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第14章・灰は撒かれた
◆ 26・交渉の行方 ◆
しおりを挟む「アレックスは見たんだものね……、ルーファの見てきた色々」
やっぱり、人生観変わるわよねぇ……。
私はそれ以上、何も言わなかった。その代わり、二人を急き立てその場を後にした。
一カ所に留まるよりも移動している方が安全かもしれない、と考えての事だ。
◆◇◆
――だと言うのに、彼女は空から降ってきた。
砂埃を立て、地に斧を突き立てる聖女フローレンス。一拍遅れてその後ろにヘクターが静かに降り立つ。
ヘクターは言わずもがな、フローレンスの方も前回と同じ服装だ。汚れたワンピースをなびかせ、砂漠の夜に立つ様は聖女というよりも、破壊の女神のように見える。
「ごきげんよう、姉様」
「フローレンス……」
自然と声が震える。
ついに、日付変更って事ね?
空に三日月をチラ見して、息を吐く。
「期限です」
抑揚のない声で、斧が地から引き抜かれ、クルリと天に掲げられる。
「エイベル、分かってるわね?」
私の指示に成長した弟は小さく頷いた。
「フローレンス、私を始末するのは一瞬でしょう? 少しの歓談タイムと行こうじゃないの」
「では次回で」
「……いやいや、今聞いてちょうだい? むしろコレ見てよ!」
私より高い身長になった弟を手招きし、首を掴んで差し出すように見せた。
「見ました」
「成長したでしょ!?」
「そうなんですか?」
「いやいや、したでしょう?! あきらかに成長してるでしょ!?」
妹は興味なさげに斧を頭の上で振り回し始める。
風を切る音がこちらまで届き、恐怖をあおってくる。
「これだけの魔王の成長を見ても、あんたは私の始末を選ぶっていうの!? 今のコレが成功ゾーンじゃないって何で言えるのよ! だって、あんただって勇者選定してるし、魔王成長したしで、イイ感じで歴史の流れに乗っかってるでしょ?!」
叫べば、彼女も問う。
「城は見つけましたか?」
城……っ。
「聖女には勇者、魔王には城。姉様、お城は手中に収めましたか?」
まずい……その問題あった……っ。
絶望する私の肩をアレックスが掴む。
「チャーリーにはまだ伝えられてなかったけど、城は手に入れたよ」
え?
どれだけ優秀なのかと、彼の顔を見るも爽やかすぎる笑みとぶつかり気付く。これは嘘だ。城は見つかっていない。
アレックスは事実を述べるのに、無駄に微笑まない。
「どこですか?」
「魔王陣営の事を敵の聖女陣営に話すわけにはいかないな。でも、城をみつけたからこそ魔王はここまで成長したんだよ」
彼女も疑っているらしく、ヘクターと目くばせをしている。
「姉様、城を隠す意味はありません。魔王がわたしと同じだけ成長したというのなら、招待してください。姉様の仰る通り、協定を結び……最後の瞬間までというならば、城の場所を教える事に何ら支障はないでしょう?」
正論だ――と思った瞬間、私はその場に土下座した。
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