幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

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風塵遮視-サンドアウト-

ボードタイプ:初級編

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長い買い物に付き合わされているが、練習が出来ると知り、そちらへ向かった。

「これがストームギアか」

見た目はスノーボードの板にしか見えないが、後ろと思われる部分には機械が取り付けられている。

「お客様、ギアは初めてですか?」

案内してくれている接客係が問いかける。

「はい。見るのも初めてです」

「まあ、珍しいですね。ギアが無い国って言ったら科学寄りの国の方ですか?」

「はい、そうです」

「でしたら、簡単に操作方法だけお伝えしますね」

「お願いします」

「まずは魔力操作で両足の裏にごうを行いますと、ギアの方から吸い付くようになります。
その状態になりますと、自動でゆっくり進みますので、バランスを取りながら進んでください。
今は練習用ですので制限がかかっていますが、本番は魔力を送り込むと出力が上がりますので注意してください。
まずは習うより慣れろ。基本練習の直進を頑張ってください」

最後投げ出された気がするが、習うより慣れろには納得してしまった。

練習場には同い年から少し下の人達がたくさんいた。

魔力操作が無ければ地球で言う自転車のような物だろうか?

便利そうだが大事故に巻き込まれかねない。

とりあえず人がいない所で地面にギアを置き、その上に乗った。

「ふぅ・・・」

大きく息を吐き、落ち着かせた。

「さあ、どんな感じかな?」


キィィィィ

風を切るような音が響くと同時に宙へ浮かぶ。

高さとしては2~3cmだが、かなりフラフラする。

そして浮かび上がると同時に前へ進みだした。

「おっと」

思わず後ろに重心が寄ってしまい、後部をガリガリと擦る。

そしてそれに合わせて揺れも大きくなりバランスを崩してしまった。

「うお!?」

両足がボードにくっ付いていたので足が動かせず尻もちをついてしまった。

「いって~!・・・まるでスノボだな」

スノボも両足を固定していたので確かに近いかもしれない。

出力を上げれば宙に上がりやすい。だからと言って出力を上げ過ぎるとバランスが悪くなる。

「確かにバランスをとるのは難しいな」

足がボードと一体になっているので動かせない。どうすれば・・・

「そういえば、何でくっ付くんだ?」

そう言う機能だと言っていたが・・・確かごうでくっ付くと・・・

「そうだ。ごうをしなきゃいいんだ」

そう、ボードとの吸着はごうで切り替えられる。

だが・・・

ごうをしなければギアは起動しなかった。

「足を動かす時にごうを解くのか?オンオフを交互になんて面倒だな」

乗車中も小刻みに足を動かしバランスを取りたい。

「・・・あ!」

トウヤはあることを思いついた。

「片足だとどうなる?」

固定するのを片足にすれば動かしながら進める。

「そう言えばスノボも片足だけ固定を外すときがあったな」

平坦な場所を進むときは片足だけ固定して進んでいる姿を思い出した。

「となると固定は前足だけかな?」

片足だけギアに乗せてごうを行うと、思った通りに起動した。

さらに乗せなかった足で蹴り出すようにすると安定して乗ることが出来た。

「お?これでいいのか?」

ゆっくり、バランスをとりながら進んで行く。

状況に応じて後ろ足を動かす。前足を動かしたくなったらごうを前後入れ替えると動かせた。

「どうやら前に重心をやると安定するようだな」

重心を前にするとスピードも上がる。さらに後ろ足で左右に重心を変えると左右に曲がることも出来る。

「もしかして後ろ足でごうをやる必要が・・・いや、ターンの時は固定した方がいいな」

足での魔力操作、慣れない空中という不安定さ。

さらにその不安定さを補うためのバランスと取り方。

このあたりが難しいようだ。



「トウヤ~?あれ?こっちにいるって言ってたよね?」

「うん。練習場って言ってたよ?」

練習場と言っても初心者向け、中級者向けと二種類あった。

トウヤは初心者なのでこっちにいると思ったが・・・

「ね・・・ねぇポーラ?あそこにいるのトウヤ君じゃない?」

「え?あっちは中級・・・・えぇ!?」

目を疑った。中級者向けコースをスイスイと進むのは間違いなくトウヤだった。

「うそ!?もう乗れたの?」

「え・・ええっと・・・これも地球人だから?」

通常の魔道士で数ヶ月かかるものを数時間でこなす?

いや、まさか・・・ありえない。

ここまでポテンシャルが高いと逆に疑ってしまう。

ポーラは目に魔力を集めてトウヤの様子を伺う。

「あ・・・そういうことね」

「どうしたの?」

「魔力を見てごらん」

ポーラに促されティアも魔力を目に集めて見る。

「あ・・あれって“かけ”って言う魔法?」

「そ。たぶん空間を切り取って体を支えてるのね」

つまり飛行魔法で体が倒れないようにして進んでいる。

「これってインチキじゃ・・・」

「飛行魔法の使用禁止って言うのは知らないようね」

と言ってもトウヤの飛行魔法は空間操作の一種であるので一概に否定しづらい。

「とりあえず・・・帰るわよ」



「いや~出力が足りなくてさ~」

「だからってインチキして良いわけないでしょ?」

「あれは足りない部分を補っていたんだよ」

「はいはい」

帰り道。初めてのストームギアの話は尽きなかった。

「でも初めてで中級者コースを行けたのはすごいよね」

「元々飛行魔法が使えるから空中のバランス感覚は問題なかったんだと思うよ。
似た遊びでスノボやスケボーは初めてじゃなかったし」

地球にいるときに“創造する神クリエイター”で道具を創って遊んだ経験はあった。

だが数回しか経験が無かったので乗れる自信は無かったが、それが活きたようだ。

「もしかしたらワールドグランプリ出られるんじゃないかな?」

「まさか。本物はもっとスピードが出てるわよ。それにタービュランスもあるし」

「タービュランス?」

「気流の槍と言われている風の気流よ。レースではそれに乗ったり妨害したりといろいろやるのよ?」

「うーん、練習用じゃなくて本番用に乗ってみたいな」

「もっと慣れたらね」

ティアは応援してくれているが、ポーラは否定的だ。

まあ妨害、つまりは大けがに繋がることも起こるようだし、心配してくれてるのはありがたいことだ。

だがトウヤの興味は既にレース用の本番機に向いていた。
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