死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第13章・悪役闘争

◆ 16・闇討ち(前) ◆

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 延々と、町をさすらっている。
 目覚めは最悪、天使の猟奇発言でぐったりした中、先輩達に叩き起されたのだ。
 もちろん館の主人にして我が親戚カリム・中略・ヨルクを捜す事は決まっていたし、必要性も分かっている。


 だからって朝陽が昇る前から出る必要性よ……。
 それに五人で分割しても町は広いのよ? 人雇った方がいいよ。


 町を東西南北中央に等分して、全員で捜索しているが芳しい成果はない。
 すでに太陽も中点に近づいている。
 カメの暴走から立ち直れていない家々を見つめ、ため息がこぼれた。


 ヘクターの担当は東……。


 西の私とは距離があるも、中央の捜索はアレックスだ。こっそり入れ替わってヘクターを狙う事は可能だろう。


 アーラの気味悪い話は置くとしても、血は貰わないとよね。


 一応は捜索らしく町民に声をかけて、捜索の痕跡は残した。
 そろそろヘクターの闇討ちに移行してもいい頃だろう。
 東に向かおうとした瞬間、ビシャリと液体が降る。
 頭から被った透明な――水は、粘性があり、油特有の匂い。


 これ、……ヤバくない?!


 思ったのと身体が動いたのは同時だ。
 崩れ掛けの民家に飛び込む。食事中の母娘が悲鳴を、あげる。

「すぐ出ていくんで!」

 とりあえず叫ぶも、完全に不審者扱いだ。
 二人は部屋の隅に駆け込み身を寄せ合う。互いをかばうように抱き合う様は、まさに麗しい母娘愛。
 それらを尻目に割れた窓から外を伺う。


 私を生贄にしようとしたヤツら? それとも怒れる住民? まさかのヘクターはないよね? 今は手を組んでるし、同じ意味でもスライ先輩なわけないし、モニークだって、今は私の行動待ちで……。


 窓の外は依然穏やかな風景だ。
 たとえ壊れた色々があろうとも、ごく一般的な生活が送られている。


 一体どこから……、今は『誰か』よりも『どこから』が重要よ!
 見えない位置から私にこれだけの油を掛けてる、アドバンテージは向こうにあるっ。


 周囲に視線を走らせるも目に留まる違和感はない。

「位置的に、上……よね?」

 屋根に視線を滑らせる。
 一点、白い影。


 ゴミ? 袋?


 それが縦に伸び上がる――人だ。
 それも見覚えのある姿。

「なんで……??」


 フローレンス……、フローレンスだ!


 何で妹、それも少しは好かれてるはずの妹!
 確かに私は悪役だし、向こうは聖女だけど、だからぅて……まだ互いに覚醒も何もしてないってのにっ。


 ヘクターの闇討ちなど考えている場合じゃない。何せ、アレが本当に本物のフローレンスだとするならば、今後の流れが一気に変わってしまう。

「嘘でしょ……もう聖女と対決?」

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