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第14章・灰は撒かれた
◆ 25・成長する男(後) ◆
しおりを挟む「あんた、……どれだけ成長したのよ……私より年上になっちゃってるじゃない?」
彼は首を傾げる。私より頭一つ分は高い。
まさか弟に見下ろされるとは思いもしなかった。
「そうかも?」
「いや、そうだよ?? 見るからに成人済じゃないの。え、コレこのまま定着? ってか、成長ってどこまですれば止まるの? 食べ続けたらお爺さんになるとか?」
問いかける先はアレックスだ。どうせこの記憶喪失魔王に聞いた所で首を傾げられるに決まっている。
「詳しい年は分からないけど、魔王としてデビューする頃の見た目としては二、三十代くらいみたいだね。もう少し成長するのかな? 魔王は完全体になる前に倒されてきたから、お爺さんになる事はないかな」
魔王を前に倒される前提で話すのどうなのよ……。
気分を害していないか見るも、肝心の魔王が頷いている。
「じゃ、でびゅーする」
「デビューの前に、聖女が狩りに来るから生き延びないとね」
二人は親しくなったのか、エイベルに言い聞かせる様は堂に入っている。
そうよね……、エイベルって食事くれる相手には従順なトコあったわ。
「とりあえず、まだ日付変更してないから来てないのよね? フローレンスたち。それなら、ココに隠れてるのはどう? ココもモンスター守護神がいるんでしょ? 緑たっぷりだし」
「うん、いたよ」
「チャーリー、ごめん。もういないんだ」
……なる、ほど……。
二人の顔を見れば、何が起きたのかなど簡単に理解できる。
すでに食後なのだろう。
「じゃ、ココ……守られた場所じゃなくなってるのね……」
「へいき、たたかう」
成人男子が舌ったらずに言う様には違和感しかないが、これだけ成長しているのだ。戦う価値はあるかもしれない。
「いいわ、作戦会議よ! エイベル、あんたはヘクターをヤりなさい! アレックスは私たちに補助魔法かけてちょうだい。で、私がフローレンスを泣き落とすっ」
アレックスが苦笑する。
「泣き落とせるかな……。あの子が聞いてくれると思えないけど」
「聖女の聖女たる所以って、優しさや希望でしょ? 泣き叫ぶ罪人許せない程度の度量で聖女なんて、名乗らせるもんですか」
「なるほど……。でもいざとなったら戦うつもり?」
「まぁ……なるべく避けたいけどね。私って聖女を覚醒させたりする為の箱庭刑中なわけだし?」
そんな私が聖女を攻撃するのって結局自分の首を絞めかねないわけで? 最終的にヤバかったら戦うしかないけど、その攻撃には細心の注意が必要よね。
「うん。だから泣き落としでダメそうだったら、ボクが戦うよ」
「え? あんたが??」
武力放棄の男の言葉とも思えない言葉だ。
だが彼は意味深に微笑む。
「ボクも……過去を見てきたからね。色々分かってるよ」
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