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第11章・恩赦
◆ 16・布石(後) ◆
しおりを挟む船倉の一番奥――通称積み荷の間へと案内された私たち三人は、空虚な部屋を見つめている。
隣のモニークはうっすらと笑みを浮かべたままだ。
よし! アレックスはいないわね。
部屋に着くまでも無駄に大声で同行人たちに話しかけ、彼に気づきを与えたつもりだ。一本道ですれ違わなかった以上、どこかに隠れているのだろう。
彼の思惑通り、隠し部屋やそれに類する秘密の場所に辿り着けているなら良しだ。
後は速やかにこの部屋を立ち去り、モニークたちを引きはがす事が私の使命と言える。
「ねぇ、船長さん」
モニークが沈黙を破る。
しまった、先を越された!
「積み荷を入れる部屋は、ココ以外にもあるんじゃないかしら?」
しかも何であんたがソレを言うのよ!
ってか、あるからイカモンスターが発生したわけで……ってなると仕掛け人は船長?! 一体船長に何の得が?
船長は大仰に首を振った。
「客用のはここだけっすよっ」
「じゃあ、乗組員の荷はどこかしら? 国からの依頼分もあって運搬しているんでしょう?」
モニーク?
もしかして、アレックス探しじゃないの? 別の目的でココにいるの?
「あったとして……お嬢さん方に見せる必要はないっすわ、な」
そうよね……よく考えたらモニークも命を狙われた自覚があって可笑しくない。もしかして、イカ事件の犯人捜しにココにいるって事?
アレックスもモニークはイカ発生の犯人側ではないと考えていた。
過去軸でイカが先輩を暴走させた原因なのだから、避ける意味でも放置は危険だ。
「エイベル、この船買い取るからぶっ壊してOKよ!」
「な、何言って……!?」
船長が焦りの声を上げる。
もちろん、今の私はチャーリー・グリーンでヨーク家のご令嬢ではない事になっている。買い取る云々は只の脅し文句でしかない。
不敵に笑む私に分かりやすく大声で反論する船長。
イカを発生させる儀式部屋を見つけて、誰がこの部屋を用意しろと言ったのかを聞けば犯人判明だ。船長がエイベルに怯えて案内してくれるのは時間の問題だった。
だが――。
「ちょ……っ!!!!」
モニークの声。
轟音と共に穴が空く壁。
船の中心にいるはずの私の目の先に海が見えている。いくつもの壁を破ったのだと気づいた時には、二撃目が反対の壁をぶち抜いていた。
は?
エイベルが三撃目を加えようとした時、敗れた壁からアレックスが飛び出してくる。
「待って!」
「そうね?! 待って!!!!」
彼と私の悲鳴じみた叫びに、固まる少年。
「やっと儀式の部屋を見つけたよ、半壊したけど……」
焦りのあまりか真実を漏らすアレックスと走り出す船長。
私は命令した。
「エイベル、捕まえてきなさい!」
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