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第419話
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「うーん・・・」
グレイはイズの言葉に考えた素振りをした後、
「・・・頭ではそれで良いことは分かっているんだけどね・・・気分の問題かな」
困ったように答えた。
『ふーむ、そういうものか』
イズが納得しきれないままといった感じで呟く。
「ああ、そういうものだよ。・・・少なくとも俺はね。さて、茶でも淹れるかな」
グレイは話を区切ると湯を沸かそうと思い立つ。
「イズは?」
『もちろん戴こう』
「はいはい」
グレイは即答したイズの言葉に苦笑しながら作業を開始する。
水を容器に入れ、火をかけたところだった。
コンコンコン
部屋の扉がノックされたのは。
「・・・誰だ?」
グレイは疑問符を浮かべながら、
「イズ」
『分かってる』
グレイの言葉を聞いたイズは目立たないところに移動する。
イズの動きを確認したグレイは一つ頷くと扉に向かってゆっくりと歩いて行くと、
「・・・どなたですか?」
不用意に扉を開ける事をせず反対側にいるであろう人物に声をかける。
「・・・あ、グレイ戻っていたんだね。僕だよ」
返ってきた声は聞き覚えのある声であった。
ガチャ
グレイが扉を開けると、
「エル」
「やぁ、グレイ」
右手を上げて笑みを浮かべたエルリックが扉の前に立っていた。
「中に入るか?立ち話もなんだし」
「うん。ありがとう」
グレイに案内されてエルリックがソファに腰掛ける。
「ちょっと待っててくれ、今お茶を淹れるから」
「ありがとう」
親しくない間柄ならお構いなくというところだが親友関係のグレイの提案に対してエルリックは素直に御礼を言う。
「了解!」
グレイはエルリックに見えないように腕輪の力でティーセットを出しながら返事をし、お茶を淹れ始める。
(すまん。イズ、また後で淹れるから許してくれ)
グレイは視線でイズに謝る。
(気にするな)
イズは器用に肩を竦めると、どこかに飛んで行く。
(悪いな)
グレイは心の中でそう言い一区切りつけると、エルリックに向かって尋ねる。
「エル、夕飯も食べていくか?」
「はぁ、御馳走様~。本当にグレイの料理は絶品だね」
「ははは、ありがとう」
エルリックはグレイの提案に前のめりに返事をし、美味しそうに食事を取り終えると追加で淹れたお茶を飲みながら御礼を言う。
「それで、どうしたんだ?」
話が出来るようにテーブルから食器を下げると、グレイがエルリックに改めて尋ねる。
「うん?グレイが無事に戻ったかの確認をしに来ただけだよ?」
エルリックはグレイの言葉にきょとんとしながら答えた。
グレイはイズの言葉に考えた素振りをした後、
「・・・頭ではそれで良いことは分かっているんだけどね・・・気分の問題かな」
困ったように答えた。
『ふーむ、そういうものか』
イズが納得しきれないままといった感じで呟く。
「ああ、そういうものだよ。・・・少なくとも俺はね。さて、茶でも淹れるかな」
グレイは話を区切ると湯を沸かそうと思い立つ。
「イズは?」
『もちろん戴こう』
「はいはい」
グレイは即答したイズの言葉に苦笑しながら作業を開始する。
水を容器に入れ、火をかけたところだった。
コンコンコン
部屋の扉がノックされたのは。
「・・・誰だ?」
グレイは疑問符を浮かべながら、
「イズ」
『分かってる』
グレイの言葉を聞いたイズは目立たないところに移動する。
イズの動きを確認したグレイは一つ頷くと扉に向かってゆっくりと歩いて行くと、
「・・・どなたですか?」
不用意に扉を開ける事をせず反対側にいるであろう人物に声をかける。
「・・・あ、グレイ戻っていたんだね。僕だよ」
返ってきた声は聞き覚えのある声であった。
ガチャ
グレイが扉を開けると、
「エル」
「やぁ、グレイ」
右手を上げて笑みを浮かべたエルリックが扉の前に立っていた。
「中に入るか?立ち話もなんだし」
「うん。ありがとう」
グレイに案内されてエルリックがソファに腰掛ける。
「ちょっと待っててくれ、今お茶を淹れるから」
「ありがとう」
親しくない間柄ならお構いなくというところだが親友関係のグレイの提案に対してエルリックは素直に御礼を言う。
「了解!」
グレイはエルリックに見えないように腕輪の力でティーセットを出しながら返事をし、お茶を淹れ始める。
(すまん。イズ、また後で淹れるから許してくれ)
グレイは視線でイズに謝る。
(気にするな)
イズは器用に肩を竦めると、どこかに飛んで行く。
(悪いな)
グレイは心の中でそう言い一区切りつけると、エルリックに向かって尋ねる。
「エル、夕飯も食べていくか?」
「はぁ、御馳走様~。本当にグレイの料理は絶品だね」
「ははは、ありがとう」
エルリックはグレイの提案に前のめりに返事をし、美味しそうに食事を取り終えると追加で淹れたお茶を飲みながら御礼を言う。
「それで、どうしたんだ?」
話が出来るようにテーブルから食器を下げると、グレイがエルリックに改めて尋ねる。
「うん?グレイが無事に戻ったかの確認をしに来ただけだよ?」
エルリックはグレイの言葉にきょとんとしながら答えた。
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