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第351話
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「・・・信じられません」
貴賓席から今起こった事を見ていた【聖女】セリスは思わず呆然と呟いていた。
視界が悪く、グレイがアリシアを治した瞬間こそ見えなかったがユリアに対して行ったことは何となく見えた。
遠目であったため具体的に何をしたか分からない。
だが、重傷であったユリアの傷はすっかり癒えた事ははっきりと分かった。
(ユリア様の怪我は簡単に治せるレベルの物ではありませんでした・・・それこそ【聖女】並みの治癒魔法の使い手でないと・・・しかもあの一瞬でとなると・・・私《わたくし》でも出来るか分かりませんわ)
実際に近くで怪我の具合を見たわけでは無いためはっきりと自分でもグレイと同じように短時間で癒せるかは分からないが突如やってきた少年は少なくとも【聖女】並みの治療をやってのけたことは間違い無かった。
(あの少年は一体・・・)
セリスが不思議に思っていると、他の会話が耳に入った。
「学園長殿、あの少年は何者だ?」
娘のユリアの怪我が落ち着いたのを見て幾分安心したのだろう。
マギル家当主が学園長に向かって質問を投げ掛ける。
「彼は・・・」
学園長は正直なところ、どう答えようか迷った。
グレイは学園長が今のどうしようもない状況を打破するために来てくれると信じていた少年だ。
だが、その事を正直に話してしまっても良いものか迷ったのだ。
ただの平民出身の村人だと話しても余計な不安を与えるだけだ。
4年生にして【魔功章】を授かったことを話せばある程度安心するかもしれないがそれはグレイとの約束のため話せない。
「・・・彼の名前は【グレイ・ズー】。私の娘であるアリシアの【付き人】にして、私が最も信頼する者だ」
学園長が逡巡していると代わりにマギル家当主の質問に答えた者がいた。
「バルムよ。今何といった?お前が最も信頼する者だと?」
マギル家当主の疑問は最もだ。
ゾルム・エト・バルムと言う男は貴族至上主義的な今の体制の中でも特殊な立ち位置に居る。
その立ち位置は3大貴族の関係性で良く分かる。
明らかな貴族至上主義の筆頭が先ほど気絶したフォルム家である。
貴族以外の者は貴族のためにあるのだと信じて疑わないという思想を持っている。
一方、その対極にいるのがバルム家であった。
貴族は貴族以外の全ての者のためにこそあるべきという思想を持っている。
そのため、貴族内からの厳しい目に晒されている。
いざ弱みを見せようものなら取って代わろうという画策している貴族も多いのだ。
あのナガリアがバルム家にちょっかいを掛けていたのはそう言った背景もあったのだろう。
ちなみにマギル家はどちらかといえば中立のような位置づけとなっている。
裏で下剋上を狙っている貴族が誰かもわからない状況なため、バルム家は余り周りを頼れない状況に置かれている。
そんな立場のしかも当主であるゾルムが平民でまだ年齢も若い少年を最も信頼する者と言ったことが信じられなかったのだ。
「ああ。その通りだ。だから、おかしな干渉はするなよ」
ゾルムの肯定する言葉を聞いてマギルはようやく理解した。
(なるほど。あの少年を守るための言葉か・・・)
ゾルムがあそこまで言ったとなれば今回の件が無事終わった後のあの少年に対する干渉はかなり和らぐに違いない。
ゾルムは既にそこまで考えていたのだ。
(・・・そこまでするとはな、面白い)
マギルはこれ以上の追求はやめてリングの方に再度注目する。
(そうでしたか・・・あの少年がグレイ・ズーさんなのですね)
マギルとゾルムの会話を聞いていたセリスはあの少年が自分と同じように平民出身なため興味を持っていた人物であることを知ったのであった。
貴賓席から今起こった事を見ていた【聖女】セリスは思わず呆然と呟いていた。
視界が悪く、グレイがアリシアを治した瞬間こそ見えなかったがユリアに対して行ったことは何となく見えた。
遠目であったため具体的に何をしたか分からない。
だが、重傷であったユリアの傷はすっかり癒えた事ははっきりと分かった。
(ユリア様の怪我は簡単に治せるレベルの物ではありませんでした・・・それこそ【聖女】並みの治癒魔法の使い手でないと・・・しかもあの一瞬でとなると・・・私《わたくし》でも出来るか分かりませんわ)
実際に近くで怪我の具合を見たわけでは無いためはっきりと自分でもグレイと同じように短時間で癒せるかは分からないが突如やってきた少年は少なくとも【聖女】並みの治療をやってのけたことは間違い無かった。
(あの少年は一体・・・)
セリスが不思議に思っていると、他の会話が耳に入った。
「学園長殿、あの少年は何者だ?」
娘のユリアの怪我が落ち着いたのを見て幾分安心したのだろう。
マギル家当主が学園長に向かって質問を投げ掛ける。
「彼は・・・」
学園長は正直なところ、どう答えようか迷った。
グレイは学園長が今のどうしようもない状況を打破するために来てくれると信じていた少年だ。
だが、その事を正直に話してしまっても良いものか迷ったのだ。
ただの平民出身の村人だと話しても余計な不安を与えるだけだ。
4年生にして【魔功章】を授かったことを話せばある程度安心するかもしれないがそれはグレイとの約束のため話せない。
「・・・彼の名前は【グレイ・ズー】。私の娘であるアリシアの【付き人】にして、私が最も信頼する者だ」
学園長が逡巡していると代わりにマギル家当主の質問に答えた者がいた。
「バルムよ。今何といった?お前が最も信頼する者だと?」
マギル家当主の疑問は最もだ。
ゾルム・エト・バルムと言う男は貴族至上主義的な今の体制の中でも特殊な立ち位置に居る。
その立ち位置は3大貴族の関係性で良く分かる。
明らかな貴族至上主義の筆頭が先ほど気絶したフォルム家である。
貴族以外の者は貴族のためにあるのだと信じて疑わないという思想を持っている。
一方、その対極にいるのがバルム家であった。
貴族は貴族以外の全ての者のためにこそあるべきという思想を持っている。
そのため、貴族内からの厳しい目に晒されている。
いざ弱みを見せようものなら取って代わろうという画策している貴族も多いのだ。
あのナガリアがバルム家にちょっかいを掛けていたのはそう言った背景もあったのだろう。
ちなみにマギル家はどちらかといえば中立のような位置づけとなっている。
裏で下剋上を狙っている貴族が誰かもわからない状況なため、バルム家は余り周りを頼れない状況に置かれている。
そんな立場のしかも当主であるゾルムが平民でまだ年齢も若い少年を最も信頼する者と言ったことが信じられなかったのだ。
「ああ。その通りだ。だから、おかしな干渉はするなよ」
ゾルムの肯定する言葉を聞いてマギルはようやく理解した。
(なるほど。あの少年を守るための言葉か・・・)
ゾルムがあそこまで言ったとなれば今回の件が無事終わった後のあの少年に対する干渉はかなり和らぐに違いない。
ゾルムは既にそこまで考えていたのだ。
(・・・そこまでするとはな、面白い)
マギルはこれ以上の追求はやめてリングの方に再度注目する。
(そうでしたか・・・あの少年がグレイ・ズーさんなのですね)
マギルとゾルムの会話を聞いていたセリスはあの少年が自分と同じように平民出身なため興味を持っていた人物であることを知ったのであった。
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