374 / 488
第373話
しおりを挟む
「心配には及びません。こちらには3大貴族の方が2人もおりますから」
姫がマズローを安心させるように言う。
「・・・畏まりました。では、行って参ります」
マズローは貴賓席にいるバルム家当主とマギル家当主を見てから納得したように頷くとリングの方に向かって跳ぶように移動していった。
(・・・どうやら、決着がついたようだ)
バルム家当主であるシェリルが気を失った娘の目が覚めるのを待ちながらリングの方を見ていると後ろから声を掛けて来るものが居た。
「どうやら、終わったようだな」
「・・・バルムか。そのようだな」
後ろに来た者がバルム家当主であるゾルムであることを理解するとシェリルが同意する。
「ひとまずは待機しておくべきだろうな」
ゾルムが先ほど姫の命を受けてリングに向かった護衛騎士隊長の行動を思い出しながらシェリルにそう言う。
本心で言えばゾルムは早くアリシアとそしてグレイのいる場所に向かいたかった。
(だが、流石に姫様を残して行くわけにもいかないからな)
「ああ。そうだな。敵があいつ一人である保証もないしな」
「単独犯では無いと思うか?」
シェリルの言葉を聞いたゾルムは自分も気にしていた事を尋ねる。
「正直言ってそれは分からない。だが、警戒を緩める訳にもいくまい。少なくとももう暫くは様子を見ておくべきだろう」
「そうだな」
シェリルの意見に同意するゾルム。
「うっ・・・」
その時、シェリルの娘が呻き声を上げ、目を覚ました。
シェリルはその事にすぐに気が付くと、声を掛ける。
「ユリアッ!目を覚ましたか!!」
「えっ?母上・・・?」
ユリアはまだ意識がはっきりしないのか自分がどういう状況なのかを理解していなかった。
「ああ。そうだ。体は何とも無いか?」
「は、はい。痛みとかも何もありませんが・・・あ!?あの男はどうなったのですか!?」
ユリアはシェリルの言葉に答えながら、ようやく意識がはっきりしたのか慌てて起き上がると襲撃者の事を思い出し周りを見回す。
「大丈夫だ。恐らく、あの男は倒された」
動揺しているユリアに向かってシェリルの代わりにゾルムが答える。
「ゾルムおじ様。倒されたというのは真ですかっ!?もしかして、アリシアが?」
ユリアは母とは違う声の主を見ると、そう尋ねる。
「いや、娘も善戦はしたのだが倒したのは別の者だよ」
「・・・えっ?一体それはどういう・・・」
ユリアはゾルムが言う言葉が信じられなかった。
(あのリングには外から入ることのできない強固な結界が張られていたはずだ。それを破り、かつあの化け物のような男を倒したというのか・・・到底信じられない。だが、ゾルムおじ様がそのような嘘をつく訳も無いし本当の事なのか?)
ユリアはまだ混乱していた。
姫がマズローを安心させるように言う。
「・・・畏まりました。では、行って参ります」
マズローは貴賓席にいるバルム家当主とマギル家当主を見てから納得したように頷くとリングの方に向かって跳ぶように移動していった。
(・・・どうやら、決着がついたようだ)
バルム家当主であるシェリルが気を失った娘の目が覚めるのを待ちながらリングの方を見ていると後ろから声を掛けて来るものが居た。
「どうやら、終わったようだな」
「・・・バルムか。そのようだな」
後ろに来た者がバルム家当主であるゾルムであることを理解するとシェリルが同意する。
「ひとまずは待機しておくべきだろうな」
ゾルムが先ほど姫の命を受けてリングに向かった護衛騎士隊長の行動を思い出しながらシェリルにそう言う。
本心で言えばゾルムは早くアリシアとそしてグレイのいる場所に向かいたかった。
(だが、流石に姫様を残して行くわけにもいかないからな)
「ああ。そうだな。敵があいつ一人である保証もないしな」
「単独犯では無いと思うか?」
シェリルの言葉を聞いたゾルムは自分も気にしていた事を尋ねる。
「正直言ってそれは分からない。だが、警戒を緩める訳にもいくまい。少なくとももう暫くは様子を見ておくべきだろう」
「そうだな」
シェリルの意見に同意するゾルム。
「うっ・・・」
その時、シェリルの娘が呻き声を上げ、目を覚ました。
シェリルはその事にすぐに気が付くと、声を掛ける。
「ユリアッ!目を覚ましたか!!」
「えっ?母上・・・?」
ユリアはまだ意識がはっきりしないのか自分がどういう状況なのかを理解していなかった。
「ああ。そうだ。体は何とも無いか?」
「は、はい。痛みとかも何もありませんが・・・あ!?あの男はどうなったのですか!?」
ユリアはシェリルの言葉に答えながら、ようやく意識がはっきりしたのか慌てて起き上がると襲撃者の事を思い出し周りを見回す。
「大丈夫だ。恐らく、あの男は倒された」
動揺しているユリアに向かってシェリルの代わりにゾルムが答える。
「ゾルムおじ様。倒されたというのは真ですかっ!?もしかして、アリシアが?」
ユリアは母とは違う声の主を見ると、そう尋ねる。
「いや、娘も善戦はしたのだが倒したのは別の者だよ」
「・・・えっ?一体それはどういう・・・」
ユリアはゾルムが言う言葉が信じられなかった。
(あのリングには外から入ることのできない強固な結界が張られていたはずだ。それを破り、かつあの化け物のような男を倒したというのか・・・到底信じられない。だが、ゾルムおじ様がそのような嘘をつく訳も無いし本当の事なのか?)
ユリアはまだ混乱していた。
128
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる