他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第137話

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『なんだ。分かっているじゃないか』

イズはグレイの回答に満足したように答える。

まともにイズを見られなかったグレイは、イズの目をようやく見て、

「だ、だろう?それくらい分かるさ」

少し得意げに返事をする。

(・・・何も言うまい。これ以上下手なことを言ってさらにグレイを貶めても仕方がない)

イズはそう心の中で思ったことはおくびにも出さず、

『よし、なら魔法を出さずに魔力を意識できるようにしよう』

建設的な意見を言う。

「・・・なるほど。【身体強化魔法】は魔法と言いつつ体の外に出すわけでも詠唱をする訳でもないからその能力が必要という訳か」

グレイはイズの言葉の意味を理解して頷く。

『そうだ。その通りだ』

(・・・グレイは、頭は良いんだよな)

イズはグレイの言葉に満足そうに頷いた後、

『まずは、そこに座れ。自然体で良いぞ』

具体的に指示を出す。

グレイは、胡坐をかくように地面に座ると、

「こうか?」

『ああ。魔力を感じてみろ。出来るか?』

「分かった。少しやってみる」

グレイはイズに言われ、集中を始める。

数分の時が流れた頃、

「・・・だめだ。全然分からない」

早くもグレイが音を上げる。

『だろうな。では、簡単な魔法を使い。魔力を感じてみろ』

「分かった」

グレイは呪文を呟く、『明かり』を出す。

「うん。分かる」

光を出しながらグレイが魔力が減っているのを感じる。

『光を出したか。ちょうど良い』

イズはグレイが出した魔法の光を見て訓練方法を思いつく。

『その光の量を変えられるか?』

「光の量を?出来るかな。やったことないけど・・・」

グレイは光の量を変えるために意識を集中させる。

通常、魔法を放つときは詠唱をする。

中には詠唱を簡略化する簡易詠唱や詠唱をしないでイメージで魔法を放つ無詠唱もあるがどの魔法も基本的には呪文を放つイメージを詠唱中にして、そのイメージを具現化する。

そのため、光を出す場合は、このくらいの光量でというイメージをして行うのだ。

光量を変える場合は一度魔法を停止し、詠唱をし直す必要がある。

イズが言ったことはその現代での常識を覆すものであるがグレイはイズが言ったことを実践しようと試みる。

それから、三十分ほどグレイは光量を変えようと悪戦苦闘する。

「・・・だめだ。できない」

魔力量の少ないグレイは魔法がすっからかんになる。

慣れないことをしたせいか、先ほど走った時と同じくらい汗をかいている。

『お疲れさん。流石に直ぐにはできないさ。だが、まずは光量を変える訓練をするのはきっと【身体強化魔法】を習得する上で良い効果が得られるはずだ』

イズは優しくグレイに言う。

「そうだな。ありがとう。イズ」

グレイは当面の訓練方法が見つかり、イズに礼を言うと腕輪の力を発動させ【エリクサー】を飲む。

『気にするな・・・って何をしている?』

イズはグレイに答えながら、【エリクサー】を飲み始めたグレイに質問する。

「何って、魔力量を回復させればまだ訓練できるだろう?」

グレイはそう言うと再び明かりを出し、光量を変える訓練を再開する。

イズはグレイのこの行動に嘴をあんぐりと開け、

(・・・まったく、大した男だよ。お前は)

先ほどまで落ち込んでいた男とは思えない前向きな態度にイズは呆れながらも感心したのであった。
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