他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第406話

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時は少し遡る。

「聖女様、こちらが医務室になります」

「ありがとうございます」

聖女は医務室まで案内してくれた女性教諭に礼を言う。

「とんでもないことでございます。では、私が先導させていただきます」

礼を言われた女性教諭は医務室の扉を開いて先陣を切った。

どうやら学園長からは医務室までの案内だけでなく、その後無事に泊まっている部屋に送り届けるところまで言いつかっているようだ。

(私《わたくし》としてはここまで送ってくだされば充分でしたがその御心遣いを無下には出来ませんからありがたく受け取らせて頂く他ありませんね。さて、まずはお怪我をされた方の治療をしないといけませんね)

聖女は気持ちを切り替えると女性教諭が入ったタイミングよりも少し遅れて後に続く。

「聖女様っ!!」

「おおっ!聖女様がいらしてくださったぞ!」

「聖女様っ!うちの子をうちの子を御癒しくださいっ!!」

「私の旦那の事もお願いいたしますっ!!」

「「「聖女様っ!!」」」

聖女が中に入ると想像以上の人たちにあっという間に囲まれる。

(え?)

聖女はあまりの事態に目を丸くする。

そして、状況を確認するために自分の周りを見回した。

どうやら自分を囲んでいる人たちの様子をみるに付き添いのご家族のようだ。

(あれだけの観客の方がいらしたのですからこの人数も無理もありませんね。・・・あれ?)

聖女が周りを見ていると見覚えのある人の姿が一瞬見えた気がした。

(アリシア?)

すぐに聖女は視界を元に戻すが人だかりの所為で見つけることが出来ない。

(見間違えかしら?でも、あんなに鮮やかな赤髪を見逃すはずも無いとは思うのだけど・・・)

「聖女様、まずはどうなさいますか?」

聖女の思考は女性教諭の言葉によって止められる。

「あ・・・はい、まずは怪我の程度の重い方から治療したいと思います」

我に返った聖女の言葉に女性教諭は大きく頷くと、

「畏まりました。では、奥の方からお願い致します」

聖女を改めて案内し始めた。

カチャ

ちょうど奥に向かうその時に医務室の扉が閉まる音がしたが聖女の出現に興奮する人たちとその人たちに囲まれている聖女は気づくことはなかった。



「ふぅ。どうやら誰にも気づかれなかったようだな」

無事に医務室から出たグレイがほっとひと息つく。

「そのようですわね。・・・せっかくですからこのまま移動しましょうか」

アリシアはグレイの言葉に同意した後、今度は少しだけ照れた声で告げる。

未だにグレイとアリシアは手を繋いでいた。

「あ、ああ。分かった」

医務室内では静かに外に出ることに注力していたため余り意識していなかったがアリシアに言われてグレイは改めて今の状況を理解する。

グレイとてアリシアの手を離したくなかったためアリシアからの提案は喜ぶべきであったが必要以上に表に出さないように返事をする。

(ふふふ、グレイの反応はとても嬉しいですわ)

だが、アリシアにはグレイの気持ちは筒抜けであったようだ。
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