死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

文字の大きさ
331 / 375
第15章・共謀する聖人

◆ 8・古城というより廃墟(探索) ◆

しおりを挟む
「……で、これをどうしろと?」

 石を見つめる。

「開錠に使うんだよ。これを所定の位置にはめ込むと、城の呪いが発動しないんだ」
「の、呪い?! ……呪いなんてあるの?」
「うん、永遠に抜け出られない牢獄仕様らしいよ」


 すでに私、天使に箱庭刑に掛かっているのだが?


 彼はひざまずき、砂をかき分ける。出て来た薄い岩の台座に石をはめ込んだ。
 同時にリーーンと澄んだ音が周囲に響く。

「いわゆる、OKサイン?」
「そうだろうね」

 彼はクールに頷いて、先に歩き出す。
 私も慌てて後に続いた。
 台座よりも進む瞬間、微かに何か薄いカーテンのようなものがむき出しの頬に触れたような気がした。

「……なんか、気味悪いわね」

 風景自体に変化が生まれたわけではない。
 だが、周囲には甘い匂いが漂っている。先ほどまではなかった匂いだ。

「地下への入口を探そう」

 そういってアレックスは、また座り込んで砂をかく。
 私も素直に同じ行動を取った。


★☆★


 どれくらいたったか、手に硬いものがあたる。


 鎖……?


 触れた鎖の周囲を丁寧にかきわければ、鉄板の戸が現れる。鎖は戸を封印しているわけでもなく、ただ取っ手にぐるぐると巻き付いている。明らかに怪しい。

「アレックス! あったかも……?」

 駆け寄ってきた彼の前で鎖を掴み、引き上げる。
 砂がサラサラと中に零れていく。


「階段……、間違いないね、地下への道だ」

 彼は〈フォティア〉と唱え手に炎を宿らせる。ルーファの身体の効果らしいが、便利なものだ。
 先だって降りていく後をついていく。そこはなぜだか湿った空気とカビた匂いがしていた。今更、暗闇に怯えるような神経を持っていないが不安はある。

「チャーリーは、いくつかの地下を見たよね」
「え? まぁ……」

 急な質問に首を傾げる。
 一般的にかどうかは分からないが、大体捕まって閉じ込められたりする場所は地下である。目の前の男に半監禁された軸では塔の一室だったが――基本はやはり地下だ。

「それが?」
「似てると思わなかった?」
「……まぁ、地下だし?」

 何が言いたのか分からず困惑する。
 だが、言われてみれば地下の涼しさやカビ臭さ、かすかに湿り気を帯びた空気、床を敷き詰めている石畳や壁の表面など、覚えのある景色に近い。

「同じ人が作ったとか? まさかこれも天使や魔王がーっとか、言わないよね?」
「珍しく冴えてるねっ、チャーリー」

 驚いたように振り返るアレックスに顔を顰める。

「失礼ね」
「あ、ごめん。うん、まぁ、チャーリーの想像にとても近いというか……、地下は同じ思惑で作られているんだ」

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...