死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

文字の大きさ
265 / 375
第13章・悪役闘争

◆ 4・リスタートの意味 ◆

しおりを挟む
 なんだろう……こんな事で見た目の大事さを痛感するなんて……。


 本来のカエル姿の方がよほど人間味があった。なまじ人間体で、それもイケメンのルーファの姿では――。


 ただの性格破綻者だわ……。
 元婚約者の妹殺害を人に薦めるなんて、あんたの頭はどうなってんの? あんたが勇者なら、未来の嫁を委託殺人してるようなもんよ?


 まして相手は聖女なのだ。『聖女を殺せ』と天使陣営に提言するなど正気の沙汰ではない。

「自分が何を言っているのか、分かってるのか!」

 先輩が声を荒げる。
 対するアレックスは涼しい顔だ。

「ここにいる皆さんに限らず、大体の方は勘違いしています。聖女という存在のレッテルに対する役割も全て、地上に生きる者が後付けしたものでしかないんですよ」
「それがどうした」
「聖女は本当に『聖なる』を冠するにふさわしいのでしょうか?」


 アレックス?


「本当に聖女には相応の役割が与えられているんでしょうか?」


 本気で、あんた……聖女不要な流れでいく気? それとも私がかきまわす事も視野に入れて言ってるの? でも、それならどうして……。


 彼は私を見ないどころか、こちらに背を向けて、窓辺に立つ。
 彼からは先ほどまで私がいた中庭が見えているはずだ。

「もし、聖女が聖なる存在で、それ相応の役割を得て地上に存在しているのならば……我々が何をするまでもなく天上の者達の都合で……勝手に、生存が約束されているでしょう。必要となる、その瞬間まで」
「それは……違うだろう」

 先輩が絞り出すような声をあげる。

「スライ様、どうしてですか?」
「なぜなら、すでにシャーロット・グレイスが……」

 その通りだ。
 先輩は私が何度もリスタートをしている事と、その中でフローが死んでいた道もあったという事を知っている。そして先輩は知らないが、目の前のアレックスとて知っているのだ。
 頭の良いアレックスが忘れているはずもない。
 何か狙いはあるのだろうが、私には判断がつかない。

「シャーロット嬢とは個人的に親交がありましたので、スライ様のご心配に通ずる内容は聞いています」

 私の現婚約者キャメロンから放たれた密偵という設定を守り、彼は更に続ける。

「ですが、事実、聖女フローレンスは今も生きていますよね?」


 確かにそうね……、その時間軸で死のうとも私が死ねばリスタートされて元の時間軸になる。それに、私は聖女を聖女として覚醒させる為にいるわけで……?
 あれ??
 そうよ……、聖女を覚醒させる為に私は何度もやり直さなきゃいけないっていう……。


 知らなかったわけじゃない。
 知っていた。
 聞いていた。
 それでも理解が及んでなかった。

「聖女は……」

 呟けば、彼が振り返る。

「フローは、求められる形になるまでの生存が約束されてる……。そうなるまで、やり直さなければいけないシステム……」

 アレックスは視線を伏せる。
 ルーファの顔だというのに、見知ったカエルの顔がダブって見えた。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...