死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第12章・秘密は舞台

◆ 3・不揃いな助っ人(中) ◆

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「お? その顔はアレだな? 俺様とアレックスが一緒に現れた事に驚いてんだな? 本来の召喚とはちょいズレてたが、それでもまぁ聞いてやる俺様は凄いだろ」

 胸を反らすカエル体のルーファ。
 まぁまぁ可愛く見えないでもない。

「違うね。でも聞いてあげる、何で?」
「俺様、分体してんだ。人間風に、体と精神を分けたって思ってもいいぜ? まぁ実際は魂も体も一体化してんのが天使や悪魔だ、二つに割いて片方をアレックスが使ってて、片方に俺様の精神を全部ぶっこんでアレックスの体内に入ったって感じで」
「もういいわ」
「おいおい、せっかくの説明が」
「いや、本気でいらないです。今の状況的に。じゃ、あんたが火、消して。使えるんでしょ、その身体でも力」

 またもルーファは胸を反らし、得意げに指をパチンと鳴らす。同時に消える煙。
 だが消えたのは煙だけだ。

「当たり前だろ! 生物なら何であれ、魔力って物はあるんだ。俺は火と水の悪魔だぜ? 属性理解は勿論、火と水なら余裕だぜ」
「じゃルーファ、火を消してよ。壁をぶっ壊すとかダメ! ここって明らかに地下よ? 壁を壊して、砂が土砂状態で来たら生き埋めだわ」
「どっちにしろ、アレックスに任すぜ」


 はぁ??


「あんた、誰に物言ってるか分かってんの? アレックスよ?」

 心の声をそのまま口に出せば、ルーファが笑う。

「大丈夫だ。アレックスは今、俺様の体なんだからよ」
「でも、アレックスができる範囲の事しか力引き出せないって聞いたけど?」
「その通り。で、魔法ってのはどうやって使う?」


 どう……って。


「精霊王と契約して、呪文理解して覚えて……魔力を集中して、魔力に属性をつけて? 唱える感じだけど」
「お前の理解あっさいな」

 呆れたように呟くルーファ。

「ちょうどいい練習場だ。アレックス、やれよ」
「いや、だから……あんたが消せばいいじゃない。アレックスは」
「アレックスは使ってないだけで、使えるだろ?」


 はあ??


「アレックスは呪文理解も暗記もしてるだろ? 後は契約と実践だけだ。今のアレックスの体は俺様の分体。炎と水に関しては契約してるも同然だ。まして魔力量に関して言えば俺様と分け合ってるんだから、充分な量だ」
「そ、そうなの?」

 ルーファ体のアレックスを見る。

「うん……まぁ」


 確かに……理論ではそうなる……?
 でも……、でも、アレックスは力を放棄してる。それも自分の意思で……よ。窮地だからってアレックスが力を使う必要は少しもない。だって、その力はルーファだって使えるんだから。
 

 再度ルーファに詰め寄ろうとした私の手を、アレックスが掴む。

「ボクがやるよ」
「え?」
「ボクも逃げてる場合じゃないって、色々、よくわかったから……使うよ」
「アレックス、……気は確か?」

 初めての焼死ピンチで気が触れたのかもしれない。
 あり得ない話ではない。誰だって初めての焼死には戸惑い焦る物だ。


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