175 / 375
第10章・勇者の胎動
◆ 4・婚約破棄の危機(後) ◆
しおりを挟む「私を……救う?」
ちょっと意味が分からない……。
「いやいやいや、あんたと離婚した方が私には痛手じゃない? 成婚日まで発表した上での婚約破棄とか、その後の人生ボロボロだって分からない? むしろ私がお父様に殺されてエンドな未来しか見えないんだけど?!」
そうよ、お父様がこんな話を知ったら私、殺されるわ……!!!!
「ヨーク侯爵……そうだね、彼にとっては困る事態かもしれない」
「いやいや、あんたの方も王位継承とかを別にしても結構な痛手よ?!」
冷静なカエルにツッコミを入れるも、彼は頷くだけだ。
「どういう事よ……」
途方に暮れる。
婚約者という肩書を外しても、私たちはそれなりの関係だったはずだ。友人、いや同志にも近いと思っていた。それがココで見放される事になるとは考えても見なかったのだ。
正直、カエルに見放されてこの先の情報整理とか頭脳戦とかやっていける気がしないんですけど?
「チャーリー。アーラは君の中にいて、もう目覚めてるね?」
彼はどこまでを知っているのか、驚きで言葉を失った。
なぜ彼がそこまでの事を知っているのか、ルーファから聞いたのか、質問は山ほどある。
アーラが目覚めてたら何だって言うの?! そもそも今その話関係ある?! いや、カエルが言うんだからあるんでしょうけど、説明なしでソレって何なわけ? っつか、婚約破棄の理由を先に……!! 何なのよ、イライラするわっ、マジでっっ!!!!
って、私、まさに捨てられ女の王道を今、歩んでない?!
……うん、歩んでる。歩んでるわ……。なんでこうなった?!
大きく深呼吸を繰り返す。
……こうして、捨てられ間際の女としてセオリーな台詞を吐いていてもしょうがない、な……。うん、私らしくない……。
いいわ……了解了解! 別れりゃいいんでしょ別れりゃ!!!!
〈チャーリー! ダメよ……落ち着いて。ちゃんと話す事だ大事よ〉
元天使の愛され女に何が分かるっての!? 黙ってなさいよ!
耐えかねたように口を挟んできた天使を黙らせる。
「いいわ、破棄了解。お父様に殺さる危険もある道なんだから、せめて説明はしてもらうわ。命かけてる側として当然の言葉よね? この先あんたが私の責任取るわけでもないんだから」
むしろ説明だけはしていけと願いながら言う。
黙り込んでいたカエルは、やがて私の頭をポカリと叩いた。
軽い一撃だ。
不覚にも文句は出てこず、呆然とした。撲殺には程遠く、痛みすらも伴わない一撃――とても心に響く一撃だった。
「ちゃんと話すから、君もちゃんと考えるんだ」
「……は?」
「君の敵は政治じゃないし風聞でもないでしょ。それらは君が『より良い生活』をする上で必要な物かもしれないけど、なくても『幸せに生きる事』は出来るし、ボクはそうしようと思ってる」
また意味が分からなくなった……。
「一緒に生き抜く為に考えるんだ。ボクは君の味方を止めたりしないよ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです
志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑!
10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。
もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。
(頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる