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第79話 ゼーラの街

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あたしとルークさ・・・じゃなかったルークは王都から南に向かって歩いていた。

今日でちょうど3日になる。

「そろそろ街が見えてくるはずだな」

ルークが地図を覗き込みながら呟く。

「ゼーラの街だよね?」

3日もあれば何とか敬語を無くすのにも慣れてきていた。・・・まだ、たまに敬語になっちゃうけどその時ルークは反応してくれない。

「ああ。そうみたいだな。特徴とか知っているか?」

「以前、家族で来たことがある位だけど、スイーツが有名ね!」

あたしが自信をもって答える。

「ほぉ、それは楽しみだな」

ルークが本当か嘘か分からないように言う。

「・・・冗談よね?」

探りを入れるあたし。

「本気だ。スイーツというのをあまり食べたことがないからな・・・っておい。そんな憐れみの目で見るなって」

あたしがスイーツを食べる暇もないくらいこの国のために戦っていてくれたことを思いルークを不憫そうに見ていたら注意を受ける。

「ごめん。そこまでして戦ってくれていたと思うとつい」

あたしが素直に言うとルークは半眼になり、

「・・・メリッサに聞いたのか?」

「ええ。メリッサ様に聞いたわ」

ふぅ

ルークが溜息をつくと、

「気にするな。それよりもオススメのスイーツとやらの店に案内してくれ」

「!?ええ!もちろんよ!!」

ルークは昔のことよりも今からのことに目を向けようとしているようだ。

ならあたしに出来ることがあれば全面的に協力しよう。

「それはそれで楽しみにしておくとして、他には何かあるか?」

「うーん。あっ、そうだ!ゼーラの街の領主のお嬢様がとても綺麗らしいわ!!」

「ふむ・・・俺たちには関係ないな」

「だよね!」

あたしは綺麗な女の人がいると聞いたルークがどんな反応をするかを探ったが、あんまり興味が無さそうに答えるので何故だが嬉しくなる。

「見えてきたな」

あたし達はセインツ王国で2番目に大きな街である『ゼーラの街』に到着した。

「ようこそゼーラの街へ!」

あたしたちはゼーラの街の北側を守る騎士達に笑顔で迎えられ、中に入っていく。

「王都も中々だったがこの街も広いな」

ルークが感心したように呟く。

「それはそうよ。何たって王都の次に大きな街なんだからね!」

あたしは我が事のように胸をはる。

「なるほど、たしかにな。それでまずは宿をとるということでいいか?」

「ええ!そうしましょう」

流石に休息を挟んでいるとは言え、野宿続きだと体はまだしも心がヘトヘトだ。

一度ベッドで休みたいと思ってもバチは当らないだろう。

「分かった。ならまずは宿を探そう」

そうしてあたしたちはまず宿を探すことにした。
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