死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第12章・秘密は舞台

◆ 29・悪役会社システム(前) ◆

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 先輩に殺されてきた軸の事を考えてみれば、いつも不意打ちだった気がする。
 ある意味、先輩らしい。確実に倒せる状況からの奇襲。目的や意図を悟らせずに、結果を出してきたのだ。


 そして、先輩も大量殺人を行った理由の一端に気付いた……。『何故』が解消されてしまった以上、敵対状態が始まる可能性は大。


 全神経を先輩に向ける。
 いきなり刺しに来られても可笑しくない。いらない情報を開示したモニークを呪いたいくらいだ。

「シャーロット・グレイス・ヨーク……」

 先輩が私の名を呼ぶ。

「なんでしょう?」


 よし、隙次第でこっちから……!


「お前の部下になる」
「……はい?」

 一挙手一投足に意識を集中してただけに、彼の言葉こそが不意打ちだ。
 先輩は再度言う。

「お前の部下になろう、と言っている」
「それは、聞こえましたけど。……何故、というか、何の意味が……?」
「デスマッチしたいか? 俺はしたくない」
「それは……私も」
「だろう? まして行き着く先が見えている。大量殺人の未来だろう?」

 確かにそうだ。
 私は自分の死を回避したつもりだったが、先輩の殺人者未来も共に潰してきた事になる。


 家族の復讐というよりは、家族の為に悪役覚醒したってことか。
 たとえば愛する妹ドロシーの為とか。


「悪役が一人である事は決まっていて、席次の取り合いである事も分かっている。選出方法は誰がどう殺してもいいと分かっている」
「え、そう?」
「カリムが他候補者を処理するとした簡略コース、俺が過去に犯したというお前を含めた大量殺人。殺し方や、殺す場所、殺す側も自由という事になる」


 そう言われたら、そうね?
 でもだからって部下になればいいってもの?


 聖女は死ぬ事で光エネルギーのようなものを世界に放出するのだ。悪役の力を魔王が徴収するとも聞いている。
 悪役が死ぬ事で、他の悪役に力を引き継がせるのだとすれば、先輩が私の臣下に下ったところで意味はない。


 でもそれを言ってしまったら、殺し合いしかなくる……っ。


「じゃあ、先輩の臣下入りを受け入れます」
「いや臣下じゃない。あくまで部下だ、最初は、な」


 含みがありすぎる……。


「悪役会社を経営しようと言っている。まずはお前がボスだ。学校と同じだ、ミスに点をつけ、赤点でボスチェンジだ。これはもう一人だか二人だか知らないが、そいつにも話す予定だ」
「先輩、戦って決めしょう」
「……は? これ以上、合理的な話が他にあるか?!」
「合理的でもテストはイヤですね」
「……殺し合いの方がマシだと?」

 先輩の話から考えるに、机上のサバイバルだ。それも最初にトップについた人間に勝ち目はない。

「恐らく、お二方の前提条件が違うかと」

 アレックスが口を挟む。説明態勢に入った彼に、ホッと息をついた。
 後は彼が良いようにしてくれるだろう。

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