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第13章・悪役闘争
◆ 29・聖女捕獲作戦(後) ◆
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「あんた……何?」
寒気が走る。
「わたしはみちびきのダ・天使フローラ! あなたの幸運よ」
自失したのは一瞬だ。
「待って待って待って?! ツッコミどころしかないんだけど? 堕天使?? 堕天使なの?! なんで堕天使が導くのよ! いやむしろ、絶対幸運じゃないし!」
ある意味、悪役の導き手としては納得かもしれないが、なぜこのタイミングで派遣されてきたのかが気になる。
派遣よね? 派遣されてきたのよね?? あのおっさん天使とかに。アーラがヤバいから?? アーラの状態が良くないから、てこ入れってやつよね?!
「エ……アのことね、はんぶんハズレよ! だってわたしが、じぶんできめてきたんだもの」
胸を張る少女がくるりと回る。
同時に広がる黒い翼。
いつか見たルーファの羽よりも小さく、鳥の羽のような翼だ。
「さあ、チャーリー! そこにうかんでる命を、はやく!」
うかんでる命?
産まれてこの方幽霊など見たことはない私だ。
命が浮かんでいると言われても首を傾げざるを得ない。
「わたしがあつめてあげるー」
彼女はどこからか取り出した箒とバケツを手に、パタパタと周囲を飛び回って掃く。
宙を地を、翼をはためかせ舞う姿はどこか滑稽だ。
事態についていけていない私は彼女の姿をただ見つめていたが――やがて、彼女は私の前で停止した。
差し出される薄汚れたバケツ。
「はい、チャーリー、めし上がれ」
ニッコリ笑顔の少女とバケツを交互に見やり、首を振る。
……絶対イヤ……っ。
「もう、こまった人ね、チャーリー。これをたべてくれないとはじまらないよー!」
うん、……逃げよう!
思い立つと同時に走り出す。
幸い、カリム探しの余波で道には詳しくなっている。人のいる道まで出ればこちらのものとばかりに、駆ける。
だが、走れど走れど、知っている道に辿り着かない。それどころか、袋小路だらけの路地をひたすら彷徨う羽目になった。
一日中、カリムを探し回った身だ。
先に体力の限界が訪れ、立ち止まる。
「なによ、これ……っ」
荒い息と共に吐きだせば、耳元で声がした。
「むだなことをするのね、チャーリー」
弾かれたように距離を取るも、黒い羽を散らしながらその少女は宙に鎮座していた。
「チャーリーとフローラは、どこにいくのもイッショなんだよー。ふふふ、おともだちかな? おともだちだよね? わたしたち、おともだち!」
彼女は宙で飛び跳ねて、地に降り立つ。そして優雅にお辞儀。
「いっしょにセイジョをつかまえて、たべようね! チャーリー?」
「た……べ?」
問いかける私を無視し、彼女は顔の前にバケツを突き出す。
「まずはコレ!」
「……あ、なたが、食べたら? ……友情の、プレゼント……よ?」
言い逃れにしても程がある。
だが、彼女は不思議そうに首を傾げてバケツを見下ろした。
「いいの?」
「え、……ええ、もちろんよ、フローラ」
「わぁ……すごい……、なんてやさしい人!」
フローラは頬を紅潮させ、翼をはためかせる。全身から喜びを体現し、それから小汚いバケツを天に掲げた。
「いただきまぁーす!」
途端、周囲に無数の断末魔が響き渡った。
寒気が走る。
「わたしはみちびきのダ・天使フローラ! あなたの幸運よ」
自失したのは一瞬だ。
「待って待って待って?! ツッコミどころしかないんだけど? 堕天使?? 堕天使なの?! なんで堕天使が導くのよ! いやむしろ、絶対幸運じゃないし!」
ある意味、悪役の導き手としては納得かもしれないが、なぜこのタイミングで派遣されてきたのかが気になる。
派遣よね? 派遣されてきたのよね?? あのおっさん天使とかに。アーラがヤバいから?? アーラの状態が良くないから、てこ入れってやつよね?!
「エ……アのことね、はんぶんハズレよ! だってわたしが、じぶんできめてきたんだもの」
胸を張る少女がくるりと回る。
同時に広がる黒い翼。
いつか見たルーファの羽よりも小さく、鳥の羽のような翼だ。
「さあ、チャーリー! そこにうかんでる命を、はやく!」
うかんでる命?
産まれてこの方幽霊など見たことはない私だ。
命が浮かんでいると言われても首を傾げざるを得ない。
「わたしがあつめてあげるー」
彼女はどこからか取り出した箒とバケツを手に、パタパタと周囲を飛び回って掃く。
宙を地を、翼をはためかせ舞う姿はどこか滑稽だ。
事態についていけていない私は彼女の姿をただ見つめていたが――やがて、彼女は私の前で停止した。
差し出される薄汚れたバケツ。
「はい、チャーリー、めし上がれ」
ニッコリ笑顔の少女とバケツを交互に見やり、首を振る。
……絶対イヤ……っ。
「もう、こまった人ね、チャーリー。これをたべてくれないとはじまらないよー!」
うん、……逃げよう!
思い立つと同時に走り出す。
幸い、カリム探しの余波で道には詳しくなっている。人のいる道まで出ればこちらのものとばかりに、駆ける。
だが、走れど走れど、知っている道に辿り着かない。それどころか、袋小路だらけの路地をひたすら彷徨う羽目になった。
一日中、カリムを探し回った身だ。
先に体力の限界が訪れ、立ち止まる。
「なによ、これ……っ」
荒い息と共に吐きだせば、耳元で声がした。
「むだなことをするのね、チャーリー」
弾かれたように距離を取るも、黒い羽を散らしながらその少女は宙に鎮座していた。
「チャーリーとフローラは、どこにいくのもイッショなんだよー。ふふふ、おともだちかな? おともだちだよね? わたしたち、おともだち!」
彼女は宙で飛び跳ねて、地に降り立つ。そして優雅にお辞儀。
「いっしょにセイジョをつかまえて、たべようね! チャーリー?」
「た……べ?」
問いかける私を無視し、彼女は顔の前にバケツを突き出す。
「まずはコレ!」
「……あ、なたが、食べたら? ……友情の、プレゼント……よ?」
言い逃れにしても程がある。
だが、彼女は不思議そうに首を傾げてバケツを見下ろした。
「いいの?」
「え、……ええ、もちろんよ、フローラ」
「わぁ……すごい……、なんてやさしい人!」
フローラは頬を紅潮させ、翼をはためかせる。全身から喜びを体現し、それから小汚いバケツを天に掲げた。
「いただきまぁーす!」
途端、周囲に無数の断末魔が響き渡った。
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