死亡回避困難で悪役令嬢は鬱ってる。―理想ENDは天使も悪魔も出し抜いて大往生ですけど?―

ムツキ

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第15章・共謀する聖人

◆ 22・悪霊もどきの天使(後) ◆

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 降り積もる羽は、ミランダを埋もれさせていく。
 途中、何度も抜け出そうと走る彼女に、羽はどこまでも付いて回りまとわりついた。まるで器の中にいるミランダごと移動しているようで、私は後悔が始まっている。


 ヤバい……これ、ミランダにまた恨まれるパターンじゃ……。


 ソッと目を逸らし、現在進行形の出来事を見ないふりした。
 ミランダは必死に抵抗をしている。
 時折、地面を抉る音や破裂音を響かせ、持てる力全てで抗っている。

「チャーリー……どうするの? ミランダ……埋まっちゃってるよ?」
「……うん、まぁ……、どうしようか……」

 烏が少し縮んだような気がした。


◆◇◆


 ポーンと、どこかで時計の鐘が低く鳴った。
 羽毛に埋もれたミランダ。
 烏はもういない。羽を落とし、落とし続け、小さくなり――消えてしまった。

「……ミランダ?」

 小さく呼びかければ、かすかに羽毛が動く。
 抵抗を止めて以来、ピクリとも動かなかったが一応は無事らしい。

「出てこれる?」
「……ええ」


 おお、会話も可能だわ。それにそんなに怒ってない感じ?


「お嬢様、怒ってます」


 ん?


「ぶち殺したいくらいにはキレてます。なので、……受け入れたとか思わないでくださいね……」
「……あ、……はぃ」

 羽毛がじんわりと白光し、段々とカサが減っていく。
 完全に消えて、残ったものはミランダとその背の翼だった。だが、それが不完全であることは誰が見ても分かる。

「……やっぱり悪魔もどきだから?」

 漏らす私に、アレックスが首を傾げる。
 彼女の背には一枚しか翼がなかった。

「うーーん、一枚の理由としては分からないね。確かにルーファにも翼はあったから、ミランダも完全な悪魔だったなら翼があるだろうし。そうだと仮定するならその翼は黒いわけで、悪魔の成分が反発して残されたとするなら、もう片方は黒いまま残った可能性も」
「うん……アレックス、そこまでの検証はいらないです……」

 私たちを他所に、当の本人は数度翼を動かし鼻を鳴らした。

「不自由さはありません。多少邪魔ですが、片方でも飛べそうですね」
「そう、良かったわ! 無事で……!」

 勢い込む私に、彼女はまた鼻を鳴らした。

「先ほどのクソ鳥から聞いたのですが」
「聞いた?」
「はい。羽が言葉になっていました。気付いたのは途中からでしたから、慌てて読み取る羽目になりました」
「ほう……、で、あの烏は何て?」
「要約しますと、神が決まったのでシステムを運用し、魂を巡らせろということでした」


 うん、分からない。


「なるほど……」


 成程!?


 アレックスを振り仰ぐ。
 彼には分かったらしい。

「チャーリー、やっぱりそうだよ。神は挿げ替え制なんだ」

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