死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第9章・思惑の行方

◆ 20・帰還する者(中) ◆

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◆◇◆


「そういうわけで、カエルとチェンジしてくれない?」

 私の言葉に、第一王子アレックスのフリを続けているルーファは嫌そうな顔をした。
 ちなみに弟は部屋の外で待たせている。

「私だって、アーラと入れ替わったことあるしさ? 上級悪魔のあんたならできるでしょ?」
「……いやいや、アーラと入れ替わったのって内面だけで、外見お前だっただろ」

 人に要求をのませたい場合は大きな望みで無理な方を先に、と聞いたことがある。
 実際見た目だけでも充分、事は足りるのだ。

「今さ、神殿側のやり口を止めたい反対勢力に入ろうとしてるのよ。その入団試験、みたいなのが王子をカエルに戻すってやつなわけよ。私たちって同盟組んでるわけだし、ここは協力すべきじゃないの?」
「前にも言ったけどな、これはアレックスの要請でこの状態なんだよな」
「それは聞いた。でも私との共闘関係に対するリターンがあっても良くない?」

 ルーファは無言で宙を見つめる。

「じゃあ……せめて見た目だけでも
「アーラにチェンジしてくれ」


 え?


 今まさに本題の願いを言おうとしたところで、ルーファが先んじた。
 しかもかすかに聞こえた内容はこちら側の動揺を誘うためなのか、本心からの願いか分からない。

「そうしたら、アレックスをココに戻そう」


 戻せるの?!
 え? なんか色々やることがって、喰べて今に至るんじゃなかったの??


「一方的な契約破棄だ、俺様にも痛みは伴うが別にいい。アーラと話ができるならそれでいい。あぁ、一時的なものでもいい、一定時間会話をしたい」


 いや、飲まれるな……。本題はまだ言える範囲の流れだ。


「ルーファ、どっちも痛みを伴うんじゃキツイわね。とりあえず、カエルの見た目になる幻術とかそーゆーのでごまかす方向にしない?」

 互いに譲歩しましょうとばかりに出す提案。
 だが、ルーファは首を振った。

「俺様に何かをしてほしけりゃ、まずアーラと話してから結論だしてきてくれ。お前一人で即決したものを飲む気はねぇよ」


 くそっ……ルーファの癖に……!!!!


 私は頭を抱えた。
 アーラがOKするわけがないことくらい、私にだって分かる。
 彼女はなぜかは知らないが、ルーファを避けているのだ。それは彼女の記憶が戻ってから顕著になっている。


 アーラ……、アーラ! あんたに頼みが、あるわけだけども……。その、イヤよね?
 る、ルーファと……ちょーっと話そうとかそういうのあったら、ルーファと話してもらえたら、私は助かるけど、あんた的にやりたくないなら、こればっかりはどうしようもないことで、だから無理にして欲しいなんてことも言えないわけだけども……。


 返事はない。


 って、……返事しなさいよっ。
 アーラ?


 やはり彼を避けているのか、彼女はだんまりを決め込んでいる。最後とばかりにもう一度呼びかける。


〈アーラ!〉


 身体が勝手に動く。
 胸元で両手を握り合わせる。

「ルフス……」

 私の口が悲し気な声を作っていた。


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