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第14章・灰は撒かれた
◆ 21・断罪者(後) ◆
しおりを挟む静まり返った空間で、畳み掛けるように続ける。
「そもそもわたくしに出席の意思はありませんでした。この場にいるのはそこの者による暴力によるもの!」
女を指さす。
真っ当な集団の中にも狂った輩はいる。どこまでが上の指示かは分からないが、糾弾される彼女を立場上は放置するだろう。
「これが……国と秩序を守る長老会の意向によるもの、とは思いたくありませんが……」
長老席の一人が手を挙げ、私は口を閉ざした。
「それは本当か?」
女が進み出て、跪く。
「はい、相違ありません」
み、とめ……るの早い!
「では裁きの覚悟も出来ていような。お前の行為は長老会の信念と品位を汚した」
「はい、償います」
彼女は頭を差し出すように、伸ばす。
脇から抜き身の大剣を手にした男が現れる。剣に目が吸い付くも、男の方も異様な風体だ。
白い被り物が背まで掛かり、半裸の上半身、白いスカートのようなズボンにサンダル。
もちろん仮面だ。
彼は彼女の真横に立つ。
え、まさか……!
振り下ろされる刃。
やけに大きく――その音は耳に届いた。
「罪は贖われた」
気弱そうな長老の声。
目の前で起きた現象に、頭がクラクラする。
「シャーロット・グレイス・ヨークに異存がなければ、屍は土に返そう」
え……、私が決めるの??
「異存、あったらどうなるので……?」
不安と恐怖から問う。
「いくつかの選択肢がある。うち一番選ばれるのは、鳥葬だ」
勘弁してよ……っ。
これ、今の流れ! 完全に裁判スタートな流れじゃない?! 私が言った事で裁判が行われ、刑が執行されてるわけだから、私は事実上この会を受け入れたようなものじゃないっ。
その上、罪の判定から刑の執行まで何もかもが早すぎる。
どうする?! どう答えても裁判参戦状態っ。
せめて……恨みを深めないように……。
屍を見ないように長老席を一心に見つめる。
「異存はありません。どうぞ、遺族の方の良いようになさってください」
「寛大なる対応、同胞として礼を言う」
彼らの合図で刃をふるった男や同じような恰好の男たちが場の『片付け』を始めた。しばし、ざわめきが観客席の方から漏れる。
暗いものではない。明るい声だ。
まるで観劇の休憩タイムのような――。
ぼうっと虚ろに床を見る。赤いものが水で洗い流されていく様を見ていると、何が正しくて間違っているのかも分からなくなってきた。
今回の……色々は、やっぱりミスしてるって事なの? フローの言う通りだって言うの?
こんな時に昔話なら勇者たちが助けにくるのだろう。
だが、私は悪役なのだ。救いになど誰も来ない。味方は堕天使と腹ペコ栄養失調魔王。
「……たすけ……っ」
ポツリと漏れかけた言葉を飲み込む。
いいえ、違うわ……。
私が助けを求めるのは可笑しい、助けに来るべきなのだ、アイツが!
「魔王の癖に……何してるの……っ」
湧き上がる怒り。
額も目も体も熱い。
仕方ない、全てあの弟が私の護衛一つこなせていない事が発端だ。
「【 エ・イ・ベ・ル 】」
さっさと来なさいっ!!!!
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