戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第329話 決着

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「おおおおお!」

老騎士はルークに向かって飛び上がり、全体重を込めた一撃を放たんと剣を振り下ろす。

モーションが大きいため、避けられたら大きな隙が出来る。

そして迎え打つ場合は迎え撃つ側も只では済まない。

そんな攻撃である。

老騎士は、せめてルークに対して捨て身で一矢報いようとしているのだ。

「・・・いい、覚悟だ」

ルークは老騎士の覚悟に敬意を表し、避けることは選択肢から外す。

そして、護命剣を

(迎え撃つつもりか!だが、無傷ではすまさんぞ)

老騎士は剣を握る力をより一層強くする。

老騎士の振り下ろす剣、ルークの振り上げる剣、双方がぶつかり合う。



ギィィィィン



驚いたことに老騎士の体が一瞬空中で止まる。

ルークはそのまま力を込めると、



バキィィィン



大きな音を立て、老騎士の剣が砕ける。

「なっ!!」

老騎士は驚きの声を上げる。

自分に迫るルークの剣を見ながら悟った。

あの速度で振り上げた剣の勢いは止まらない。

そして、こちらは重力に任せて落下している。

自分は間違いなく斬られるだろう。

(私もここまでか・・・全力を尽くした。悔いはない。キリオス様、お先に失礼致します)

老騎士が自分の死を理解し目を瞑る。

だが、いっこうに待っていた衝撃は来ない。

「?一体何が?痛みも感じぬままに天に召されたのか?」

老騎士がゆっくりと閉じていた目を開ける。

と、そこには信じられない光景が目に入った。

なんと、ルークは剣をあの一瞬で刃先ではなく腹に変え老騎士を優しく受け止めていたのだ。

「あんたの覚悟見事だった。お互いの誤解があるかもしれない今の状況で斬るのは忍びない。まずは、会話をしよう」

老いたとはいえ一人の人間を剣の一本で受け止めながら涼しい顔をしながらルークがそう言った。

これには老騎士もすっかりと毒気が抜かれてしまった。

「はははっ、参った。完全に私の負けだ。お主の言う会話とやらに応じよう」

(人一人を剣の腹で支えられる強度に感心すべきか、人一人を支えられるこの男に感心すべきか判断に迷うな。だが、ここまでされたらもう逆らう気も起きぬ)

老騎士は朗らかにそう応えたのだった。
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