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番外編
『甘えん坊大作戦 Side洋輔』
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(お、暇そう。これならいけるかな)
洋輔は彩子の様子を確認すると、ある作戦を実行することにした。
まずは下準備にと、見たくもないドラマを流す。ソファーに座ってそれの鑑賞を始めれば準備完了だ。
ちらっと彩子を見てみれば、退屈そうにスマホを眺めている。上手くいけばドラマが終わるころに作戦は成功するはずだ。
洋輔の作戦、それは、甘え下手の彩子を甘えさせたい! というものだった。
想いが通じあって以降、洋輔が甘やかしてやれば、一応甘えてくれはするのだが、彩子自ら甘えてくることはほとんどなかった。
洋輔はもっと甘えてくれと言っているのだが、彩子にはそれが難しいらしい。
しかし、そんな彩子を自ら甘えさせる方法があることに洋輔は気づいた。
彼女は構われなくなると甘えてくるのだ。
だがその加減が難しい。彩子自身が何かに集中しているときは、一切構わなくてもこちらのことなど気にもしない。そうでないときでも、洋輔が本当に忙しそうにしている場合には、空気を察して離れてしまう。
だから、彩子が何もしていなくて、洋輔が適度に彩子から距離を取る状態を作りだす必要があった。
ドラマのエンディングが流れはじめた。このまま放っておけば、次の回が再生されるがいったん止めて、スマホを手に取る。適度に彩子を放っておいたから、そろそろ淋しくなっているころだろう。
洋輔がそのままスマホを見ているふりを続けると、彩子が洋輔の隣に座ってきた。横から視線を感じる。
だがここで振り向いてはいけない。彩子から甘えさせなければ意味がない。彼女が恥ずかしいのを堪えて洋輔に甘えてきたとき、彼女はそれはもうこの上なくかわいくなるのだ。
「……洋輔」
「ん? 何?」
彩子を向いて返事はするが、洋輔からは決して何もしない。
「洋輔」
「うん?」
彩子は自身の指を握ってもじもじしている。そろそろおちるはずだ。
「……抱っこ」
(よしっ! おちた)
「抱っこしてほしいの?」
そう問えば、彩子は首を縦に振って洋輔を見つめてくる。
「おいで」
洋輔が手を広げれば、彩子は洋輔の膝に跨り抱きついてきた。
そんなかわいい彩子に色々してやりたくなるが、もっと甘えさせるためには我慢が大事だ。洋輔から行動してはいけない。
洋輔は彩子の背に腕を回し、そのままじっとしていた。
そうすれば五分も経たないうちに、彩子はさらに甘えてきた。
「なでなでして?」
(かわいい。もう全身撫でまわしてやりたい)
「ふふっ。よしよし」
このままでろでろに甘やかしたくなるが、そこはグッと堪えて、頭を撫でるにとどめる。しばらくすると彩子はもう一段甘えてきた。
「ちゅーして?」
彩子は洋輔を潤んだ瞳で見つめている。
(あーもう、おねだりたまらんっ!)
「ちゅっ。はい」
一度だけ口づけてやれば、彩子は不満そうな顔をしている。彩子にもっと求めさせたくてわざと一回しかしなかったのだ。
「もっと」
要望通りたくさん口づけてやれば、彩子の身体から徐々に力が抜けていく。
(そんなに脱力しきって……俺に何されても文句言えないぞ……)
「彩子。ちゅー、気持ちいいね」
「ん、きもちい……もっと」
(うっ、さすがにくる……)
自身に芽生えた邪な気持ちになんとか蓋をして、軽い口づけを繰り返す。一度唇を離し、彩子の頭を撫でてやれば、蕩けきった顔の彩子と視線が合った。
「ようすけー、好き」
彩子はもうすっかりその心を開ききって洋輔に甘えてくる。
(かわいい、かわいい、かわいい! あー、もう食べてしまいたい)
「俺も。彩子大好き」
「うん……ちゅー」
「ん? また、ちゅーする?」
「する……いっぱい」
(もう無理っ。かわいすぎる。心臓破裂する。頑張れ俺)
跳ねる鼓動と猛る下半身をどうにか抑えつけて、彩子の気が済むまでキスしてやる。そうして満足いくまでしてやれば、彩子は洋輔にもたれかかり、うとうととしはじめた。
「ようすけ」
「なーに?」
「んぅー、ようすけ……」
「彩子。よしよし。寝ていいよ」
「ん……」
彩子の背をトントンと叩いてやる。
それを続けていれば、彩子から寝息が聞こえてきた。洋輔に身を預けてぐっすり眠ってしまった。
「はぁーっ。本当にかわいすぎる。俺頑張った。本当よく耐えた」
洋輔は彩子を起こさないように気をつけながら、大きく息を吐きだした。
「俺にこんなに寄りかかっちゃって。かわいいね、彩子は」
洋輔は眠る彩子の頭にそっとキスを落とす。
「なんでこんな甘え下手かなー……いつでも甘えていいのに」
洋輔はこの甘える彩子がかわいくて、いつだって見たいのだが、なかなか素直には甘えてくれない。前に甘えてきた彩子をかわいい、かわいいと言っていたら、それが恥ずかしかったらしく、しばらく甘えてくれなくなった。
だから、彩子が甘えてくれるときには、ただただそのすべてを受け入れてやる必要がある。そうすれば今みたいにとてつもなくかわいい姿を見せてくれるのだ。
正直押し倒したくてたまらないのだが、それはまあ、夜にたっぷり抱いて解消すればいいだろう。
「今のうちによく寝ておいてね、彩子」
洋輔は彩子の様子を確認すると、ある作戦を実行することにした。
まずは下準備にと、見たくもないドラマを流す。ソファーに座ってそれの鑑賞を始めれば準備完了だ。
ちらっと彩子を見てみれば、退屈そうにスマホを眺めている。上手くいけばドラマが終わるころに作戦は成功するはずだ。
洋輔の作戦、それは、甘え下手の彩子を甘えさせたい! というものだった。
想いが通じあって以降、洋輔が甘やかしてやれば、一応甘えてくれはするのだが、彩子自ら甘えてくることはほとんどなかった。
洋輔はもっと甘えてくれと言っているのだが、彩子にはそれが難しいらしい。
しかし、そんな彩子を自ら甘えさせる方法があることに洋輔は気づいた。
彼女は構われなくなると甘えてくるのだ。
だがその加減が難しい。彩子自身が何かに集中しているときは、一切構わなくてもこちらのことなど気にもしない。そうでないときでも、洋輔が本当に忙しそうにしている場合には、空気を察して離れてしまう。
だから、彩子が何もしていなくて、洋輔が適度に彩子から距離を取る状態を作りだす必要があった。
ドラマのエンディングが流れはじめた。このまま放っておけば、次の回が再生されるがいったん止めて、スマホを手に取る。適度に彩子を放っておいたから、そろそろ淋しくなっているころだろう。
洋輔がそのままスマホを見ているふりを続けると、彩子が洋輔の隣に座ってきた。横から視線を感じる。
だがここで振り向いてはいけない。彩子から甘えさせなければ意味がない。彼女が恥ずかしいのを堪えて洋輔に甘えてきたとき、彼女はそれはもうこの上なくかわいくなるのだ。
「……洋輔」
「ん? 何?」
彩子を向いて返事はするが、洋輔からは決して何もしない。
「洋輔」
「うん?」
彩子は自身の指を握ってもじもじしている。そろそろおちるはずだ。
「……抱っこ」
(よしっ! おちた)
「抱っこしてほしいの?」
そう問えば、彩子は首を縦に振って洋輔を見つめてくる。
「おいで」
洋輔が手を広げれば、彩子は洋輔の膝に跨り抱きついてきた。
そんなかわいい彩子に色々してやりたくなるが、もっと甘えさせるためには我慢が大事だ。洋輔から行動してはいけない。
洋輔は彩子の背に腕を回し、そのままじっとしていた。
そうすれば五分も経たないうちに、彩子はさらに甘えてきた。
「なでなでして?」
(かわいい。もう全身撫でまわしてやりたい)
「ふふっ。よしよし」
このままでろでろに甘やかしたくなるが、そこはグッと堪えて、頭を撫でるにとどめる。しばらくすると彩子はもう一段甘えてきた。
「ちゅーして?」
彩子は洋輔を潤んだ瞳で見つめている。
(あーもう、おねだりたまらんっ!)
「ちゅっ。はい」
一度だけ口づけてやれば、彩子は不満そうな顔をしている。彩子にもっと求めさせたくてわざと一回しかしなかったのだ。
「もっと」
要望通りたくさん口づけてやれば、彩子の身体から徐々に力が抜けていく。
(そんなに脱力しきって……俺に何されても文句言えないぞ……)
「彩子。ちゅー、気持ちいいね」
「ん、きもちい……もっと」
(うっ、さすがにくる……)
自身に芽生えた邪な気持ちになんとか蓋をして、軽い口づけを繰り返す。一度唇を離し、彩子の頭を撫でてやれば、蕩けきった顔の彩子と視線が合った。
「ようすけー、好き」
彩子はもうすっかりその心を開ききって洋輔に甘えてくる。
(かわいい、かわいい、かわいい! あー、もう食べてしまいたい)
「俺も。彩子大好き」
「うん……ちゅー」
「ん? また、ちゅーする?」
「する……いっぱい」
(もう無理っ。かわいすぎる。心臓破裂する。頑張れ俺)
跳ねる鼓動と猛る下半身をどうにか抑えつけて、彩子の気が済むまでキスしてやる。そうして満足いくまでしてやれば、彩子は洋輔にもたれかかり、うとうととしはじめた。
「ようすけ」
「なーに?」
「んぅー、ようすけ……」
「彩子。よしよし。寝ていいよ」
「ん……」
彩子の背をトントンと叩いてやる。
それを続けていれば、彩子から寝息が聞こえてきた。洋輔に身を預けてぐっすり眠ってしまった。
「はぁーっ。本当にかわいすぎる。俺頑張った。本当よく耐えた」
洋輔は彩子を起こさないように気をつけながら、大きく息を吐きだした。
「俺にこんなに寄りかかっちゃって。かわいいね、彩子は」
洋輔は眠る彩子の頭にそっとキスを落とす。
「なんでこんな甘え下手かなー……いつでも甘えていいのに」
洋輔はこの甘える彩子がかわいくて、いつだって見たいのだが、なかなか素直には甘えてくれない。前に甘えてきた彩子をかわいい、かわいいと言っていたら、それが恥ずかしかったらしく、しばらく甘えてくれなくなった。
だから、彩子が甘えてくれるときには、ただただそのすべてを受け入れてやる必要がある。そうすれば今みたいにとてつもなくかわいい姿を見せてくれるのだ。
正直押し倒したくてたまらないのだが、それはまあ、夜にたっぷり抱いて解消すればいいだろう。
「今のうちによく寝ておいてね、彩子」
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