幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

文字の大きさ
75 / 88
それは甘く蕩けて灰になる

外伝:修行と改良

しおりを挟む
「ほっ!・・・ふっ!・・・はっ!」

リンシェンにカンフーを教わって数日、基礎的な動きを繰り返し続けていた。

思った通り魔法に頼らない体術で、地球のそれと似たものに思えた。

そして・・・

「おみゃ~の今の特徴としては、体力の無さ、力、体格、全てが同年齢の女子にゃ」

「改めて言われると、すごくイヤだな」

「その日本人と言うのは小柄な人種にゃのか?」

「そうだな。よく欧米とかに体格で劣ると言う話は聞くな」

「とにゃると、おみゃ~がデカくなる期待は無さそうだにゃ」

「う・・・・」

反論が出来ない。

昔、数回学校へ行き同年齢の男子たちと会ったことがあるが、みな自分より大きかったのはよく覚えている。

「そういえばここの人達もデカいよな。やっぱ人種か?
いや、リーシャは小柄だし、ルーも他に比べたら小柄だよな」

「リーシャは特殊にゃ体質だからチビにゃだけ、あのルーってのは小柄だにゃ」

「となるとポーラやリンシェンは大きい方だな」

「おいらはそうらしいが、ポーラは平均的にゃ」

「え!?平均的!?」

やはり体格的には欧米などに近いようだ。

「んにゃあ、修行の方針を決めるにゃ。攻撃面は今のところ魔法に頼るとして、
当面は防御面を上げることを目的にするにゃ」

「防御?魔法で強化する、回避する以外に何かあるのか?」

「チッチッチッ、回避でも反撃に繋がるようにするってのがコツにゃ!」

「反撃って、避けてドンじゃないのか?」

「これだから素人にゃ」

言われなくても、トウヤは素人だ。

「避けてドンにゃんて誰でも考えるにゃ。それを想定出来にゃいやつは素人にゃ」

つまり攻撃をして、避けられて反撃がくるのは当たり前としなければ即やられる。

これからはその反撃がきても避けるまたは防ぐなり出来なければならない。

「これからにょ相手は素人じゃにゃい。それにゃりに戦闘経験を積んだ魔道士にゃ。
今はおみゃ~の圧倒的能力で勝てるが、すぐに対策されるにゃ。うかうかしてられにゃいぞ~」

「た・・・確かに」

トウヤの戦闘経験は手加減したポーラと完全に見下していたセレス、そして地球にいた素人だ。

もうセレスはトウヤを見下さないので勝てる見込みはかなり低い。

そして同等と言われてるポーラにも勝てないだろう。

「でもそれなら攻撃の仕方を変えればいいんじゃねぇか?」

「その仕方に相手がどう防ぐかをいれにゃければにゃらにゃいぞ」

「あ、そうか」

相手がどう防ぐかを知れば自然とどう攻撃すれば当たるかに繋がる。

攻撃を当てたいなら、まず防ぎ方を知れと言うことだ。

「よくわかったよ。じゃあ早速教えてくれ」

「わかったにゃ。まずは基本の足さばきにゃ」

リンシェンの指導は、意外にも良かった。



「相っ変わらず好きだねぇ、修行ばっかで飽きない?」

ファイゼンは呆れながらも感心した。

「うるせぇ。この前のクエストはほとんど何も出来なかったから、体動かしたいんだ。
お前こそ、女のケツばかりで飽きないな」

リーシャは毒づきながら反論する。

「人聞きの悪い事言うなよ。男としての義務を果たしてるまでだ」

「ハッ。いいように使われてるだけじゃねぇか」

そんなことを言いながら訓練場に到着すると、すでに先客がいた。

「おう、お前ら!片方は珍しいが、もう片方は相変わらずだな」

「ってかトウヤとリンシェンって珍しい組み合わせだな」

「ああ。リーシャとファイゼンも修行?」

「うちはな。こいつは暇だからついて来ただけだ」

「まるで暇を持て余してるような言い方だな。その通りなんだが・・・」

「その動き・・・リンシェンのか?」

リーシャは動きを見ただけで、誰の動きか判断出来た。

「ああ、カンフーを教わってるんだ」

「なんでカンフーなんだ?」

「地球にも同じ名前の武術があったし、あまり魔法に依存しない動き方とかもいいと思ったんだ。
あと、この前のクエストで魔法が使えないとひ弱なガキだって痛感したから、基礎体力向上もかな?」

「どっかの軟派ヤローと研究バカよりよっぽど真面目だな」

その軟派ヤローと研究バカは何も言わない。

「ならもう一つ課題を追加してやろう」

「課題?」

「そうだ。魔法についてお前には改良の余地があるんだ」

「どんな?」

「デバイスとの兼ね合いだ」

デバイス。そう言えば最近使って・・・いや、アンクレットもデバイスか。

それくらいしか使ってないが・・・

「お前、今エンチャントのファーストに何を入れている?」

「え?え~と・・・一段階目の身体の強化と目の強化、
それと風打ちの“はね”、“ふるえ”、“かけ”を詠唱なしで使えるようにしてるな」

「あれ?」

最初に気付いたのはファイゼンだった。

「トウヤが創ったアンクレットってかけと同じ効果だよな?」

「あ!」

「そうだ。デバイスと魔法の効果が重なっている。しかも付加ではなく同じものだろ?」

かけは強化する点は速さしかないが、これは魔力の操作で十分出来る。

つまりかけかけを合わせても効果がほぼ無いのだ。

「せっかく“創る力”なんだから、こういう時に上書き出来るようにしないとな」

「みんなあれやこれやで苦労してるのに、全部自己解決とかまさにチートだな」

「嘆いても仕方にゃいにゃ。使えるもんは徹底的に使うにゃ」

「そうだ。得た物に羨みや妬みを言っても何にもならねぇ。そんな暇があるなら精進しろってことだ」

こういう時、細かい事を気にしない二人は好ましい。

「ってことは武術の修行をしながら付加魔法の改良をしないといけないのか・・・」

「せっかく良い能力持ってんだ。いいように使えよ」

そう言うとリーシャは去って行った。

と言うより離れた場所で自分の修行をするようだ。

「何だかんだで面倒見がいいよな、あいつ」

「・・・羨ましい・・・」

「え!?」

「羨ましいにゃ!にゃんでおみゃ~にはあんなに優しいにゃ。おいらの・・・おいらのときは・・・」

リンシェンは目を潤ませながら訴えてきた。

「不公平にゃ~!!」

手足はまるで駄々を捏ねる子供の様にバタバタさせている。

「・・・知らん」

相手にするのも面倒になってしまったトウヤは、勝手に修行を始めた。



ギルドの談話室に行くと、トウヤが何かを動かしながらブツブツ言っていた。

「おつかれ、トウヤ。何してるの?」

「ああ、ポーラおつかれ。リーシャに言われて能力の改良をしてるんだ」

「・・・普通はそんなこと出来ないけど、そういう能力だったわね」

常識が通用しない能力にまだ慣れず、ド肝を抜かれてしまう。

隣にはうたた寝をしているリリスが居た。

「リリス、寝るなら部屋に戻りな」

「本人が嫌だって言ってたから、後で俺が連れて行くよ」

「そう。で、どんな改良をしてるの?」

テーブルには用紙を張り付けた駒があった。

「エンチャントの改良だよ。リーシャにデバイスと能力が重なってるって言われてね」

「ああ、そうか。かけが重なっているのね」

「そ。だからデバイスに移動系の能力を、ファーストに強化系の能力をって分けたんだ」

用紙にデバイス、ファースト、セカンド、サードと四つに区切り、
デバイスと区切った場所にはねかけそりと書かれた駒があった。

そりって攻撃魔法じゃないの?」

そりは鎧みたいなものを纏って突進してるんだ。だから移動の時に身を守るって感じだ」

固い鎧はそれだけでも攻撃になり得る。

「ファーストの魔道士の基本的な強化ってことは、この時はあまり戦わないつもり?」

「そう。だからセカンドまでの時間は短めにする予定だよ」

「それは弱みになるわね。だから基本的なきりぬきはファーストにして牽制ってのはどう?」

「なるほど。牽制が出来るなら少し時間を延ばしても良さそうだね」

「そうね。そこに武器デバイスが加わると効果的じゃない?」

「ああ、ここでデバイスか」

こう見てると、とても真面目で素直な様子が見える。

この子を選んで正解だった。

ポーラはそう思えた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

 社畜のおじさん過労で死に、異世界でダンジョンマスターと なり自由に行動し、それを脅かす人間には容赦しません。

本条蒼依
ファンタジー
 山本優(やまもとまさる)45歳はブラック企業に勤め、 残業、休日出勤は当たり前で、連続出勤30日目にして 遂に過労死をしてしまい、女神に異世界転移をはたす。  そして、あまりな強大な力を得て、貴族達にその身柄を 拘束させられ、地球のように束縛をされそうになり、 町から逃げ出すところから始まる。

処理中です...