330 / 375
第15章・共謀する聖人
◆ 7・古城というより廃墟(発見) ◆
しおりを挟む昼の陽射しの中、崩れかけの砂城が見えて来た。
言葉通り、砂にまみれているせいで砂の色だし、半分以上が砂に埋まっている。近づけば近づくほど、見えてくる全容に愕然とする。
崩れた壁、元の色が分からない風化しそうな家具、床板の見えない床。
むしろ、廃墟だ。
「こんな城……いる?」
私は信じられない思いで、城を見上げた。
唯一の同行者アレックスは肩を竦めるのみだ。
ここまでの行程は普通に馬に乗り、普通に走らせ――予想よりも遠い距離となったが――現在に至る。特に変な連中に絡まれる事も危険もない、穏やかな道中だった。
「見た目は後から整えられるよ。問題は『場』だよ、チャーリー」
「場……って言ったって」
再度見るが、やはり救いようもないほどの廃墟だ。
元が普通の家でない事くらいは分かるが、その程度だ。
「で……? まさかココを掃除しろ、とか言わないよね?」
「ここの『時』も『場』も止まっているんだ。魔王が入場する事で、再び動き出すらしい。動きだす前にしっかりと状態を確かめておきたくてね……、エイベルには遠慮してもらったというわけだよ」
なるほど、エイベルが入る事でスタートするわけね。ある意味、……私が次の段階に入るって意味でもあるし? その場合って、フローレンスの段階はどのくらいがいいんだろ?
「そうね……、城スタートはちょっと待ってもらった方がいいかもね……。ちなみにフローレンスの復活とやらはどれくらいになるの?」
「うん、闇と光は表裏一体だからね。チャーリー風に言えば、城スタートで復活の可能性もあるよ?」
「それは早いわ!」
「うん。まぁ、とりあえず、中を確認しよう。君の場合、『ここ』が終焉の地になるわけで……、あ、もちろん、今までの歴史で考えるなら、だけどね」
慌てて言葉を取り繕って入るが、はっきりと内容は理解してしまった。
つまり、魔王の城が『悪役』の死亡現場になるって事ね??
「それを踏まえた上で城の構造と逃げ道の確保、魔王を魔王たらしめる供給源の存在と場所、いざという時の備えを魔王抜きで確認しておきたいんだ」
「……素晴らしいわ、アレックス! その通りだわっ、いざって時の備えは大事ね!!」
危うく無策で突き進む所だった。情に訴えて命が助かるならこんなにも長い間リスタートしていない。
「じゃあ、早速突入よ! ……って言っても、広いけど、ほぼ天井ないじゃないわね。地下? 地下チェック?」
「まずは地上部分からだよ。はい、これ」
彼は懐から取り出した石を差し出す。
何の変哲もない拳大の石――いや、なぜか見覚えがある気がする。
「……これ」
「そう、チャーリーも知っての通り教団の地下、秘密の部屋の前にある石のレプリカだよ」
そ、……こまでは、全く気付いてなかったわ!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです
志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑!
10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。
もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。
(頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる