死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第12章・秘密は舞台

◆ 25・悪役の家柄(後) ◆

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 彼の姿が自分にダブった。
 身に余る流れに翻弄されているという意味では同じかもしれない。

「この場にいる人間には全てを、欠落なく知っておく必要がありますね」

 アレックスが厳かに告げる。
 カリムも、もう止めなかった。

「知っての通り、聖女は信仰厚き場に降り立つ。その信仰とは聖女教で、母体組織は啓教会とされている。聖女への祈りが盛んな我々の国と違い、西側諸国は土着の神を信仰している。この時点で、想像つくとは思うけど」
「つまり、聖女は降臨しないのよね? こっち方面に」
「はい、……そういえばシャーロット嬢は知っていますか? 聖女が最期を迎える場は降臨の地なんですよ」
「って事は、……やっぱりこっちには……」

 チラリと現地人であるカリムに目を向ける。彼は悲痛な顔で頷いた。

「仰る通り、私や国の情報部は知っています。聖女が死ねば、光が世界を包み魔素が撒かれます。でもこの光の層には厚み問題があるんですよね。……信仰の重さで光配分が決まるなんて、気づいた時にはもう遅かった……」


 まぁ、信仰してないのに恩恵だけ貰おうってのは虫が良すぎるかなと思うけど。


「それでも私達だって手をこまねいていたわけではありません。土着宗教の撤廃運動や、聖女教への優遇措置すら……ですが、人々の反発によって崩壊を招きかけて……下火に……」

 話から察するに、こちらに魔素が行き渡らず不毛の地になったわけだ。


 大変なのはわかるけど……。


「苦肉の策がモンスターの守護神化です。……悪役の血を使えば、ある程度の抑えが効きますからね」
「そこが謎なのよ。何で悪役の血?!」

 思わずモヤモヤに直撃したため、話に割り込む。
 しかしカリムは、信じられない言葉を聞かされたとばかりに私を見る。

「三大悪役家の成り立ちを習ってないんですか? 始祖は悪魔ですよ」
「悪魔? え? 人間と悪魔が結婚したって事?」
「ですね。……本当に聞いてなかったんですか……」

 呆れ口調のカリム。

「悪魔と結婚なんて、子孫だなんて……それが、悪役に選ばれる理由なの?」


 悪魔の子孫だから悪役に選ばれただなんて……。


「あなたには与えるだけの力があるんですよ」

 義務を果たせとばかりの言い方だ。
 正直な気持ちを言えば、別に死なない程度なら血くらいあげてもいいと思ってる。
 悲劇を見て笑うような時期はとっくに終わっているし、もう良い大人なのだ。


 町の人を救いたいって気持ちだってないわけじゃない、……けど。


 私はアレックスを信じている。自分の判断よりもずっと多くのものが見えていると信頼している。
 カメを殺す事を良しとしたアレックス。
 今日会ったばかりの男、しかも私を生贄にしようとした相手の言い分を鵜呑みにはできない。

「悪いけど……」

 
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