死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第11章・恩赦

◆ 25・熱砂のモンスター(後) ◆

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 アレックスの話は、こうだ。

 西大陸におけるモンスターの立場は神獣。彼らは『神の落とし物』として生存権を獲得しており、害する事は命に関わる時のみとされている。
 また、神獣たる彼らの生息域を避けた位置に街が作られている事で双方の『別居』はうまくいってるとの事。

「そ、んな……うまくいく?」

 アレらが人間側に配慮など考えられないし、むしろ人間を食い荒らす為に存在しているくらいの感覚でいただけに、違和感しかない。


 所変われば、って言っても変わりすぎでは?


「西大陸は荒涼な砂漠地帯がいくつもあるし、モンスター自体も砂漠を生息域にしている生物ばかりなんだ。砂漠を棲み処とする人間の部族もあるけど、彼らは移動しながら過ごしているからね」
「死人、出てないの?」
「ゼロではないけど、許容範囲って事になるのかな。……相手は『神の落とし物』だからね。反論する者の方が少ないというか……天罰が下ったくらいの感覚というか」

 小さな嘆息。
 余分な顔が見えてない分、アレックスの気持ちが伝わってくる。彼は託宣の事もあり、特定宗教の教義によって迫害されているようなものだ。当然の反応かもしれない。

「じゃあ、先輩のトコは討伐が目的で派遣してたんじゃないんだ?」
「前にも言ったと思うが、ウチは避けて躱すに特化した部隊を作って送り込んでいる。理由はそっちの方が人員獲得しやすい為だが、こちらではソレをこそ求められているからな。市場独占とまではいかないが、実入りは良い」
「へぇ」


 ん? 待てよ??


「アレックス、神獣って言ったよね?」
「そうだね」
「それって基本は殺しちゃダメって事よね?」
「そうだね?」
「そ、れって……」

 チラリと背後を振り返る。眉を寄せ、珍しく不快感を全面に出している弟の姿。

「そ、うだね……」

 アレックスが悟ったように額を押さえる。

「うん……、えーっと……生存を脅かされた場合のみ害する事は許されているけど、殺害したとなると……手順が色々と、その……煩雑でしたよね?」

 スライ先輩に問いかけるアレックス。

「そうだな……、そもそも殺せる力を持った人間が少数な事もあり、そういった法整備が必要ない状態だ。殺すと面倒だな。殺さずに……、いや、いい機会だ。エイベルには手加減を覚えさせろ!」


 手加減!? 魔王に手加減?! ソレって将来、勇者と戦う時に手加減覚えたが故に負けるみたいなパターンになったり……いや、それは人間の勝利にはちょうど良い?


「そうね……、エイベル! 手加減の練習にモンスター修行するのよ!」

 エイベルは不機嫌そのものの顔で私を見上げる。

「テカゲン、どうやる?」

 ここは秘儀『人任せ』を発動だ。

「モニークと先輩が教えてくれるわ、よく学ぶのよ」
「ちょっとチャーリーさん、何を勝手に……!」
「そうだ、そんな規格外の相手はしたくない」

 焦るモニークと違い、先輩はきっぱりと匙を投げた。


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