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第12章・秘密は舞台
◆ 26・席次の試練(前) ◆
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断ろうとした私に、カリムが指を突きつける。
待てと言いたいらしいが、こちらの気持ちは決まっている。確固たる態度で断ろうと、再度口を開く。
「何を言われても気持ちは変わらないわ……だって」
「魔王の城への道、簡略コースと引き換えではどうでしょう?!」
え、……簡略コース?
「ちょっと待って、カリム様。その口ぶりだと本気コースみたいなのがあるような響きが、むしろ試練のような何かがあるとか私、聞いてないんですけど?」
額を抑える私に、彼は言う。
「ありますよ、試練!」
「ウソでしょ……冗談と言ってよ」
「ちなみに本来ではデスマッチ込みですよ!」
は????
「誰とよ」
「決まってます、三大悪役家の優秀者で競い合うんですよ。年齢性別様々な各家の代表者二名で」
お父様、どういう事ですか? 本気で何も聞いてないんですけど?
「悪役とて魔王に仕えて、それなりに美味しい思いをしますから、席次争いは苛烈なものとなっています。何より魔王の要求に応える必要がありますし、優秀な者でないと……」
言い分は分かる。
だが納得したくない。
「カリム様……殺し合いですか? それは」
「大抵はそうですね。魔王の補佐として人殺しになれている必要がありますから」
人殺しと耳で聞けば、大層軽いが実際に大量殺人を求められるのはキツいものがある。
「カリム様……簡略コースってどう言う意味ですか?」
カリムはニコリと笑った。
悔しいかな、彼の術中にハマっている。
「魔王が見つかっているということから、悪役の行動も大体読めます。おそらくシャーロット様は魔王の城を手にするために、ここにいらっしゃった」
「ええ、そうよ」
「これは、文字通り城取りゲームです。最後は生き残り勝者方式ですが、稀に飢饉や天災で悪役家の人数が少ない場合があります。そうした時に貴重な人材を殺さないようするためのコースとなります」
促す意味でも頷くが、カリムは微笑むのみだ。
「カリム様?」
「交換条件ですから、これだけ話せば充分かと。要約すれば、死なないコースですから」
割り切れない感情の渦。
父の『城を取れ』の意味がやっと分かった気分だ。そしてエイベルへの伝言『全て消してもいい』の意味も。
どうする? 悪役家の連中とまで闘うってキツすぎる。
「ちょっといいかしら?」
今まで邪魔もせず、黙って聞いていたモニークが手をあげた。
「打倒啓教会の人間で、多少は事情というものを知っています。差し出がましくもご忠告いたします。悪役家ヨークのご令嬢はシャーロット様ですが、この場んは、悪役家スライのご令息オズワルド様もいますよ」
呆然と彼女を見つめる。
オズワルド・スライ。言わずと知れた先輩の名だ。
待てと言いたいらしいが、こちらの気持ちは決まっている。確固たる態度で断ろうと、再度口を開く。
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え、……簡略コース?
「ちょっと待って、カリム様。その口ぶりだと本気コースみたいなのがあるような響きが、むしろ試練のような何かがあるとか私、聞いてないんですけど?」
額を抑える私に、彼は言う。
「ありますよ、試練!」
「ウソでしょ……冗談と言ってよ」
「ちなみに本来ではデスマッチ込みですよ!」
は????
「誰とよ」
「決まってます、三大悪役家の優秀者で競い合うんですよ。年齢性別様々な各家の代表者二名で」
お父様、どういう事ですか? 本気で何も聞いてないんですけど?
「悪役とて魔王に仕えて、それなりに美味しい思いをしますから、席次争いは苛烈なものとなっています。何より魔王の要求に応える必要がありますし、優秀な者でないと……」
言い分は分かる。
だが納得したくない。
「カリム様……殺し合いですか? それは」
「大抵はそうですね。魔王の補佐として人殺しになれている必要がありますから」
人殺しと耳で聞けば、大層軽いが実際に大量殺人を求められるのはキツいものがある。
「カリム様……簡略コースってどう言う意味ですか?」
カリムはニコリと笑った。
悔しいかな、彼の術中にハマっている。
「魔王が見つかっているということから、悪役の行動も大体読めます。おそらくシャーロット様は魔王の城を手にするために、ここにいらっしゃった」
「ええ、そうよ」
「これは、文字通り城取りゲームです。最後は生き残り勝者方式ですが、稀に飢饉や天災で悪役家の人数が少ない場合があります。そうした時に貴重な人材を殺さないようするためのコースとなります」
促す意味でも頷くが、カリムは微笑むのみだ。
「カリム様?」
「交換条件ですから、これだけ話せば充分かと。要約すれば、死なないコースですから」
割り切れない感情の渦。
父の『城を取れ』の意味がやっと分かった気分だ。そしてエイベルへの伝言『全て消してもいい』の意味も。
どうする? 悪役家の連中とまで闘うってキツすぎる。
「ちょっといいかしら?」
今まで邪魔もせず、黙って聞いていたモニークが手をあげた。
「打倒啓教会の人間で、多少は事情というものを知っています。差し出がましくもご忠告いたします。悪役家ヨークのご令嬢はシャーロット様ですが、この場んは、悪役家スライのご令息オズワルド様もいますよ」
呆然と彼女を見つめる。
オズワルド・スライ。言わずと知れた先輩の名だ。
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