死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第12章・秘密は舞台

◆ 30・悪役会社システム(後) ◆

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「悪役会社システム自体は良い考えだと思います。スライ様は悪役が保持している力をトップに結集し、交代、移行していけば良いと考えているのでしょう?」

 先輩は頷く。やはり、と言ったところだ。

「ですが、確実に『できる事なのか』が焦点になります。現時点で死亡エンドの可能性がやや上かと」
「それよ!」

 思わず口を挟めば、全員の視線が向く。

「聖女関連同様に、そう思わされてるだけじゃないのか?」
「え、どういう意味よ。現に……」
「誰も歩いた事のない道だった。最初に歩いた奴は迷走しながら辿り着き、後進は真似をしたって可能性だ」


 本来は別の道が用意されていたかもしれないって事?


 アレックスは「なるほど」と一言。
 彼にとっても無視できない話だったらしい。
 先輩は続けて話す。

「部外者の目もあるから、詳しくは差し控えるが……上は勇者すらシステム外の事だったんだろう? 俺たちは本来通らずとも良い道を通らされている可能性がある」

 もしも先輩の仮説が正しければ、フローレンスは助かるし、悪役にも希望が持てる。

「確かに……彼らは地上の者への慈悲としてシステムを作った」

 隣でアレックスが小さく漏らす。誰に聞かせるともなく、述懐のようだ。
 彼の言う通り、システムを作ったおっさん天使は勇者の出現を興味深そうに見ていたし、アーラもそんな異分子であった勇者に好感を持ったのだ。

「シャーロット嬢がこの話に乗るなら話は成立ですね。もう一家の意向は無いようなものですし」
「あんたもう一人が誰か分かってるの?!」

 声を上げれば、彼はバツが悪そうに頷いた。

「推測ですよ」
「誰よ!?」

 ふと視線を感じ、モニークを見る。
 彼女は読めない表情で私を見ていた。


 しまった……っ。アレックスへの態度も、今の話も、彼女にとってみれば怪しさしかない!


 いいわけを考える間に、アレックスが答える。

「……ヘクター・カービーだよ」
「何で?!」

 慌てて口を押える。大声を出したものの、ある意味しっくりきた。
 ヘクター・カービーは私殺しTOP3の一人にして天使のスパイだ。
 彼は生前の重罪っぷりから箱庭刑に処せられ、天使に見込まれスパイとなっている。おっさん天使の妹が封印されている私を殺し続けた彼の行動は、一見すればシステム障害でしかない。
 だが、もし私に成り代わる悪役としての密命を受けていたとしたら――。

「三大悪役家って事は……、カービー家がって事よね?」
「そうだね」

 ヘクターは現在、私の実家で執事見習いのような事をしている。
 彼の行動を考えてみれば、やはり違和感しかない。

「どうやら状況が見えていないのは私だけですね?」

 意味深に微笑むモニークから目を逸らす。

「後で説明してもらいたい所ですが……ここにもう一家の方がいらっしゃるなら、話はそこからでしょう? 先ほどの会社システムとやらも、もう一方の意見次第でしょうし」
「そうだな。ただ……ヨルク家としても予定路を大幅に反れるんだ。抵抗される覚悟はしておいた方がいい」

 先輩の含みある発言を最後に、私たちは黙り込む。
 沈黙は、再びカリムが戻るまで続いた。

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