不幸少女は二度目の人生でイージーモードを望む

天宮暁

文字の大きさ
135 / 188

131 何度でも蘇るさ!

しおりを挟む
「ていうか私たちべつに仲間ってわけじゃないんだけど。むしろ敵同士だよね?」

 わざわざ確認するのも変な気がしたが、グリュンブリンに聞いてみる。

「当然だ。わたしはいまでも自分が魔王になるべきだと思っている。人間など滅ぼすべきだとな。
 しかし、わたしを敵と認識していながら、さっきはなぜわたしを助けたのだ?」

 呆れ混じりに、グリュンブリンが聞いてきた。

「う……いや、まぁ。トウゴウに味方したくなかったし」

「敵の敵は味方ってわけでもねえわな。
 あ、言っとくが、俺っちはグリュンブリンとは立場が違う。アルミラーシュ様を魔王に推戴し、地上に魔族の国を築こうっていう現実主義路線だよ」

 グリュンブリンとボロネールすら、味方同士ではないらしい。

『では、各自バラバラに試練を受けるか?』

「「「…………」」」

 エルミナーシュの言葉に、実戦担当の私たち三人が黙りこむ。

『むろん、その場合でもグランドマスター三人のエミュレーションと戦ってもらう』

「じ、冗談じゃねえぜ。あんな化け物相手に正面から戦えるか!」

「せ、せめて一対一にならないか? エンドウかミナヅキ相手に一対一ならなんとか……」

『汝は魔王になったとき、敵に向かって同じことを乞うつもりか?』

 せせら笑うようなエルミナーシュの言葉に、グリュンブリンが口をつぐむ。

(トウゴウと一対一は無理ってさりげに認めてるよね)

 片腕をもがれたトラウマがあるんだろう。

 って、

「グリュンブリン、腕は大丈夫なの?」

「ん? ああ、これか」

 グリュンブリンは軽く言って、何やら精神を統一する。
 すると、なんということでしょう、根元からちぎれてた腕が、にょきにょきと生えてきたではありませんか!

「べ、便利だね」

「このくらいならばな。魔族にとって肉体は現世への足がかりにすぎぬ。さすがに戦闘中には難しかったが、落ち着いてしまえばこの通りだ」

 グリュンブリンが、心なしか得意げに言った。
 金髪碧眼の長身美人だけに、ちょっと子どもっぽいしぐさが妙にかわいい。
 いや、中身は人間絶対滅ぼすマン(ウーマン)なんだけどさ。

「ち、力を合わせましょう」

 誰も言い出せなかった正論を言ったのはアーシュだった。

「ミナトとグリュンブリン、ボロネールが力を合わせればきっとなんとかなります!」

「どうかな……」

 グリュンブリン<トウゴウ、私<エンドウorミナヅキと考えると、全体的に戦力不足だ。
 ボロネールがグリュンブリンより飛び抜けて強いってこともなさそうだし。頭脳派っていうからには、脳筋のグリュンブリンには敵わなそう。

 っていうか、戦ってないアーシュおまえが言うなと、この場にいる全員が思ったんじゃないかな……。

『十分なインターバルは与えたものと判断する。再開だ』

 私たちの間に流れた沈鬱な空気をものともせず、エルミナーシュがそう言った。

「ちょっ――」

 私が制止するいとまもなく、獰猛な笑みを浮かべたトウゴウが踏み込んできた。狙いは私だ。

「くそっ!」

 グリュンブリンには、ミナヅキがエーテルショットの雨を降らせてる。威力、弾速、軌道、配置、すべてにおいて私より上だ。

「おい、打ち合わせくらいは……うひぃぃっ!」

 残像を残して消えたエンドウが、ボロネールの背後に現れ、短剣を薙ぐ。

「やっば!」

「どうにもならん!」

「くそったれええっ!」

 それぞれ数秒で詰んだ私たちが悲鳴を上げる。

 と、そこで、トウゴウの大剣でミンチにされた私の視界が切り替わる。

 戦場を上から見下ろす視点だ。

(あ、あれ?)

 いま、私死んだよね?

 戦場では、グリュンブリンがミナヅキのエーテルショットで赤黒い霧となって消滅し、ボロネールは……なにがどうなったのか、自分の出した蔦で自分の身体を串刺しにして死んでいた。

 私を殺したトウゴウは、あっけにとられてるアーシュをいともたやすく肉片に変えた。

 そこで、グランドマスター三人の姿がかき消え、私の視点も地上に戻る。
 おもわず自分の身体を見ろした。

「……ちゃんとあるね」

 戦い始める前と寸分たがわない自分の身体がそこにあった。

『ここでは死ぬことはない。汝らの心が折れぬ限りは、な』

「なるほど、コンティニューありか」

「なんだよ! それなら最初からそう言えよ!」

 ボロネールが毒づいた。

『いずれわかることではあったが、最初くらいは緊張感を持たせたかったのでな』

「じゃあ、わたしらはこいつらに勝つまでここを出られない、と?」

『違う。設定した敵を疑いの余地のないレベルで圧倒するまで、だ』

「具体的にはどれくらい?」

 私が聞くと、

『状況にもよるが、危なげなく100連勝できる程度の力はほしい』

「ひ、百……」

 私たちは顔を見合わせる。

「ひ、ひとまず協力しようぜ? ここを出るまではな」

「う、うむ。そうだな。主義主張を戦わせるのは後でもできる」

「他にどうしようもないしね……」

「み、みなさん、力を合わせて頑張りましょう!」

「「「おまえが言うな」」」

 というわけで、過酷すぎる試練を乗り越えるまではという条件で、四天魔将二人との即席パーティが編成されたのだった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...