死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第8章・侵入者

◆ 15・対峙と追及(中) ◆

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◆◇◆


 馬車を降りれば、砂利の敷地に丸太の家。
 先月訪れたミルカ・ヘルレヴィ――王国最強叙勲騎士の家だ。ミランダの養い親でもあり、少し聞いただけでも父とは不仲だったはずの男である。

「お父様が何でココに……」

 ミランダのの話では、父とミルカは浮名を競いあった仲。しかも勝利したのは父である。


 武力最強の敵対者の所にいるお父様……意味がわからない。
 ほんとにコレ、誘拐じゃないんだよね?


 ミルカ・ヘルレヴィと戦う事になった場合はミランダが頼りだ。彼女にもすでに言い含めてある。

「さっさとして」

 弟となったエイベル少年はさっさと丸太小屋の扉を開ける。

「エイベル、早かったのぅ」
「おー、息子! おかえり」

 テンションの違う二人の声。どちらかがどちらかなど、火を見るより明らかだった。
 湧き上がる怒り。

「お父様!!!!」

 エイベルを押しのけ飛び込む。

「一体どういう事ですか! お母様には自分で仰ってくださいねっ、私が処理する件じゃないでしょう?! 大体、子供拾ってくるならくるで、もっとマシな拾い方とお披露目の仕方があったんじゃないですか?! 誘拐だって騒ぎになってるのに、蓋をあけたら、この子を誘拐したのはお父様らしいじゃないですか! やってられませんよ!!」

 ほぼ、怒鳴りつけた。
 父は驚いた表情でカップを手に固まっている。

「これが……」

 父が小さく呟く。

「これが反抗期、なのかな……」


 はあ????


「そうか、娘1も成長していっているんだね」
「違うじゃろ」
「そうだ! 娘1、深呼吸してごらん? とっても落ち着くよ!」

 叫び出したい気持ちを押し殺す。
 言われたままするのは癪だが、落ち着いて本来すべき話というものをしなければならない。

「お父様……誘拐したんですか? このエイベルを!」

 少年の肩を掴み、前に引き出す。
 父は私と少年を交互に見遣り、頷いた。

「そうだね」
「そうだね???? 受け入れちゃうんですか? まさか、こんな子供が本当に『魔王』って信じてるんですか?」
「信じるも何も、魔王だからね」
「断言?!」
「娘1、何が言いたいの? はっきり言ってごらん。こうして『場』を整えてあげたんだからね」


 ととのえてあげた?! 何様なのよ……って、お父様だけど。いったい、どういうつもりなの?
〈チャーリー〉
 何よ?
〈『正しい質問ができるかな』って楽しみにしてるみたい〉


 元天使の言葉に舌打ちする。父の満足を得られるような質問など考えつかない。
 元々、父とはタイプが違うのだ。


 どこまでも、……お父様はお父様ね?



 
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