唱えるとソニアが作った氷のドームが淡い光に包まれた。

「これで余程のことが無い限り出られないわよ」

「大丈夫かしら~?」

「あいつらが責任を持つって言ったんだから、信じて待つしかないわね」

二人の役目はあのドームの維持。後は信じて待つしか出来なかった。

「ねぇアグリッター。あなたから見てあの子信用できる?」

待つだけになったソニアはミナにトウヤのことを聞く。

「今のところ・・・いや、たぶん今後も大丈夫な気がします」

ミナの評価は良かった。

「元々の気質でお人好しレベルの甘さがあるんでしょうね。
温厚で面倒見の良い一面があるのに、一定の度合いを見せると逃げるように距離を置く気がします。
あと元の気質からか警戒心がまばらですね。敵意を見せなければあまり警戒しないように感じます。
そして今は子供らしくこの魔法世界を楽しんでいるように感じます」

ミナはかなり積極的に交流していたこともあり、よく調べているようだ。

「ただ魔法に関しては警戒した方がいいと思います。一応効果とか教えてくれていますが、彼は創る能力です。
その場で創れることは敵対した瞬間から厄介な存在に変わりますし、発想が私達の常識を知らない分自由過ぎます。
能力と合わさってとんでもない使い方を平然と使う辺りは彼の強みであり脅威にもなります。
あと能力の伸び方が異常なので、念のため血縁関係を確認した方がいいと思います」

魔法に関してはかなり冷静に私情を挟まないあたりはミナらしい評価である。

「血縁関係って・・・地球人の血縁関係なんて調べられないわよ」

「どうして血縁関係を調べるのかしら~?」

ティーナが尤もな質問をする。

「暴走するとは言え、彼が魔法を十分に使いこなしているからです」

「確かに前半の使い方は評価出来るわね。ってそれだけで?」

「彼は二日前まで制限付きポーラを少し上回る程度だったのに、
今じゃ制限無しの魔道士を数人で抑え込めるかって程ですよ?その伸び率には異常さを感じます」

「二日前は制限付き程度だったの!?」

ソニア達はこれは知らなかったようだ。

「はい。なので彼はなぜこんなにも魔道の才に恵まれているのか、そしてどうやって発現させたかが気になります」

「環境はどうなの~?」

ティーナが可能性の一つを探ってみる。

「彼は両親と死別後は差別の強い苛酷な環境で育った、と言っても平和ボケした国の中での話です。
発現は出来たとしても本当に苛酷な環境で育った人間よりは優しい方でしょう。
となると血筋を疑うのが一番彼の核心に迫れると思います」

「流石に見た目じゃ解らないし、死人の先祖を辿るのは私達には無理ね。あの人達に頼む?」

「わたしは嫌よ~」

「すみません。私もそうまでして知りたくはないです」

「はぁ、これは好意的な目を持って保留が一番ね」

結局解らないことも多いが様子を見ることで落ち着いてしまった。

(だから・・・ちゃんと戻ってこいよ、トウヤ)

ミナはまた元に戻ることを祈りながら氷の檻を見つめた。






「はあ!」

リーシャの拳が当たると、トウヤは吹っ飛び、氷の壁に叩きつけられた。

当たった感触はあったがはじきという魔法で防いでいたのでダメージは無いようだ。

トウヤはすぐに反撃に出ようとするが、巧みなコンビネーションで隙間を縫って攻撃するリンシェンがそれを防ぐ。

流派は違えど相性はかなりいいようで、攻撃する暇を与えない攻めでトウヤを抑えてる。

このまま魔力切れまで続けられればいいが、そうはいかない。

風打ちの中でも魔力消費が激しいものを使わせられれば理想的だが、そうするとこちらが危なくなる。

なのでリーシャ達のやり方が今のところの最善策である。

ポーラは両側に複数の魔方陣を展開し構える。

「俺の魔力も使って打ちまくれ」

ファイゼンがポーラの肩に手を置き、体を支える。

「リーシャ、リンシェン!離れるタイミングを教えて!」

リーシャとリンシェンは互いに目で合図を送る。

攻撃が終わり交代するタイミングでリンシェンは離れた。

「撃てぇ!!」

自分の攻撃を始めるタイミングでリーシャは合図を送る。

「ガンズ・ランサー!シュート!!」

ポーラの魔法はリーシャとトウヤに向けて放たれる。しかしリーシャはまだ逃げずに攻撃を続ける。

「逃げるにゃ!」

心配したリンシェンが思わず叫んでしまう。

ポーラの魔法が当たる寸前の所で、リーシャは躱した。

ギリギリまで足止めをして確実に当たるようにする。打ち方もわかるからどう避ければいいかもわかる。

長年の付き合いのポーラとリーシャの見事なコンビネーションだ。

ポーラの連射で足止めをしている間にリーシャとリンシェンは少しでも回復する。

どちらの魔力が先に尽きるかの根競べで暴走を止める狙いだ。



しかしそう上手くはいかなかった。

強化系で力のあるリーシャ。力が無いにせよ素早い動きで体を動かす支点を狙い、動きを封じたリンシェン。

どちらも接近戦で力強さまたは繊細且つ速い動きで足止めをしたが、ポーラはそうはいかない。

叩きつける力強さはリーシャより劣り、連続で打ち込むにはリンシェンほどの繊細さは無い。

ポーラの砲撃は徐々に押し負け始めていた。

休んでいたリーシャが割って入る為に構える。

「まだよ。まだ・・・」

ポーラには何か狙いがあるようだ。

「あ・・ああ・・あああ・・・あああああああ!」

雄叫びにも似たトウヤの叫びが響く。



パリン



ガラスが割れるような音が鳴り響くと、ポーラの魔法は粉々に崩れ消えていった。

しかしこれをポーラは待っていた。

風打ち第十一座・しずめ

魔法の発動を止める効果を持つこの魔法は術者の魔力を大きく消費する。

接近戦を得意とする二人に対して使われたら致命的になるが、遠距離で使われたならまだ対策が出来る。

そこそこ魔力を多めにして砲撃を打ち消されたため、反動で強い倦怠感に襲われる。

「くっ!」

フラッと倒れそうになるポーラをトウヤは見逃さない。

「あああ!」

向こうもかなり消費したはずなのに即座に襲いに行けるとは・・・。

暴走は当人の身体などお構い無しで暴れているのだろう。

「ちょ!待てって!」

ポーラを抱えたファイゼンは急いで逃げようとするが、人を抱えた状態ではどうしても動きが鈍くなる。

「うにゃあ!」

そこへ割って入ったリンシェンがトウヤの攻撃を受け流した。

思わぬ横槍にトウヤはバランスを崩した状態になってしまう。

そこをリーシャは見逃さなかった。

「おらあ!」

トウヤの上方をとり、力いっぱい地面に叩きつけた。

「今だ!」

リーシャとリンシェンは即座に地面へ抑え込みポーラへ合図を送った。

その合図でファイゼンに背中を押され、ポーラは倦怠感に襲われた身体を奮い立たせる。

あとは封印魔法でトウヤの魔力を封印すればお終いだった。
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