死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第15章・共謀する聖人

◆ 9・古城というより廃墟(秘密) ◆

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 気のない素振りで先を促す。下っているのか登っているのかも分からない平坦な石畳、加えて怪しさ満載の魔王の城なのだ。無言で歩くよりは気が楽だった。
 だが、思惑などろくなものじゃないと理性が告げる。それこそが、私の人生の教訓だ。

「世界は、地下で繋がってるんだよ」
「……世界?」
「そう、世界」


 海を隔てた場所にも行けるって事?


 今一つピンときていない私に、アレックスが補足説明を始めた。

「フローレンスがどうやってここに来たか、気になったと思う」


 全く……? 植物パワーで来たとか言ってたし?


「彼女はこの地下を通ってきたんだよ。途中途中にいくつか短縮できるポータルがあるみたいだから、それほどの苦労はなかったろうね」
「……はぁ」
「ルーファの記憶によると、本来この地下全般の道は魔王や悪役の為に用意されたものらしい。地上は勇者と聖女が通り、闇のものは地下を這い自由に転移もできる。それがいつしか啓教会や長老会に分配され、今では少しの範囲になってしまってる」

 つまり私の道でもあるという事だ。
 聞けば聞くほど、啓教会と長老会には割を食っている人生だ。周囲の壁を触ってみれば、ひんやりざらついている。話から察するに、ずいぶん古いものなのだろうが触った程度では実感が沸かなかった。

 そこから私たちは無言で、ただ歩いた。
 足音と、時折ジリリと音を立てる炎の玉。
 穏やかでさえあるひと時だった。


◆◇◆


 やがて開けた場所に出た。
 天井が高い、地下とは思えないほど遥か上――ドーム状の天井がある。アレックスが炎を上へと浮かべ、周囲が更に見渡せるようになる。

「ここは……?」

 壁は苔むしている。
 それこそ砂漠の地下とは思えない程の青々しい苔だ。

「ここが、処刑台だね」

 彼はサラリと言った。

「しょけ……、私の……?」
「……悪役の、だね。チャーリーだってここで終焉を迎えたくないから頑張ってるんでしょ?」


 こことは知りませんでしたが?


「そ、ぅね……。ココなの? 本当に……魔王はココで悪役を殺してきたって事?」
「そうだね。悪役の血がしみ込んで特殊な空間になってるんだ。魔王は……、ここから力を得て完成されるんだ」


 え?


「私の死が魔王の覚醒に繋がるって事?」
「これまでの闇の力が蓄えられたこの地で魔王は力を得て、現悪役が蓄えた力を魔王が吸収し、完成される。だから一定の時期に聖女たちは悪役を引き込もうともする。魔王を完成させない為に……」


 つまり、……天使のおっさんたちの聖女覚醒の流れから考えるに? 私は魔王を覚醒させる起因として正しい死に方を求められていたって事に……、ならない?


「私に求められていたのって、正しい死に方って事?」

 別に過度な期待などしていなかった。
 だが、これはあんまりじゃないだろうか――上を見上げる。
 石の天井に阻まれた向こう側を睨みつけるように、眉間に力を入れる。

「……冗談じゃないわね……」


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