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第14章・灰は撒かれた
◆ 24・成長する男 ◆
しおりを挟む「そ、うよ、そうだった!!!!」
すっかり忘れていたが、そもそも現在のこの状態が予定外なだけで、私の直近の危機はフローレンスだ。
彼女と衝突する上で、エイベルの力を蓄えなければならなかったと言うのに、無為に時間を過ごした事は否めない。
「その事もあって、エイベルの栄養補給を兼ねながら来たんだ。少し遅くなったけど」
「素晴らしいわ! あんた天才よ!」
「ありがとう」
心からの賛辞を彼はサラリと流し、先導する。
両脇に林を従えた道が長く連なっている。彼が言う通り、エイベルが兵を減らしているのか、人気がない。
「でもチャーリー、足りたかは分からないよ」
おもむろに彼が言う。
「彼女はすでにパートナーを選定している身だからね。こちらはパートナー乱立のまま、統廃合できていないから……ただ、過去の例を見ても、悪役乱立のまま対立構図が出来上がった事はままあって」
「あったなら失敗コースじゃないって事よねっ、今のこの状態!」
それならば、フローレンスを説得できるかもしれない。
「まぁ……一応。そのパターンの歴史を見るに、聖女たちとの闘いの中で統廃合が行われていく感じだね。さしあたっての延命にはなるかな」
「充分充分!」
「でも、チャーリー。仮にそうだったとしても戦ってそれなりの力を示さないと聖女側も納得はしないよ」
駆け足で進む中、少しの希望が見えた気がした。
父のフローレンスへの仕打ちを考えれば、好んで敵対したい相手ではないのだ。もちろん、立場はある。聖女と悪役として、いつかは戦うにしても――。
それはそれとして、あの子を可哀想って思わないわけでもないし……。
理想は最後の瞬間まで遠い親戚くらいの距離感でいて欲しい。
思考に耽る私は、ふと道の先に人影を見て立ち止まる。背の高い男――服装が白装束であることから考えても敵だ。
「アレックス……っ」
気付いていないのか、まっすぐ男に向かって走るアレックスを呼び止めるが間に合わない。
男が振り返る。
深い色の緑の目が私を見る。
……見覚えが……、いやいや、……え?
エイベルに、似ている気がした。
赤毛も気のない緑の瞳もそっくりだ。だがサイズが全く違う。いや、カメ討伐時に見た姿に似ている。ただあれよりもずっと成長している。
二十歳前後のがっしりとした姿に白装束が巻き付いている。
「エイベル、なの?」
問いかければ、アレックスが頷いた。
「そうだよ。急に成長したから服がなくて、剥ぎ取る事になってしまったけど」
「うん。せいちょー」
「あぁ、チャーリー。身体は成長したけど、言葉や精神は前のままみたいだよ」
「うん、そう。オネーサマ、おそくなった。ただいま」
いや、お帰りじゃね??
驚きすぎた私は心でひそかに突っ込んだ。
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