他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第407話

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「・・・」

「・・・」

イズの魔法で姿を隠したグレイとアリシアは声を出す事無く歩いて行く。

それはもちろん姿を消している事も理由の一つではあったが、二人ともお互いの手から伝わる温もりに意識していたからでもあった。

『・・・おい、グレイ。一体どこに向かっているのだ?』

しばらく邪魔をしないでいたイズではあったが、流石にどこに向かっているのかが気になりグレイに声を掛ける。

「っ!?」

グレイはイズの言葉に知らず知らずの内に良く分からない場所に来ていたことにようやく気がつき驚く。

慌てて周りを見回すが自分たちの他には誰も人がいなかった。

「イズ、悪いが魔法を解いてくれるか?」

グレイはぼーっとアリシアの手を引いていたことを謝ろうとまずイズに姿隠しを解いて貰うようにお願いする。

『承知した』

イズがそう言うと直ぐにお互いの姿が見えるようになる。

グレイはアリシアの方に顔を向けると頭を下げる。

「ごめん、アリシア。いつの間にか知らない場所に来てしまったみたいだ」

アリシアはグレイの様子に微笑むと、

「あら?私《わたくし》はてっきり敢えてグレイがここに連れてきたかと思ってしまいましたわ」

若干顔を朱に染めながら返事をする。

「っ!?そ、そんな訳ないだろう?」

グレイはアリシアのその仕草に一瞬で顔を真っ赤にする。

「・・・そのように強く否定なさらなくても・・・」

グレイの言葉を聞いたアリシアは暗い表情をする。

「あ?え?いや、別にそう言う事では無くて・・・」

アリシアの様子に動揺したグレイが慌てて弁解しようとするが上手く言葉が出ない。

グレイがどうしたらいいのか困っていると、

「ふふふ、冗談ですわ」

アリシアが先ほどと同じように微笑みながらグレイにそう告げる。

どうやらアリシアはグレイの慌てる様子を見てからかっていただけのようだ。

「・・・勘弁してくれ」

グレイはその事に気が付くとアリシアに苦言を呈す。

(・・・完全に焦ってしまった。恥ずかしい・・・)

「申し訳ございません。グレイが余りに素直でつい・・・」

アリシアが可愛く舌を出して謝る。

「・・・気にしないで」

グレイはアリシアの仕草に一瞬見惚れ、時間を置いてからそう返事をする。

「アリシアはこの場所はどこか分かる?」

グレイはこの話題は終わりとばかりに話題を変える。

「はい。もちろん分かりますわ。その道を少し進めば見慣れた道に出るはずです」

アリシアはグレイの言葉に対して空いている方の手で方向を示しながらそう答える。

そして、繋いでいた手をゆっくり放すとグレイの目を真っ直ぐ見てアリシアが告げる。

「グレイ。改めて御礼を申し上げますわ。この度も私《わたくし》の命を救ってくださり本当にありがとうございました」

アリシアはグレイに向かって深く頭を下げた。
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