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第9章・思惑の行方
◆ 12・反組織の不穏分子(前) ◆
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「オネーサマ、つけられてる」
師匠の家まであと数分という所で、弟が口を開いた。
「つけ?」
「うん、後ろから。どうする?」
老婆の占いが蘇る。
まさか『後ろから死が迫る』って今のこと?!
だとしたら、あの占い当たる!!!!
「オネーサマ?」
いや、……この子がいる限り私は助かるはずよ、ね?
「エイベル、どんな人がつけて来てるか分かる? ってか馬車を追ってくるって、相手も馬車?」
「マホーっぽい」
「屋根を走ったり飛んだりしてる」
ツッコミは山ほどあったが、かろうじて飲み込む。
今、重要なのは『どうやって』ではない、『どう』防ぐか。
「足止めを……」
言葉を最後まで紡ぐ前に、ドアが開く。
途端、激しい風が車内を駆け巡る。
「何よ、……も、モニーク?!」
彼の肩越しに見えた姿は歌姫だ。
彼女は髪をなびかせ、美しく笑った。
「お邪魔しますよ」
無反応の弟を見る。
走る馬車のドアを開けて闖入してきたのだ、充分に対処すべき相手である。
「エイベル!」
「ん?」
彼女は私の向かい側に腰を下ろす。
「実はお願いがあって追ってきました」
お願い……?
〈この人は、チャーリーを狙ってないよ? お友だちになりたいみたい〉
頭の悪い元天使の発言を無視して、質問する。
「いったい私に何の用よ」
「お友達になりましょうよ、シャーロットさん」
え?
〈うんうん、なりましょうよ!〉
いや、ならないし!! ってかホントに本当に、友達?? 何の裏が?
〈チャーリー……確かにあなたのしてきた苦労を考えたら、わからないでもないの。でもね、世の中には〉
あ、もういいです。その話いりません。
「裏があるのが見え見えよ! はっきり言いなさいよ、私を狙ってきたってね!」
モニークは奇妙な顔をした。
「あなたに価値を感じていません」
「は?」
「我々は来る日のために『戦える人間』を集めていて、そういう人間で構成しているんです。あなたはただのお嬢様でしょう」
お、おぉ、黙るしかない……。
「エイベル君、だったね? 良かったら私と一緒に来て欲しいところがあるんだけど」
エイベルに目を付けるとはお目が高い。
「勿論、あなたのお姉さんに何かをする気はありません。一緒にきてくれたら、お姉さんのことはこちらで責任をもってお送りするつもりです。あ、お給金ははずみますよ」
冗談じゃないと声をあげるより早く、エイベルが首を傾げた。
「あんた、どれくらい強い?」
「それなりに」
微笑む女に、彼は拳を握りしめた。
「じゃダメだ。だってあんたザコだ」
「は?」
今度はモニークが言葉を失う番だった。
私はエイベルを見る。
「オネーサマもクソザコだけど、あんたもザコだし、オレから見ればどっちもザコだよね? ザコ同士で行動してて何かあったら大変だ」
え、エイベル……!
「そ、そうよ! そうよね!? そうなのよ!! だからエイベルは行きませんとも!」
「だから、姉付きでいっていい?」
金か、金なのかっっ、弟よ!!!!
師匠の家まであと数分という所で、弟が口を開いた。
「つけ?」
「うん、後ろから。どうする?」
老婆の占いが蘇る。
まさか『後ろから死が迫る』って今のこと?!
だとしたら、あの占い当たる!!!!
「オネーサマ?」
いや、……この子がいる限り私は助かるはずよ、ね?
「エイベル、どんな人がつけて来てるか分かる? ってか馬車を追ってくるって、相手も馬車?」
「マホーっぽい」
「屋根を走ったり飛んだりしてる」
ツッコミは山ほどあったが、かろうじて飲み込む。
今、重要なのは『どうやって』ではない、『どう』防ぐか。
「足止めを……」
言葉を最後まで紡ぐ前に、ドアが開く。
途端、激しい風が車内を駆け巡る。
「何よ、……も、モニーク?!」
彼の肩越しに見えた姿は歌姫だ。
彼女は髪をなびかせ、美しく笑った。
「お邪魔しますよ」
無反応の弟を見る。
走る馬車のドアを開けて闖入してきたのだ、充分に対処すべき相手である。
「エイベル!」
「ん?」
彼女は私の向かい側に腰を下ろす。
「実はお願いがあって追ってきました」
お願い……?
〈この人は、チャーリーを狙ってないよ? お友だちになりたいみたい〉
頭の悪い元天使の発言を無視して、質問する。
「いったい私に何の用よ」
「お友達になりましょうよ、シャーロットさん」
え?
〈うんうん、なりましょうよ!〉
いや、ならないし!! ってかホントに本当に、友達?? 何の裏が?
〈チャーリー……確かにあなたのしてきた苦労を考えたら、わからないでもないの。でもね、世の中には〉
あ、もういいです。その話いりません。
「裏があるのが見え見えよ! はっきり言いなさいよ、私を狙ってきたってね!」
モニークは奇妙な顔をした。
「あなたに価値を感じていません」
「は?」
「我々は来る日のために『戦える人間』を集めていて、そういう人間で構成しているんです。あなたはただのお嬢様でしょう」
お、おぉ、黙るしかない……。
「エイベル君、だったね? 良かったら私と一緒に来て欲しいところがあるんだけど」
エイベルに目を付けるとはお目が高い。
「勿論、あなたのお姉さんに何かをする気はありません。一緒にきてくれたら、お姉さんのことはこちらで責任をもってお送りするつもりです。あ、お給金ははずみますよ」
冗談じゃないと声をあげるより早く、エイベルが首を傾げた。
「あんた、どれくらい強い?」
「それなりに」
微笑む女に、彼は拳を握りしめた。
「じゃダメだ。だってあんたザコだ」
「は?」
今度はモニークが言葉を失う番だった。
私はエイベルを見る。
「オネーサマもクソザコだけど、あんたもザコだし、オレから見ればどっちもザコだよね? ザコ同士で行動してて何かあったら大変だ」
え、エイベル……!
「そ、そうよ! そうよね!? そうなのよ!! だからエイベルは行きませんとも!」
「だから、姉付きでいっていい?」
金か、金なのかっっ、弟よ!!!!
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