【完結】失くし物屋の付喪神たち 京都に集う「物」の想い

ヲダツバサ

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第1章 タイムカプセル

1-50

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 私はひとつの推測を立てます。美雲丸が突然ここに現れたという事は、以前にもこのあかり堂に来た事があるんじゃないでしょうか。私がいない間に。だから弦介さんの名前を知っていた、とか?

 後で本人にちゃんと話してもらおう……そう思い、まずは肉のパックを開けます。コンロの火を付けて、解凍するためにビニール袋を取って火の近くに置きます。

 次に、木綿豆腐を分厚い短冊のように切って、キッチンペーパー……は、無かったので、仕方なくザルの中に並べました。

 玉ねぎはくし切り。無くても良いのですが、弦介さんだと芽を生やして捨てる運命になってしまいそうだったので、使わせて頂きます。

 さてさて、ここからが大事。フライパンに醤油、みりん、酒、砂糖、水を入れます。この中に先ほど切った玉ねぎも入れます。

 弦介さん家のは浅いフライパンで残念です。深いフライパンの方が味が染み込みやすいのですが……仕方ありません。

 フライパンを火にかけます。中火にして、沸いてきたら、お豆腐の投入です。

「何を作っているのか分かったぞ」

 弱火にしてフライパンに蓋をした時、美雲丸が呟きました。

「朝食の事、気にしているか?」
「ちょっとね」

 8分ほど待ちます。
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