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第9章・思惑の行方
◆ 14・反組織の不穏分子(後) ◆
しおりを挟む「カエルが魔王……、しかも『べき』ですって?」
カエル王子には二つの託宣がある。一つは本物の託宣『赤き血と骸の下に世界の覇者となす』で、もう一つは建前で流した嘘の託宣『聖なる王として輝く日の下に君臨する』だ。
モニークの反応を見る限り本物の方を知っているのだろう。
「見た目は確かにそうかもしれないけど、アレが魔王なんて笑っちゃうわっ。気弱で武力なんて全くないし、頭はいいし人望もあるけど、それって結局お人よしだからだし、それに……それに! ……それは、組織全体の意見なの?」
「そうです」
にべもない。
「驚かないんですね。ヨーク家のお嬢様は『知って』らしたんですね」
あ、……ヤバっ。基本、本物の託宣を知ってる人の方が少ないんだった!
「ま、まぁ、婚約者だし? 仲は良かった……し?」
苦し紛れにいえば、彼女は特にツッコミもなく話を進める。
話しは聞けば聞くほど、弟王子の『世界を闇に飲み込む凶星となす』も知っている節があった。曰く「第一王子を消しても第二王子とて安心でない」である。
彼女はさらに続けた。
「ヨーク嬢、あなたは本当にカエル王子を愛しているようなので、一つ提案をしましょうか」
待て待て……っ、どこでそう思ったよ!
「組織には二つの考えがあるんですよ。一つは『王による統治廃止』、もう一つが私の一派『王子のすげ替え』です」
二つ目は分かる。
想像でしかないが、カエルを殺して別の人間をカエルと偽るつもりだろう。それなら今のルーファを取り込んだ方が早いかもしれない。
もっとも、ルーファをカエル本人と思っているからこそ計画が止まってないのだろうが――。
「一つ目って、よくわからないんだけど。全員殺しちゃうってこと?」
「権力の集中を避けることで、今後の社会生活が狂わないようにする形です」
うん、分からない。
「じゃ二つ目の方なんだけど、そんなことしなくても、アレックスに話をして臨む方向を向いてもらうのはどうなのよ? あー見えて、話せばわかる人よ?」
「そこは見解の相違ですね。王子のすげ替え、協力しますか?」
どうやら二択しか許されていない。
私にとってみればどちらも納得できることではない。だが、どちらかと言えばと考える。
一つ目の方は意味が分からないし、すげ替えなら王子は生きてても良さそうな気も……する?
「すげ替えって、つまり別の人と入れ替えることよね? 見た目変わっちゃってるのにどうやる気?」
「カエル姿では少しさわりがありましたが、今は人間。顔に大けがを負ったことにして仮面をつけてのすげ替えになりますね」
勿論、顔も多少は魔法でいじりますと続ける女に、私は呆然とした。
私はかつてのEND軸で人間姿のカエルと結婚していた時期がある。その彼は、仮面を一度も外さなかったのだ。
仮面? 仮面を被った人間って……まさか、あの時の。え? アレってカエルじゃなかったってこと?
「あ、相手は……もしかして、その『すげかえた仮面男』と私は結婚してってこと?」
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