死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第13章・悪役闘争

◆ 5・条件次第で成立 ◆

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 フローレンスのためのやり直し。
 だとするなら、天使陣営のヘクターが聖女を殺そうとすれば、どうなる? 天使による解雇? だとすれば、安全にヘクターを排除できる?


 いくら考えても結論など出ない。

「さっきから何の話をしているの?」

 唯一、詳しい事情を知らないモニークが疑問を吐き出す。
 彼女は反教団の人間――つまりは反『聖女』という事になる。議題となりつつある聖女を殺す話については、彼女もOKするかもしれない。


 でもモニークの立場は、あくまで私の監視……それも私がスライ先輩を殺す確認にきてる。しっかり聞いたわけじゃないけど、多分そう……。
 一番いいのは、どさくさに紛れて先輩に死んだフリでもしてもらいやり過ごす道。
 モニークの目を欺きながら、天使や悪魔事情を隠し通すなんてできる? いっそどさくさに紛れて殺すべきは……。


「シャーロット嬢には特殊なスキルがあるんですよ」
「あ、アレックス!?」


 その話もしちゃうの!?


 愕然とする私の前で彼が言い放つ。

「予知です」


 よ……ち?!


 かつて私が、ミランダやアレックスに言い訳として使った文言だ。
 彼は予知についての話を多少の追加を加えてモニークに言って聞かせた。当然彼女は不審げにしているが、上司に占い師もどきがいる事もあるせいか、最終的には黙した。

 その間ずっと、ヘクターは宙を見つめていた。


 まさかおっさん天使がそこら辺を浮遊してたりするんだろうか?


 しばしの沈黙。
 やがてヘクターが手を打つ男。

「そっちの話も終わったみたいだし本題に入ろう! 、えーっと、聖女! 聖女殺しっ。これは正直ワクワクするし、悪役会社やってもいいかなーって思ったよ!」

 含みのある言い方だ。

「でも、って続くのね……」
「うんうん、流石お姉さんだ! まさに『でも』なんだよね。あ、でも全然『無し』ってわけじゃなくて……うーーん、そう! 条件っ、条件だよ、交換条件!」

 殺人鬼の出す条件など嫌な予感しかない。
 しかし先輩が促す。

「言ってみろ」
「ちょっと、先輩!? こいつの条件なんてヤバい事に決まってるのにっ」
「言うのはタダだ。それに融通し合わねば、話も決まらないだろう?」

 ヘクターはここぞとばかりに頷く。

「ですです! で、条件っ。欲しいものがあるんで、それをください!」
「お金で解決できるもの?」

 思わず聞けばモニークがうんざりした顔になる。
 私とて、何でも金で解決できるとは思っていない。できればいいな、とは思っているが――。

「無理かな! お金で買えるものは殺せば手に入るし」
「……で、何が欲しいのよ」

 彼は薄気味悪くニンマリ笑う。

「魔王の首だよ!」




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